幸せな人生を送るためのマインドセット 〜行動経済学による考察も〜 後編
おはようございます、日々野あさひ です🌅
私の記事をご覧いただき、ありがとうございます。
今回は、幸せな人生についての私の考え方を、行動経済学を用いて考察していきます。
なお、この記事は後編になりますので、良ければ前編もご覧ください🌞
行動経済学からの考察のみに興味がある場合は後編だけでもOKです!
それでは、行動経済学とは何かというところからお話しさせていただきます。
「もうそれはよく知ってるよ」
という方は、2からご覧くださいませ。
1.はじめに 〜行動経済学とは〜
私が10年以上前に、とある書籍で出会った行動経済学。
それから仕事でも私生活でも色々と活用してきましたが、どんな学問かと言うと、
”心理学と経済学をミックスした学問”
なんです。
従来の経済学では、
人間は自分の利益を最大化させるように動く合理的な生き物(ホモ・エコノミクス)である
という前提に基づいて、人の経済行動が研究されてきました。
でも我々人間は、必ずしも合理的な判断ばかりするわけではありませんよね。
それどころか、非合理的な意思決定の方が多いくらいではないでしょうか。
ストレス発散にとそんなに必要でもないものを買ってみたり、
スポーツジムの月会費を払っているのに全然行ってなかったり…(私の経験談です😅)
そんな本当は非合理的な人間を、合理的な判断をするものだ、という前提に立たせた従来の経済学では、どうしても人間の行動を解明するには限界があったんです。
そこで、非合理的な人間の経済行動を解明するために誕生したのが、心理学をミックスさせた”行動経済学”です。
私がなぜ、行動経済学 ”推し" かと言うと、
非合理的な人間の行動を研究する学問
ということは、その結果として
合理的に好ましい行動を取るための方法
に関する示唆が得られるからです。
例えば
健康のためにとジョギングを始めてみたけど、すぐやめてしまってなかなか習慣付かない
ダイエットしようと思っているのに、つい食べ過ぎてしまう
新しいことにチャレンジするための勉強をしなければと思っているけど、SNSを見ていたらいつの間にか1日が終わっている
こんな経験がある人も多いのではないでしょうか。私は全部あります笑
行動経済学では、なぜ人がそんな行動をとってしまうのかを心理学的なアプローチで研究されているので、自分が非合理的な行動をとるときの心理状態を理解することができます。
理解することで、回避のための方法を考えることができるようになるんです。
中には、以下の錯視のように回避し得ない脳のトラップもあったりするんですが…
これはご存知の方も多いと思いますが、2本の直線は同じ長さなのに、下の方が長く見えるという有名な錯視です。
知っててもそう見えてしまいますよね。
こんな風に、抗いようのない脳のトラップもあります。
ただ、そんなのもあるんだ、と知っていれば、脳のトラップにかかった後に早めに対処することが可能になるので、行動経済学を知るだけでも、意味のあることだと思います。
この記事の最後に、参考文献としていくつか書籍を紹介しますので、興味があればぜひ読んでみてください。
一緒に行動経済学を楽しみましょう📚
2.幸せな人生について 〜行動経済学による考察〜
さて、それでは本題に入ります。
私の幸せな人生についての考え方を、行動経済学の理論を用いて考察していきましょう。
(1)人生は本当に死に際が大事なの? 〜ピーク・エンドの法則〜
行動経済学には、”ピーク・エンドの法則”(&”持続時間の無視”)というものがあります。
これは、1999年にダニエル・カーネマン氏によって提唱された法則で、
ある経験全体の印象は、その出来事全体の持続時間には関係なく、ほとんどその経験のピーク時と終了時の印象によって判断される
というものです。
昔から言う、”終わり良ければすべて良し”に近いですが、終わりだけでなくピークも重視するところが少し異なりますね。
この法則に基づいて考えると、
人生の良し悪しは、人生の長さに関係なく、人生のピーク(絶頂 or どん底)とエンド(死に際)の2点の印象によって決まってくる
ことになります。
ここで、まず非常に興味深いのが、
人生の良し悪しに人生の長さが関係ない
ということです。
短い人生だったとしても、長生きの人と同じくらい幸せな人生にできる
ということが、科学的な知見から導き出せるというのが、非常に意義深いと感じます。
次に考えたいのが、ピークとエンドで人生の良し悪しが決まるとして、どちらが私たちにとってコントロールしやすいかということです。
まず、ピークはどうでしょうか。
できるだけ幸せのピークを高く持っていけるように努力することは、
できますよね。
幸せの感受性を磨いて、頑張れば良いんです。
でも、私は人生は株式市場のようなものだと思っています。
ピークを正確に予測したり、「今がピークだ!」と的確に捉えたりすることはできなくて、しばらく経ってから
「あの時がピークだったな」
と思い返すような感じです。
また、私の暮らしている日本は、非常に災害発生リスクが高いです。
幸せのピークは、いつ下振れするともわかりません。
なので、いつが人生のピークだったかを正確に感じられるのは、きっと死の間際になるんだと思います。
そう考えると、ピークを高くする努力はできたとしても、どこをピークにするかはコントロールが困難と言えるでしょう。
ただ、ピークを高くするために幸福の感度を高めることは、エンドの幸福感の向上にもつながるので、ぜひ取り組むべきだと思います。
続いて、エンドはどうでしょうか。
人生がいつ終わるのかというのは、懸命に生きている限りはコントロールができませんよね。
では、エンドの印象はどうでしょうか。
これはもう、ただ単純に死に際に自分がどう感じるか、というだけの話なので、自分の力でコントロールできそうですよね。
