北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画
現在、SOMPO美術館で開催されているのは、
“北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画”という展覧会。
北欧3カ国をそれぞれ代表する国立美術館、ノルウェー国立美術館、スウェーデン国立美術館、フィンランド国立アテネウム美術館の3館の全面協力のもと、
北欧3カ国を代表する画家の作品、約70点を紹介するものです。
北欧のデザインやテキスタイル、絵本にスポットを当てた展覧会は、これまでに日本でも幾度となく開催されてきましたが。
実は意外にも、北欧の絵画にスポットを当て、本格的に紹介する展覧会は本展が初めてなのだとか。
北欧を代表する画家といって、まず思い浮かぶのは、ノルウェーの国民的画家と言っても過言ではないムンクです。
それから、フィンランドの代表的画家といえば、近年、国立西洋美術館のコレクションに作品が加わり、国際的にも再評価が高まっているアクセリ・ガッレン=カッレラ。
さらに、ガッレン=カッレラが新収蔵された翌年に、国立西洋美術館に作品が収蔵されたアウグスト・ストリンドバリ。
彼は画家というよりも、スウェーデンを代表する劇作家として知られています。
ムンクは圧倒的に知名度が高いとして、ガッレン=カッレラやストリンドバリの名前は、よほどの美術ファンでもない限り、知らないことでしょう。
さらに、本展では、ブルーノ・リリエフォッシュをはじめ、
ニコライ・アストルプ、フーゴ・シンベリ、ガーラル・ムンテといった、初めて目にする、初めて耳にする画家が次から次へと登場します。
正直なところ、情報整理は追い付きませんでしたが(笑)、なんとなく日本人の気質に合う、沁みる作品が全体的に多く、はじめましてなのに、昔から知っているような妙な親近感を覚えました。
特に個人的に印象に残っているのは、
フィンランドのヴァイノ・ブロムステットによる《冬の日》。
作品が目に飛び込んできた瞬間に、カモメの鳴き声が聞こえてきました。
ついでに、『津軽海峡冬景色』とか『雪国』とか演歌も聞こえてきた気がします。
と、どことなく日本を感じられる作品がある一方で、
やはり日本とは全然違った景色や文化が感じられる作品も多々あります。
例えば、スウェーデンのニルス・クレーゲルによる《春の夜》。
日本では観たことがない植物です。
どこまでが枝で、どこからが根なのか。
少なくとも、この情景から春は感じられません。
日本と北欧では、春の感覚も違うのでしょうね。
また例えば、フィンランドのロベルト・ヴィルヘルム・エークマンによる《イルマタル》。
イルマタルとは、フィンランドの民族叙事詩『カレワラ』に登場する大気の乙女。
上空から原初の海へふわっと舞い降りてきたイルマタルは、その流れで波風と交わり、ヴァイナモイネンという賢者を身ごもります。
この絵は、まさにその瞬間が描かれたもの。
イルマタルのなんともいえない絶妙な表情は、五月女ケイ子さんのイラストを彷彿とさせるものがありました。
全然名前は憶えられていないですが、まだまだ印象に残った作家はたくさんいます。
印象派やポスト印象派の絵と比べると、やや派手さに欠けるきらいがありますが、北欧絵画は独自の魅力に溢れていました。
この展覧会が無かったら、きっとそれに気づけなかったはず。
出逢いの機会を作ってくれたSOMPO美術館に感謝です。
⭐️⭐️
ちなみに。
本展では、SOMPO美術館開館以来初の試みとして、展示室内の数か所で、展覧会をイメージしたBGMが流れています。
北欧の神秘的な雰囲気をイメージしたものとのことですが。
若干ホラー寄りだったような、、、(笑)
『あなたの知らない世界』で流れてそうな感じの曲でした。
なお、展覧会を観終えて、1階ロビーに戻ると、床の一部にこんなものが。
なるほど。北欧だからオーロラなのか!
と、プロジェクション的な演出かと思ったら、
ただ、タイミング的に外の光が差し込んで、虹が出来ていただけでした。
┃会期:2024年3月23日(土)~6月9日(日)
┃会場:SOMPO美術館
┃https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2023/magic-north/
~読者の皆様へのプレゼント~
“北欧の神秘”の無料鑑賞券を5組10名様にプレゼントいたします。
展覧会名・住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は4月10日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。