【就活講座】開発コンサルタントの心得③自己分析の先にやりたい業界や仕事がでてくるわけではないー業界の雰囲気を知ること
一般的な就活のすすめ方
ほとんどの就活本では一般的に、企業に応募する前の事前準備として、「自己分析⇒業種/業界研究⇒職種研究⇒会社研究・・・」という順番で就活をすすめるように指導しています。
そしてその後に、いよいよ希望の企業に対して、エントリーシート(ES)の作成提出(1次選考)、グループあるいは個人面接(2次選考以降)がさらに控えています。これは、事前準備に対して実戦あるいは模擬試合の段階ともいえます。
このように、大学3年生や4年生、あるいは大学院生のあなたは、わずか1年弱の就活期間のなかで、この事前準備をして、多くの企業に面接をしてもらったうえで(模擬試合)、最終的に本命あるいは自分の納得できる企業に内定をもらう(実戦で勝つ)ことが求められています。
業界には特有の「におい」があります
わたしは1992年に大学を卒業して学部卒で就職しているのですが、もちろん、約30年前と時代背景も社会構造も大きく変わっていることは間違いなく、このわたしの就活経験が、今のあなたの参考になるとは、そのまま役立つとは思っていません。
しかし、会社員として、就活学生を面接する側となって、また開発コンサルタントとして、多くの国際機関や霞が関やJICAなど官庁や行政機関、政府開発援助を一緒に推進している商社、メーカー、コントラクター(建設業者)のエース社員と仕事をするなかで思ったことがあります。
つまり、組織を代表するような、これらいわゆるできる人たち(エリートとはいいませんが)には、共通した「におい」を感じるのです。それらの職員や社員は、天性のものがあるのかもしれませんが、その職場環境にしっくりと馴染んでおり独特な雰囲気をかもしだしています。同じ組織の人はなんとなく同じ雰囲気がする、そんな覚えはありませんか。
人は先天性より環境によって育てられます
わたしの大学時代のクラブの同期のふたりが総合商社で働いています。かれらは大学生時代からよく知っており、今でも数年おきに同世代のクラブの仲間たちと一緒に会う機会があるのですが、社会人生活を続ける中で、見事にその所属組織のカラーに染まっていました。
今思うと、逆の組織への入社はあり得なかったと思えますが、正直、大学卒業時に、これほど差異がでることになるとは思いもよりませんでした。なんとなく二人とも商社マン(パーソン)になるんだという程度に思っていましたが、今ではそれぞれの会社のカラーをまとった商社マンになっていました。
これは結局、最初の就職試験の段階で組織が自分の組織文化にあった人を選んで、さらにはその組織人として教育していくということでもあります。個人の能力というより、具体的には上司や同僚など人の要素が大きいと思いますが、組織そのものの環境が人を育てるのです。
さらにいえば、彼らは商社マンとして、それぞれの会社の文化をまとっていますが、少し引いたところからみてみると「同じ商社業界の中の人」という共通の雰囲気があります。
そして、わたし自体は国際協力を仕事としている「開発援助業界」で働いてきたのですが、この業界内部の人は、やはり何となく同じ「におい」を感じます。
あなたに合った業界があるのではないか
結論からいうと、わたしは、就職活動の手順として、自己分析からやるのではなく、まず「ひろい意味の業界研究をして具体的なターゲットとする会社をまず決めること」が大切だと思います。これは、もちろん、仮決めでいいです。
それがどんどん変わってしまってもかまいません。どうしてもこの会社でないとダメだという一部の人をのぞいて、就活を進めるうえで、志望業界や志望の組織などが変わるという人が現実には大多数だと思います。
しかし、まず今の時点で一番あなたが興味のあるひとつの業界や会社なりを決めることによって就職活動が具体的に動き出します。
自己分析の先にやりたい業界や会社がでてくるわけではない
はっきりいえることは、「自己分析の先に、自分のやりたい業界や会社がでてくるわけではない」ということです。自己分析にあった業界や会社は、果たしてあなたが本当にワクワクする楽しいと思えるものなのでしょうか。
この業界や会社に興味があるのだけども、自分の性格や能力で勤まるのだろうかという意味で自己分析することはもちろんありです。しかし、自己分析してわかった自分の能力からこの業界や会社を選ぶべきだというのは、本末転倒のナンセンスでしかありえません。
このことはとても重要なことなので、後で項をあらためますが、もうひとつ重要なことをいいます。
就活の目的=面接で選ばれて内定をもらうこと
就活の目的は、めざす会社に内定をもらって、さらには入社することです。つまり、事前準備やエントリーシートは実はどうでもよくて、一定の水準にあると会社が判断した一次試験合格者、つまりエントリーシートが通ったひとの中から、面接で「あなたが選ばれなければ」なりません。
その面接の場面で重要なことが、一番最初にいった下記の優先順位です。
面接試験官が聞きたいことは、「志望動機>>>学生時代にやったこと>自己PR」
面接試験官が聞きたいのは、自己分析のプロセスではなく、自己分析の結果=志望動機です。その志望動機とは、なぜ、この組織なのか、この業界なのかということです。ではなぜ、志望動機を考えるのか。それは、その組織に興味があって自分自身が所属したいと考えるからです。
つまりその業界や組織に興味があるから志望動機を考えるのです。
志望動機をいわなければならないから、自己分析をしなければならないのです。常に、志望する業界や組織ありきで、そこを突破するために就職活動のステップを踏んでいく。その原則を忘れないようにしてください。
次項では、今回のべた「具体的なターゲットとする会社をまず決めること」と就職活動で最も大切なことは「面接試験で、試験官が聞きたいのは志望動機」であることから、いったん離れて、一番最初にあげた「就活本に書いてある一般的な手順」に従うことによって起こっている「弊害」について解説します。
この項 了
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?