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【エッセイ】悪態

 悪態をついてしまう。
 口からこぼれ出てしまう。
 いつもあんなに気をつけていたのに、自分の中にもう留め置くことができなくなってしまったみたいだ。
 いけない、いけない。他人に放った言葉は巡り巡って自分に返ってくるという。
 一瞬だけ思って、またすぐに下品なことばを頭の中に用意する。それを口から出すのは、ひとりのときだけだ。
 まだ、それくらいの分別はある。
 本当はきれいな言葉ばかり口にしていたい。良いところばかりを見ていたい。好きなことだけしていたい。
 できないってことは、なにか事情があるにちがいない。
 こういうときは何て言うんだっけ。
 寿限無寿限無?
 くわばらくわばら?
 ……南無三?
 どれもピンと来ないから、口の中でテクマクマヤコンと言っておく。

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