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「条件なき平等」#おすすめの本②

こんにちは!
ARUN Seedでサービス・ラーニング生としてお世話になっております、大学2年の浅田です。立秋が過ぎたというのに、暑さに拍車がかかる毎日ですが、みなさまどのようにお過ごしでしょうか?
先週のnote「ファイナンス×社会貢献の未来 #おすすめ本 ①」に続きまして、私からもおすすめの本について紹介します!

いかなる国際協力や支援において共通するビジョンとして存在する、”不平等や差異をなくす”活動を行うにあたり平等である社会とは一体何かについて本を通して考えていきたいと思います。

『条件なき平等』私たちはみな同類だと想像し、同類になる勇気をもとう

本書では、フランスが平等の国であるというのは神話にすぎない。ということを前提として、違いがあることによって生まれる差別を当たり前のものにするのではなく、その違いを認め合える社会へと構造を変えることによって、人それぞれが持つ個性に対して差別することなく、同じ人間という大きな括りでまとめることができ、平等であるあり方を探す、といったことを話している。

第一章 「平等 対 フラテルニテ」

フランス共和国の標語「自由・平等・友愛」における、兄弟の意味は白人男性を意味していることを示している。つまり、兄弟ではないもの=男性ではない人、白人以外の人を指し、言語レベルから差別を生み出す構造を持っていることを記し、その上で平等とはどのようなものなのか討論している。

第二章 「平等 対 自由」

フランスでの#Metoo運動などを事例とし、差別被害を受ける者が連帯(Solidarity)を持つときについてや、自由を持つことは自由になるべきだと押し付けをされるのではなく、平等な社会になれば必然的に自由へとつながること、さらにはアーティスト自身が差別的扱いを受けている集団の一員であることを自覚し、その事実に対して対抗を行った事例などをあげて、平等と自由、そしてそれらがどのように当事者たちの自覚と反抗へとつながるのかについて書かれている。

第三章 「平等 対 平等神話」

法律は秩序とともに平等を作り出すことを約束した者であるのにもかかわらず、未だ根強く不平等が残っている世の中になっているのはなぜかについて、平等神話を使い説明している。フランス流の平等=個人の自由を重視し、人間は生まれながらにして自由平等で幸福を求める基本的人権があるという考えは、あくまでも神話にしかすぎず、現代社会に置き換えたときには平等を実現させるためには個人別化させるのではなく、全ての人が同類であると認められ共に生きることを可能にさせるべきだと筆者は考えている。

不平等を平等に変えるために必要なこと

第一に、正直この本の内容は理解が難しかったです。フランス共和国の自由や平等のあり方について親しみがあるわけではなく、使われている言葉も難しい。一度読むだけでは理解に苦しみました。笑

しかし、本書を通して共感した部分がいくつかあります。

まず、不平等を平等に変えようとしている時点で、それはもう”条件付きの平等”として考えられる、ということです。どんな是正を行うにしても、貧弱な立場にいる人に対して手を差し伸べている時点で、一方は相手よりも優勢的な立場であることを自覚しなければならないのです。そして、援助する当事者になっていようがいなかろうが、不平等を作り出す社会の一部であることも忘れてはなりません。

また、差別を受けている人に対して配慮をしている時点で平等な社会ではないということ、差別に直接的に関与していなくとも差別の対象となる被害者になっていない人がいる時点で、彼らは優勢的立場に無意識のうちに立っているため、彼らにとって平等な世の中を作ることに対するメリットは特にはないという文章に強い印象を覚えました。

平等にするために、差別をやめて不平等さを取り除こうなどの働きかけは、弱い立場にいる人々のことをかわいそう・どうにかしてあげたいなどの気持ちが多少含まれているからであり、人情的な感情を除外した際、差別されている人のおかげで地位が高くなっている事実に対して不満がある人はあまりいないのではないかと考えられます。

だからこそ、差別や不平等を作り出す加害者・被害者の立場に立っていなくとも、間接的に関与しており、その事実に対して違和感を感じるのであれば、ポジティブな変化を求めて行動を起こすべきだと感じました。

この不平等に対して手を差し伸べるという行為は、自分の地位や立場を気にしたエゴなのでしょうか、それとも本当にこの格差のない世界=条件なき平等が当たり前となった世界を作り出すために何かをしたいという善意なのでしょうか。この二つには、行っていることが全く同じだとしても意義が大きく変化するのではないかと考えます。

違いがあることを前提として同じ人間であることを認め合える世の中にするために必要なことは、不当に差異化されたことへ正当な判断と方法を見分けて実行させる力を養い行使することです。そして、自分のアイデンティティは他者によって確立されたものを規範とするのではなく、流動的かつ自分で決めることができるものを差異として互いに認めることを前提にする。そしてその違いが普遍的であり、”条件なし”にそれぞれの個性に花を咲かせることが重要であるのです。

上記のことを実現させるためには、まず条件付きの平等​​を不平等的扱いを受けている人が持つことのできる社会にする必要があるのかもしれません。しかし、それすらもを実現させることのできていない人々は世界に五万といます。日本社会も例外ではないと思います。

自分の身近なところから、平等とは自由とは何か、自分は他者にとってどんな立場にあるのか、小さなことではあると思いますが、そこを考えてみることで、大きな変化へとつながる一歩へとつながるのではないでしょうか。

こんなことを書いていながら、私自身も見つめ直して条件なき平等とは何かさらに考えを深めている途中であります。笑 ぜひ、みなさんも考えてみてください。

この記事を通して、国際協力・支援について興味を持っていただけた方、是非この夏に読んでみるのはいかがでしょうか!
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参考資料

「性被害告発続出…フランスのエリート校で「#MeToo」拡大 学校側は名声気にして?沈黙」東京新聞 2021年3月24日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/93440 閲覧日2022年8月9日

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