給食のスープ

突然ですが問題です。


(問題)

とある日の給食の時間

私は
子どもたちに
「今日の献立は何でしょう?」

と聞きました。




すると
ある小3の男の子が

「もやしのスープ」
と答えました。




さてこの日の
「もやしのスープ」は

A or B 
どちらのスープでしょう?




A



B






(答え)

簡単ですね。

正解は…、













A



A の「もやしのスープ」
でした!!







ものの名前は正しく・具体的に


もうかれこれ
数か月前の出来事ですが、

これを聞いた時の衝撃は
今でも鮮明に記憶に残っています。





この3年生の少年にとって

給食で、食卓で、
これまでの人生でいただいた

どんな「スープ」も



味噌汁 も
コンソメスープ も
すまし汁 も
ポタージュ も
ミネストローネ も
クラムチャウダー も


全てが
スープ」という名前の食べ物
ということです。






さらに

この世界には
もっとたくさんのスープがあります。



ポトフ
ビシソワーズ
ボルシチ
トムヤムクン
サムゲタン
……




この世界に
存在するスープの数だけ
名前があります。


そして
名前の数
だけ
そこに違いがあります。





だし汁ベースに味噌を溶かしたスープが
味噌汁


ブイヨンベースの澄んだスープが
コンソメスープ


だし汁ベースに塩・醤油で味を調えたスープが
すまし汁


野菜をミキサーにかけたとろみのあるスープが
ポタージュ


トマト等の野菜が具だくさんなイタリアのスープが
ミネストローネ


二枚貝が入ったクリーム仕立てのアメリカのスープが
クラムチャウダー


です。






それぞれの「スープ」には名前があり、
そこには明確な違いが存在します。





全てのスープ

スープ」という
同じ名前で呼ぶことは、


味噌汁コンソメスープすまし汁
ポタージュ
ミネストローネクラムチャウダー

その他
世界中のあらゆるスープ


そこに違いなど存在しない
と言っているのと一緒です。






私たち大人は

ものには
同じところ もあれば
違うところ もある


それを

子どもに伝えるために
子ども自身が考えられるように



ものの名前を
正しく・具体的に
伝える必要があります。






名前を知ると、


ものの共通点と相違点を見つけて
比べることができる。

(例)
「ポトフってコンソメスープと何が違うの?
 具だくさんなコンソメスープは、もはやポトフ?」

「クラムチャウダーとシチューって同じじゃないの?
 シチューはじゃあスープの仲間?」



教えてもらったことを自分でさらに調べることで
自らの知識をより深めていく。

(例)
「すまし汁、吉野汁、けんちん汁、潮汁、のっぺい汁…
 和食の汁物って調べてみるといろんな名前があるんだな…」



自らの持つ知識と知識を組み合わせて
新たな正解を導き出す。

(例)
「今日の献立は、かぼちゃ風味のとろみのあるスープか…
 じゃあ、献立名は『かぼちゃのポタージュ』?」



といったことが
できるようになります。






そこに
「まだ何歳だから『スープ』でいいよね…」

という意識は不要だと私は思っています。




たしかに



電車
という言葉を
まだ知らない子どもに対しては

レールの上を走る乗り物
 = 「電車」


電車」という言葉の概念を
まず伝える必要があります。



ですが、

3、4歳の子どもにも
電車博士はたくさんいます。



他の子が
一緒くたに「でんしゃ」と
呼ぶなかで、


黄緑の電車は、「山手線
水色の電車は、「京浜東北線
オレンジの電車は、「中央線

と区別して呼んでいる子は
確かに存在します。



電車
でんしゃ」と呼ぶのは
それ以外の呼び方を知らないからです。

知っている子は、
山手線
京浜東北線
中央線
と区別して呼びます。


知っているか知らないかの
違いです。





一度、「スープ
という言葉の意味を覚えた
子どもには、


ぜひ

「味噌の入ったスープだから
 今日は味噌汁だね」

「トウモロコシのとろとろしたスープだから
 コーンポタージュって名前なんだよ」


よりたくさんの知識を授けてあげてください。



授けた知識の数だけ
子どもの脳内辞書語彙数が増えます。


増えた分だけ
子どもは賢くなります。











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