【コロナ禍の演劇】オンライン○○

今では傍観者になり一定の距離を置いている演劇界だがかつて、20代前半の頃はどっぷり浸かっていた世界だ。

当然、現在のような状況で苦境に立たされていないわけがない。むしろ音楽業界と並び一番被害を被っている業界ではないか。さすがにかつての仲間を気にすように具体的にはどのような惨状なのか軽く調べてみた。

お世話になった、わりと親しい劇団や俳優の近況を見てみるとやっぱりそうかというように3月、4月の公演が中止、延期になったというお知らせが目に付くは目に付くは。もしも僕もまだこの世界に身を置いていたら何かしらの被害、出演キャンセルなどは免れなかっだろうな。

とはいえ、先にこのシリーズでも書いたように多くの俳優というのはバイトなど何かしらの仕事を兼務しながら演劇活動をしているのは言ってきたし、もっと言えばたとえ舞台の出演が決まったとしても、そのかけた時間に見合った報酬を貰える事は稀なので実はそこまで苦しいわけではない人もいたりする。つまり演劇活動ができないとはいえ元々その稼ぎを頼りに生活をしてきたわけではないのでそこまで困ってませんよって事。それでもおそらくこの混乱で全く打撃を受けていない業種はないと思うので、もしもその普段の生活費を稼いでいる仕事、バイト先まで休業する、勤務時間、シフトが減らされたなどの措置を取っていたらいよいよ不味くなってくるだろうが。

きっと一番困っているのは『中途半端』に稼ぎがある人達と推察。ちょっと悪い言い方かなとも思うが、僕が定義するその『中途半端』とは一応その他のバイト等をする必要はないくらいの収入はあるが、それでも月収20万とか一般のサラリーマンの月収とそんな変わらない、少なくとも時給千円弱で一ヶ月フルタイム週5日でバイトしたくらいの稼ぎのある人達と言えば良いか。一般の人が音楽、芸能界で働いていると聞くとテレビで一度は観た事をある人を想像して、おそらくその人は桁違いの給料を貰っているはず。そんな有名人のような暮らしぶりはできないが、それでもなんとか並みの稼ぎはありますよという人もいるということですね。

それはどんな人かと言うと先ずはこの手の専門学校で講師を務めている方達。そういう人達は俳優だけの仕事では生活できないからこういう学校で講師をしていると言えます。

こういう専門学校は主に東京、首都圏に集中しています。今、この地域で学校で授業をできる状況ではないでしょう。もしかしたら今まさにこういう方達はいつまた仕事ができるのか先行き不透明で不安でしょうがないかもしれません。

他にも学校という場でなくてもどこか場所を借りて定期的にワークショップを開いたりして参加者から料金を徴収するという形で稼いでいる人もいるでしょうし、とりあえず理想とは言えないまでもなんとか自分が関わりたい世界に関連している仕事ができている人達はいます。

もちろん俳優の仕事で、撮影やドラマの出演がそこそこくる人もいます。この場合はメインの役ではなくCMなら誰もが知っている芸能人の端にちょこっと映っているようなポジションであったり、ドラマなら第○話にゲストで、バラエティー番組の再現VTRに出演など小さな役割の仕事で稼いでいる方です。

もう一度言いますが見て分かる様に、こういう業種というのは国の緊急時には真っ先に姿を消します。それは東日本大震災でも同じ現象が起きました。しかも今回はまさかの範囲が日本全国、それどころか世界に存在する全大陸です。それでいていつ収まるかも全く見通せない、期間が年単位とも言われています。まさにこの業界の人にとっては地獄の状況です。この状態が数ヶ月も続けば体力のない小さな所からどんどん潰れていくのは間違いない。

だから別業種はやもを得ず営業を続けるという選択肢もするわけですが、頭を抱える事にこの業種は仕方がなくやりますという選択が最も許されない、できない仕事です。

音楽、演劇はまさに3密全てが揃った場所で行われています。演者は台詞、歌を歌いながら唾を飛ばし、厚い扉を締め切って、観客同士の間隔も狭い。こんな場所にはたとえ推しが出演していたとしても行くのを躊躇ってしまうファンはいるのではないでしょうか。

