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肩を組む。 ビックエコー銀座数寄屋橋店 ー 同棲解消記録 『色恋を持たない多崎ありゅーと、彼の巡礼の年』

国破れて山河あり、
愛破れてタンバリン。 は?


30歳のカラオケ論

高校時代の友人が上京していたタイミングで飲みに行き
例にも漏れず今回の同棲解消の話をした上でカラオケへ。

人は20歳になるまでに聴いてきた曲で構成され、
20歳になるまでに聴いてきた曲をこれからも一生聴いていく、
というのは言われ古された格言であるが、
あの青い時代、私の世代的にはまだiPodのホイールをくるくるしていたあの青い時代、に寄り添った音楽は、きっと誰にとっても「宝」である。

彼とのカラオケには、もうホイールどころか物理的なボタンさえ無くなった今の私のiPhone内で音楽のサブスクという当時は考えもしなかった形で色めいている、King Gnuも米津玄師も星野源も菅田将暉も入る余地はない。
デンモクに並ぶはそう、我らがBUMPでありRADでありアジカンであり、
あとは彼に勧められてめちゃ好きになった野狐禅(今でいうところの竹原ピストル)であり銀杏BOYZであり藍坊主なのである。(あとこれは私の自己満ですがyonige)

カラオケにおいて、歌いたいものを各々勝手に入れていくスタイルが取れる関係性はとても素敵であると思う一方で、「この人と行くならこれ歌うよね」というものが明確にあることも中々凄いことだよなと改めて。
上記の「宝」を持ち寄っている・何ならシェアする感覚。
たかだかカラオケの選曲という事象であるが、感受性バグ状態下では、共通の歌を媒介する、というアプローチでさえ強固な人との繋がりを感じられた。

不思議なもので、今やすっかり大人になり、ついさっきまで、学生の頃には考えられなかったお値段帯の串揚げに舌鼓しつつ(お会計でおったまげ)、結婚・子育て・最近の仕事とキャリア…と例に漏れず渋い話の応酬だったのに
ひとたび『アルエ』流れ出したらもう学ランボーイの幻影。ドラえもんもドン引きな早さのタイムスリップ。


『ラフメイカー』について

彼とのカラオケにおいて毎回いれるこの曲であるが、改めての気付きとして、「笑い」の話のはずなのにこの歌の中身ほっとんど泣いている。笑うこと・笑わせることと、哀しみは、とても近い距離に同居しているのかもしれない。

毎回いれる曲なのに どうしよう 泣きそうだ

ほんと冗談じゃないのだが、感受性バグ状態なので結構こういうところに敏感になってる。昔から聴いていた曲も、聴く者の立場心境で新しい側面に気づけたりするものだ。


肩を組む

『ダンデライオン』いれた時にはもういい感じにお酒もはしりテンションも上がり、
アラサー2人で肩組んでガシガシ歌ってた。


………………肩を、組んでる!!


そもそも人と肩を組んだのはいつぶりだろうか。
高校の時の野球応援?バンクーバーのクラブ?いずれにしても多分、名刺を持つ前、ネクタイで迷わなくなったその前。

何の気もないことだったはずであろうが、ここでも人との強固な繋がりを感じる。なんかなんとも言いようはないけど、私は1人ではないのだ、大丈夫だ、と思える。


なんだかんだ、今回の事変で大変な絶望の中にいるのは事実。だけど、
「絶望の淵にいるからこそ気づける幸せ」みたいなものが最近私を満たしているようにも思う。

上述のように「感受性バグ」という言葉が乱発されていて、本当に些細なことにも何かを感じる状態。でも、こういうところから、自身は恵まれている、というプラスを感じられてもいる。こうやって少しずつ、自尊心が戻っていくことを祈念するしかない。

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