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新・夢十夜(二)


一 哲学カフェ


 僕は何かの研究会に参加している。まだ、お話前でだらだら雑談をしている。僕は持参したおにぎりを食べたりしている。そこへ女性2人組がやって来る。前にも会って少し話したことがある。1人は気の強い女性、もう1人はおっとりした感じで、目がくりっとしている。僕はそのおっとりしている方の女性に好意を持っている。信州でキャンプをしながら哲学カフェをするというような会があるとチラシに出ている。それを見ながら女性2人は話をしている。僕はぼそぼそと低い声でその内容についてたずねる。気の強い女性が「何この暗いヤツ」という感じで冷たく返事をする。おっとりした女性は「で、これどうすればいいの?」と聞いている。「あなたが幹事をすればいいんじゃないの」などと言われて、どうしたらいいかともじもじしている。僕は甘ったるい声で「いいなあ、楽しそうだなあ」などと言う。しかし、僕は心の奥で、「いけない、僕は結婚しているのだった。これ以上、好意を持ってはいけない。」と思っている。もう少しで話が始まるので僕はトイレに行く。どこの田舎か、おそらく廃校になった学校ではないかと思うが、トイレは古いぽっとん便所だ。窓の外には墓地が広がっている。トイレから戻るとすでに話が始まっていた。

二 ムカデのような猫の背中


 妻の実家にいる。部屋の中にいろいろな虫がいる。僕はどうにかして外に出そうとしている。ふと見ると、布団の上で巨大なムカデがはっている。「最悪」と思っていたら、ムカデだと思ったものが実はかわいい猫の背中だった。

三 火事とお芝居


 明け方、消防車のサイレンが聞こえる。目が覚めて出かけると、実家から50メートルほどの家が3軒焼けていた。全焼ではなく、下には人がいて掃除をしている。自治会で僕の前に役をしていた人のようだ。無事でよかった。焼けた家の前にはバス停があり、母親とバスを待っている。その前にたくさんのポスターが貼られている。夜通しやるお芝居のようだ。ちょうど仕事が終わる時間だから、一緒に見に行こうかと相談している。

四 エレベーターのエロス


 学生時代の友人たちと集まることになっている。信州の大きな旅館のようだ。エレベーターに乗って移動するのだが、電車のようになっており横に進んでいく。僕は、以前はよく横に進むエレベーターの夢を見たという話をする。どうもそれはエロティックなことが関連しているらしいとも。でもこれはエレベーターではない。戻りは一人乗りのリフトになっている。しかも、遊園地のアトラクションのようにむちゃくちゃ揺れる。これはシートベルトしないと危ないんじゃないかと話をする。すると近くにいた旅館の人が2人顔を見合わせて笑っている。きっとシートベルトの話は何度も問題になっているのだ。端までやってきた。今度はエレベーターで垂直方向に移動する。しかし、このエレベーターが小さい。2人乗ったらもう息が詰まりそうだ。苦しい。

五 小銭


 小学生の子どもたちと一緒に路線バスで移動している。途中何か忘れ物をしたのかお店に寄るために降りる子どもたちが数名いる。あとのバスにまた乗ってくるのだろうか。降りるときにはもちろん皆お金を払っている。ところが、どうやらお店は閉まっていたようで、皆すぐに戻って来る。バスが出発する前に間に合ってよかった。降りるときと同じ前から乗ってくる。お金は払わない。先に払っているのを運転士は知っているから最後に降りるときはまけてくれるだろうか。子どもたちはきっとそのつもりなのだろうなあ。そんな中、1人最後に乗ってきた女の子はまたお金を払っている。律儀な性格なのだ。そんなふうに育てられているのだなあ。でも小銭とは言えもったいないなあと僕は思っている。

六 使い捨てペニス


 実家の2階で朝目を覚ますとまず僕はまず使い捨てペニスを取り外してゴミ箱に捨てる。液体を絞り出し、家族に見つからないように小さな箱に入れて。時計を見ると12時とか13時とかに見える。しまった寝過ごしたか、と思って下に降りる。母親が居間の掃除をしている。母は「痛あ」と言う。裸足の下を見ると小さなあられのようなものが落ちていて、それを踏んでしまったのだ。他にも落ちているので僕はそれらを拾ってゴミ箱に捨てる。今になって2階で目覚ましがなっている。セットする時間を間違ったのか。母が僕のスマホを持って降りてくる。確認してみると何度も鳴っていたようだ。時間はいま10時である。僕は用をたそうとトイレに入る。汚い。掃除の途中のようで、そこら中水浸しだ。父親がやってきて掃除の続きをしている。僕は排尿できずに困っている。

七 宿題忘れ


 穴埋めをしてくるのを忘れてきた。最初だけ書き込んで全部やった気になっていた。大勢の人の前で当てられて順に答えるのだけれど、僕は全く答えられなかった。答えを見ても咄嗟にはどこのことか分からなかった。あとで先生がやってきて「清水くんどうしたの?」と聞かれる。僕はもう謝るしかない、信頼してもらっていたのに先生にまで恥をかかせてしまって、本当に情けない思いでいっぱいだ。

八 バナナのような歯ブラシ


 友人たちと旅館に泊まっている。朝、歯を磨こうと洗面所に行く。しかし、それは畳の部屋の中の一角に蛇口と排水がついているくらいのものだ。1人ずつコップと歯ブラシが準備されている。コップには水まで入っている。これは親切なんだろうか。ふと見ると歯ブラシと思っていたものはバナナ大の綿で作られた円柱形のものが棒に突き刺さっているだけのものだった。これは口に入るのか。歯磨き粉はついているのか。

九 甘南備山


 サイクリングをしていて人だかりができている場所に出くわす。どうやら甘南備山の登り口らしい。下山した人たちが騒いでいるようだ。きれいな水が湧き出しているが、便器のような形をしている。この水を皆飲むのだろうか。ふと横を見ると、スーツ姿で下山して来た人がいる。スーツはどろどろである。「あなたも登って来たの?」と声をかけられる。「いや、僕はサイクリングをしているだけです。ここから甘南備山に登れるのですか?」などと会話をする。

十 謝罪


 人工授精の実験だろうか。僕は卵子が入った2つのケースの中に自分の精液を入れる。希釈した上で一滴入れるものを誤って原液のままで入れてしまう。医師がケースの状態を味見するように確認すると、精子が大量に入っているということに気付く。何人かの学生たちと一緒にやっていたので、誰かそのまま入れたのではないかと問いただされる。僕は仕方なく申し出る。その後、卵子を提供した2人の女性たちの2組の両親に僕は謝罪する。しばらく体育館でバスケットボールやバレーボールをしている学生たちを見学していたが、再びその親達に体育館横に呼び出されて謝罪する。父親たちは簡単に許してくれるが、母親たちはぐずぐずと詰め寄ってくる。僕は出身大学や今の仕事や何やかやと聞かれる。

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