いつ終わりが訪れても良い人生だったと思えるように、最高に満足できる人生に向けて、今この一瞬一瞬を、最善を尽くして大切に生きる。
そのような、常に幸せを感じられる生き方をすることで、エンドの印象はコントロールすることが可能です。
私は簡単そうに言ってしまっていますが、”言うは易く行うは難し”の言葉通り、めちゃくちゃ難しいんです。
でも、一度きりの人生をしっかりと幸せなものにしたいのであれば、この生き方を身に付けるのがベストだと、私は考えています。
そして、たくさんの方にこの生き方を身に付けていただくことが、私の使命だと思っています。
それでは、幸せな人生について、”ピーク・エンドの法則”から考えることで得られた示唆をまとめましょう。
幸せな人生かどうかは、人生の長さには関係がなく、ピーク(絶頂 or どん底)とエンド(死に際)の印象で決まる。
人生のピークがいつかはコントロールできないが、ピークを高くするために、幸せの感受性を高めるなどの努力はできる。(ピークを高くする努力は、エンドの幸福感を高めることにもつながる。)
人生のエンドがいつかはコントロールできないが、常に幸せを感じられる生き方を身に付けることで、いつエンドが来ても幸せであるようコントロールすることはできる。
(2)最善を尽くしたと感じるために 〜後知恵バイアス〜
さて、また長くなりそうですので、あと1つ考察をしたら終わりたいと思います。
私たちの持っているバイアス(思考のクセ)の中に、
”後知恵バイアス”
というものがあります。
これは、
ある出来事が起こる前は誰にも予測できなかったのに、それが起こった後ではあたかも予測可能であったかのように考える傾向
です。
テレビで評論家や専門家の方などが、起こってしまった事故や災害などに関して、
「過去の〇〇の時点でこうなることは本来予測ができたはず」
というようにコメントされているのを、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
これは、視聴者がそういった解説を望んでいるからあえてそうしている、という側面もあるでしょうが、基本的には”後知恵バイアス”による錯覚で、実際は予測困難だった場合が多いのです。
この”後知恵バイアス”を用いて、私の幸せな人生の考え方の何を考察するのかと言うと、
人生において(自分なりとはいえ)最善を尽くし続けることができるのか?
ということについて
自分の過去の選択を振り返ったときに、最善だったと納得できるだろうか?
という側面から考察したいと思います。
私たちが過去の自分の行動を振り返るときに、この”後知恵バイアス”が働きます。
なので、そのときは自分なりに最善を尽くしてきたつもりでいても、後になると
「なんであの時あんなことをしてしまったんだろう…ちょっと考えれば失敗するってわかったのに…」
なんて考えて、後悔してしまいがちなんですよね。
でも、”後知恵バイアス”のことを知っていれば、そんな後悔も振り切りやすくなります。
「ちょっと考えればわかったように感じるけど、これは”後知恵バイアス”のせいだな。あの時の自分には予測できなかったし、その上で自分なりに最善を尽くしてきたんだからしょうがない。これから頑張ろう。」
というような感じで、切り替えやすくなります。
私もこの思考法をするようになってから、クヨクヨ悩むことがかなり減りましたので、ぜひお試しください。
ただし、明らかに予測可能なミスをした場合は、”後知恵バイアス”のせいにせず、しっかり反省して次に生かしてくださいね笑
このような感じで、”後知恵バイアス”の働きを知ることで、以前の自分の選択を後悔することが減るので、最善を尽くし続けているという実感を持ちやすくなり、幸せな日々を送りやすくなるのです。
3.おわりに
ここまで、前後編にわたる長い記事をご覧いただき、ありがとうございました☀️
最後に、前編に出てきた”利用可能性ヒューリスティック”について、簡単に補足解説だけしておきたいと思います。
【前編の補足】 利用可能性ヒューリスティックとは
簡単に言えば、思い出しやすい(記憶を利用する可能性が高い)情報を元に判断する傾向のことです。
例えば、事故を恐れて飛行機に乗るのを嫌がる心理などは、このヒューリスティックが影響しています。
本当は、自動車事故に巻き込まれる可能性の方が圧倒的に高いんですが、飛行機事故の方が印象が強烈で思い出しやすいので、自動車には乗れるのに飛行機は嫌がる、ということが起こるわけです。
補足解説は以上です。
後編では、行動経済学を用いた考察を中心にお話ししましたが、お楽しみいただけましたでしょうか。
以前の記事でも申し上げましたように、この幸せについての考え方は、私の活動のベースとなるものです。
今回はその中で、「常に幸せであり続けること」の大切さをお伝えすることにフォーカスしてきました。
抽象的な話となりましたので、これからは、これを実践するための具体的なコツなどについて、お伝えしていきたいと考えています。
そもそもの幸せをどう定義するか
自分なりの最善を尽くし続けるために役立つ行動経済学や心理学
幸せを感じやすくなるマインドセット
その他いろいろ。
私も日々勉強中の身ですので、これからまだまだ新たな発見をしていくことになると思います。
なので、その時々の私にとっての最善を尽くしながら、さらに良いことをお伝えできるように、日々精進してまいります。
これからの私は、今の私より成長したものを見せてくれるはずですので、大いにご期待ください笑
それでは、最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!
また、次の記事も、どうぞよろしくお願いします🌄
▽ 参考書籍、参照サイト
↓私が最初に行動経済学を知った本です。
↓体系的に整理されているので、理解しやすいと思います
↓すごくさっと読めます。読書が苦手な方にもオススメです。
↓錯視の図を使わせていただきました。