まだ一度の仕事で多額のお金が入り、貯蓄もある成功者は今は我慢だと言えるかもしれないが、この『中途半端』に稼いでいる人達の中にはいよいよ、もう他の全く別業種のバイトを探すしかないと頭を過ぎり始めている人もいるはず。

これはもう国にも助けて、補償してもらうしかないだろうなって思ったら既にその動きはあるみたいですね。こちらの記事

おぉ、記事の中で名前が出ている呼びかけ人のシライケイタさん、この方とはお会いした事がありますよ・・・確か5、6年前の話で一度きりだから向こうはもう覚えていないだろうけど、とある演劇人が集まる飲み会で少しお話しをして確か名刺まで頂いた記憶が。

この世界で影響力のある方だとは分かっていたけど、こういう問題が起きた時に先頭に立って声を上げる立場だと思うと、凄い方と会えてたんだなと思います。

まぁ、でもこうは書いたけど望んでいるような補償は難しいというのはもう現時点では分かっている。2月下旬の時点ではまだイベント関連だけだったがもはや演劇、音楽に限らず、飲食、ホテルなどもっと広い範囲にまで危機的状況は及んでいます。

長々と書いてしまったがここまでタイトルに関する事には全く触れていないが、ここでようやく。

こんな状況で他に何ができるかと考えた時に、やはり人と接触しない=インターネットの力を使うしかない。

音楽では始まっていますね。無人の会場でライブ映像を生配信したり、そうはしなくても過去のライブ映像を無料で公開したり。

では演劇の世界はというとその力をフルに使っているとは言い難い。この世界に居た頃、上演した公演をネットで公開している、或いはディスクに焼いて販売しているという劇団や団体を見た事がないのですがそういう取り組みを軌道に乗せている所はあるのでしょうか?たまにある舞台がBSなどで放送されているのは見た事ありますが。

映像作品として出すなんて売れている所しか無理な事なんでしょうが、もうそうも言っていられない状況になってきているんじゃないかな〜。

演劇より音楽の方が良い決定的な違いはこのネットの利用しやすさだと思っている。何もライブ映像ではなくてもレコーディングした音源をネット上で公開するなんてもうどこのインディーズバンドもやっている事だと思いますよ。それで手軽に自身の作品を世に広める事ができます。

演劇はね、もしも台本の作者が外部の作家だったら、出演者も外部の劇団、事務所から呼んできていて話をつけないといけない問題が多くてそう簡単じゃないのかもって今書きながら思っているけど、でもその台本が劇団オリジナル作品だったら、出演者も全てその所属俳優、フリーの俳優でなどその条件が揃えばスムーズに事が運ぶんじゃなかろうか。

そうできたとして、それに伴いカメラや撮影者と経費は増えたとしても、ネット上に上げる事によって今後、公演期間が終わってもずっと誰かの目に触れられる状態になるというのは長期的にみれば決して悪い投資ではないのではなかろうか。動画サイトがテレビと同等の影響を持ったのはそのいつでも、視聴者の都合で観られるというのも大きい。それをみた誰かが面白いと思い、今度は生で観てみたいと思わせれば大成功だと思うし。音楽だったらその役目を楽曲が担ってくれます、その実際に劇場に足を運ばせるきっかけとなるものを演劇でもできる限り作っていくべきだと思います。

無料で公開する事に抵抗があったり、演劇は生で観るものなど色々と反論もされる提案だけど、これからもっと動員を増やすにはどうしたらいいか?と考えた時にネットを利用しない手はない、そこに異論はないのではないでしょうか。ならもうツイッターで告知する、インスタに稽古風景を上げたってそれで喜ぶのはアイドル並みに人気のある人だけだと思うから、そうじゃなくて質、作品で勝負しているならもう代表作の一つでも上げてみてはどうかと言いたい。

上演した舞台を録画して、ネット上にあげるのはどうか?このお題で関係者と話した事はなかったので、誰かとしてみたいな〜と思いましたね。

ともかく今はもうなんでも、学校の授業も仕事、飲み会や帰省まで!?オンラインであるのは間違いなく、その流れは一度できてしまえば定着してこれからもずっと残るのではないでしょうかね。

だったら演劇にもその流れをもっと加速させる、そういうお話でした。


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