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家で死ぬ(看取る)こと その⑥ 死ぬことは・・・

ここ2日でお二人、地域の緩和ケア科に入院。

1人は関わって1週間。

もう1人は関わって20日間。

20日間の方は数日内に息を引き取られると思う。ギリギリの状態で病院に入院された。本人と家族が望んだ事。

20日間とはいえ、かなり濃い関わりをさせてもろた。出会いに感謝。この方はとても素敵な方。

初回アポ取りをして、行く日の前々日、奥様から意識が朦朧としている、吐いているって緊急の電話。血圧はかったら上が60ってかなりヤバイレベル。某大病院(高速でタクシーで40分くらい?)がかかりつけ。救急車を要請するように伝える。

そんな遠くは行ってくれないから近くの病院に救急搬送。嘔吐による脱水。ガンの進行で痛みも出てるし、脱水で点滴の針も入らずで大変。なんとか処置してもらい、翌日どうしても大病院の受診があった(抗がん治療の為)から病院の先生は入院を勧めたけど、無理に自宅に戻ってきた。案の定次の日の病院では抗がん剤治療は受けられず、前日に引き続き、脱水の改善の為の点滴。朝イチで行ってなんやかんやで帰ってきたのが夜。

いやぁ通院含めて無理でしょ。本人そのあとも少量食べては吐き、たんがらみも強くなってきてるって。

もうね、話聞いてるだけで、早急に動かなきゃいけないってなり。行く日に大病院に電話して訪問看護入れて良いか確認して(主治医はまだサポートセンターにつないでなかった)状況を医師に直接報告し、その場で訪看指示書を書いてもらい、状況から訪問診療医も必須と判断して強化型のクリニックに下話をしておき。

初めましてと同時にベッドとかエアマットとか色々用意してもろて、看護師さんと訪問。

すぐに訪問診療も提案してスムーズに受け入れてくれた。痛みが出てきてたから通院と訪問診療併用しようって事になった。

ガンがあちこち転移して、相当手術も乗り越えてきてた。咽頭ガンで声帯を取って、コミュニケーションはもっぱら筆談。

初めましてと同時に彼は戒名を付けてるって話してくれた。

彼は不死身って書きながらニコッて笑ってくれた。どんどん体調が落ちる中、そして、痛みも出てくる中、ギリギリまで、笑顔を忘れなかった。そして帰り際には必ず握手をしてくれる。

食べられて無い、飲み込みも厳しいって事で点滴もすぐ開始。点滴のルート確保の為に大病院まで行き一泊入院し、その抜糸のため、再度大病院に行き主治医の先生や看護師さん達に挨拶もして回ったのが先週の金曜日。

そこから痛みの増強と、全く食べれなくなり、持続点滴や麻薬点滴が始まった。

昨日の夕方、奥様の許可をいただき訪問した。 今日緩和ケアに入院するまで正直持つか分からへんって在宅の先生に言われた。確かに痛みが増強してたから麻薬の持続点滴が開始になって、もう意識もほとんど無い状態。でも苦痛が取れてて温和な表情。奥様から枕元で本人のエピソードを色々聴いてると時折目をグッとつぶってニコッとした表情になるのをみて絶対聞こえてるねーって奥様と笑ったり。そばにいて、奥様と話をすることが私にできること。1時間ほど本人のエピソード満載の人生を聞かせてもらった。

本人、何度も何度も入院して大きな手術も経験し、そのたびに復活してきた。だから意識のある時に完全に動けなくなったら妻の負担になりたく無い。病院で死にたいんだって。初めましての時に私と看護師さんに話してくれた。家で死ぬ(看取る)って事をしない選択。でも、ギリギリまで家族と一緒に過ごしたいって。

この方はACPをはっきりと言うてくれた。こうしたい、これは嫌だ。これをお願いしたい。ってどんどんご自身の最期をこうして欲しいって伝えてくれた。ずっとガンと闘ってきたから分かってるんだって。最期にあなた達に会えて本当に良かったって言われた時はほんまグッときた。

今日夜帰る前に奥様から電話。昨日の夜はお子さんも来てくれて、3人でずっと穏やかな夜を過ごしたって。味噌カツが好きやから、すこし味噌をガーゼにつけて舌にのせてあげたり、大好きなテレサテンさんの曲を流してあげたり、旅行で世界を飛び回り、そして、書がとても達筆で。大好きな人、大好きな物に囲まれて自宅での最期の夜を無事に過ごせたって。後悔していないのよって。朝イチ民間救急で搬送してもろて、ついたときには酸素も60%、血圧も触診出来ないくらいまで落ちたけど病棟にあがったら少し持ち直したって。コロナの事があるから最小限だけど、面会も許されたから、奥様としては、本人の最期の望みを叶えられたって穏やかに話をしてくれた。最期の場面で貴方が看護師さん、お医者さん、マッサージ師さん、用具さんに会わせてくれたのよ、そして何より本人がとても喜んでいたのよって言われ、大事な大事な場面に関わらせてもらえてこちらも感謝していますと伝え涙を堪えて話をした。

実に濃ゆい20日間やった。どうしてもこの方のことは生きておられる間に記事にしておきたかった。

自宅で死ぬ(看取る)って書いてるけど、どう死にたいかってどういう風に生きたい、生ききりたいかって事やと思ってる。生き方を支える。それが、この仕事の醍醐味なんやと思ってる。

この方はほんまカッコいい人。どう生ききるかをきちんとご家族に伝えられ、そして私達に伝えてくれている。

ありがとう!




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