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続・夢十夜(六)



一 母と社員旅行 


 僕たちは社員旅行に行くことになっている。母は新入社員だ。今日現地集合になっている。広島のようだ。僕はどこに何時に集合するのかも知らない。母も念のため会場に電話して聞いている。イベント会社か何かが仕切っているのだろう。どうやら新入社員だけ早く集合のようだ。僕は自分が何時に着けば良いのかが分からないので電話してみる。母に電話番号を聞くがなかなかパッとは出てこない。この段階でちょっとイラッとしている。電話をしても、なかなか出ない。きっと問い合わせが殺到しているのだろう。イライラ。やっと出た。「2年目以降の社員は何時集合ですか?」「はあ?だから、深夜までに入ってもらったらいいですよ。」「で、集合場所はどこ?」「○△□✕・・・」「もういいです、こっちで調べます。」相当同じような電話がかかっているのだろう。いらついているようだ。しかし、「はあ?」はないだろう。こっちが顧客だぞ。二度とこんなイベント会社には頼むなとアンケートに書いてやる!

二 初めてのスクーター


 初めてスクーターに乗る。足をそろえて乗っていればいいのに、自転車のようについ足が動きそうになる。ある程度乗ると気持ちよく乗れるようになる。少しスピードを上げる。僕は、東へ東へと進む。人が多くなってうまく進めなくなる。突き当たりまで来たのでバイクから降りる。目の前の建物に入る。公民館か何かだろう。いろいろと催し物がある。突き当たりまで歩いていくと、何か宗教か思想的な集会をやっている。中をのぞくが入りにくそうで外から見るだけにした。僕はかなり遠くまで来たと思っている。ここは雲南町だよという声が聞こえる。ふと見ると中3の生徒が2人いる。定期テスト前なのに遊びに来ているのだろうか。目の前のお化け屋敷のようなものに入ろうとしている。僕は自転車で来たのかと聞くと、はいと答える。自転車で来られるくらいの距離だったのかと、少しショックを受ける。僕は、バイクで帰ると伝える。安全運転で帰るからと言う。

三 数学者の対談


 寮だろうか。通路の両側にたくさんの個室がある。その一番端の両側はロッカールームになっているようだ。僕はどちら側を使っているかが分からなくなり、一方を覗く。すると女性二人がいて、こっちじゃないよ、と言う。反対側に入ってみる。棚にはたくさんの本が並んでいる。僕は自分の棚を探す。自分の読んだ本を探す。しかし、なかなか見つからない。ある棚に見たことのない本がある。昔出版されていた朝日出版社の対談本のシリーズのようだが、共立出版が出している。中身はどうやら戦後すぐの頃の数学者の対談のようだ。また、いま時分にこんなものを見つけ出したのだなあ、と感心している。

四 二度寝で見た夢


 二度寝をしている間に見た夢。まだ少し早いからもう一度寝ようとしている。母も姉も起き出している。僕は暑くてエアコンのある下の部屋で寝ていたが、朝方は涼しくなっているので、2階の自分の部屋に戻って寝ようとしている。向かいの窓を見ると、イケメンが裸でポーズを決めている。反対側の窓を見ると、ベランダでおじさんが体操をしているのか踊っているのか。しばらく大雨が降っていたようで、近くの川を見ると水量がかなり増えている。たくさんの人が通勤や通学のためにあわただしく歩いている。僕は、目覚ましがなって起きる。

五 工事現場


 以前テニスコートだったところを業者が購入し、集合住宅を建てようとしている。今は土を掘り返した小高い丘ができており、その上に2台のショベルカーが鎮座している。端の方ではおそらく排水溝を作っている。その前を通り過ぎるときにふと思い出した。1日仕事が休みでその工事現場を見ていなかったらすっかり砂が運び出されていて、全面にコンクリートがはりめぐらせている。1日で全て運ぶとは、大変な作業だったことだろう。そんなふうに思っていた。しかし、そこにはまだ山盛りの砂がある。そうか、それはやっぱり夢だったのだ

六 押し入れの本と大工道具


 押し入れに頭を突っ込んで寝ている。上を見ると。雑誌や本がぎゅうぎゅうに詰め込まれている。僕はその中の一冊を抜き取る、バサッと一気に落ちてくる。なんとか逃げ切った。もう一度頭を突っ込んで上を見る。すると今度は大工道具がいっぱい押し込まれている。鋸や鉋、金槌など。落ちてきそうでうかうかと寝てはいられない。

七 4年ぶりの大宴会


 妻は工務店で設計の仕事をしており(本当は娘)日曜大工が趣味だ。家の前で鋸を持って小さな板をたくさん切り出している。どうやら夏休みの宿題のようだ。私にも1つ作るようにと板を渡される。しかし、私はいたって不器用だ。隣家夫妻が外に出てきて視力検査のようなことをしている。妻にもやってあげると言う。うちの子どもや近所の子どもたちも次第に集まってくる。私にも同じようにするからと声がかかる。私はつっかけをはいて外に出ようとするが、シチューのようなものを踏んだのか周りがヌルヌルしている。「早く、呼んだはるよ」と娘に言われる。「ごめん、寝てた?」「いや、ゴロゴロしてただけ」私は少し奥まったところに連れていかれてそこで検査をしようとしている。すると一番奥に住んでいる老夫妻が子どもたちにとたくさんのおやつを出してこられる。私もよもぎ団子を1ついただく。うちの息子もいっしょに食べる。小さな子どもたちが何も言わずに食べようとするので、私は「ありがとうって言ってから食べや」と声をかける。奥の大広間では宴会が始まっている。どんどん人が増えている。4年ぶりの大宴会である。

八 畳の上の灰


 実家の二階で両親と姉と僕と4人で寝ている。するとレコードプレーヤーが明るい音楽を流し始める。「目覚ましがわりに自動でスタートするようにした」と父が言う。姉と父は仕事に出かけるため下におりて朝食にしている。母は僕の横に寄り添って「あなたはまだ出掛けなくていいのだし、もう少し休みなさい、最近寝不足だと言ってもいたのだし」と言う。僕は、今日は午後からの出勤でよかったのかどうか考えている。ふと窓の方を見ると、その下の畳の上にたくさんの灰が落ちている。僕と母はそれを手でつかんでゴミ箱に入れている。「本当は掃除機の方がいいのだけど」と言いながら、僕は灰をつかむ。粉々につぶれる。仏前に手向けた線香の灰である。

九 それは僕の仕事か?


 僕は教科委員長をしている。理科の教科会で集まっている。何か質問などないかとたずねる。若い女性職員から、今後の予定をきかれる。別に普通通りです、とこたえる。入試分析研修をどうするのかときかれる。僕はすっかりそのことを忘れていた。理科は各自でやるということでお願いします、とかわす。本当にそれでいいのかとざわつく。上から指示はおりてきていない。だから、僕も忘れていた。だいたい僕は校長をしているのになぜ教科委員長も担当しているのか。それは僕がやるべきことか。おかしい。というようなことをベテランの職員と話している。

十 前職の社員旅行


 30年以上前に勤めていた会社の社員旅行に参加している。部屋から眺める夕日がきれいだ。窓の下は海岸になっている。僕は社長に挨拶をする。あのときはえらそうなことを言ってすみませんでした。僕もまだまだ若かったので。いまならよくわかります。どうして社長があんな風に言ったのか。(何日か前に、社長が亡くなったということを知ったから思い出したのだろう。特に思い入れがあったわけではない。)

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