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【エッセイ】左後一白

 さこういっぱく、と読む。
 馬の特徴をあらわす言葉だ。
 左後ろ足だけが白い馬のことを言う。

 むかし、左後一白の馬はよく走るのだと祖母が言った。ある種の迷信だとは思うが、確かに当時家にいた、かつてよい成績を残した馬は、左後一白であった。

 夕方に、祖母と馬屋の外を歩いた。
 馬が振り返る。鼻を鳴らすものもいる。
 ときどき思い出される遠い記憶。

 雪の残る放牧地で、ブカブカの馬服を着せられたとねっこが跳ねる。まだ首が短くて、両足を少し曲げないと地面に鼻が付かない。
 下を向いたって、まだ歯がなくて草など食べられないくせに。


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