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花を並べただけ、なのに!燕子花図屏風は何がそんなにすごいのか

【アート書き散らし】

作品や画家のこと、展覧会の感想などをサクッとゆるっと語ります。

今年も根津美術館で、尾形光琳の『燕子花図屏風』が公開されています。

尾形光琳『燕子花図屏風』右隻
根津美術館の至宝です。
毎年この季節にのみ公開されています。
同左隻


名作と名高い一枚ですが、言ってしまえば、燕子花をたくさん並べただけの絵。
一体、何がそんなにすごいのでしょうか。

それは、とにかく何もかもが大胆で思い切っているところです。

①モチーフ選びが大胆
テーマは『伊勢物語』、主人公の在原業平が、八ツ橋に咲く燕子花を見て和歌を詠む場面です。でも主人公の在原業平はおろか、舞台の橋すら出てきません。
燕子花に物語を託しているのか、燕子花を描くために物語を利用したのか。どちらにしても潔い…!

②画面構成が大胆
燕子花がほぼ等身大&大量で、否が応でも目に飛び込んできます。右隻は花の全体図、左隻はクローズアップした図になっていて、燕子花が奥から手前に迫ってくる感じがします。
燕子花の大群が右から左に行進してくるかのようです。

③配色が大胆
使われてるのは金、青、緑の3色のみ。なのにこの存在感!
金一色の背景に燕子花の青と緑がよく映えてますよね。

④デフォルメも大胆
葉脈などの細かいところは全部省略。茎や葉は一筆書きのように簡略化され、花弁も絵の具の濃淡で表されています。
光琳の筆の動きがはっきりと分かり、絵というより、色の付いた書を見ているようです。
(この簡略化したフォルム、絵の具の大胆な塗り方は、先日見たマティスの切り絵を思い出しました。)
近くに展示されている俵屋宗達の屏風と比べると、その大胆さがよく分かります。


『燕子花図屏風』をはじめ、光琳の作品は思い切ったものが多いです。
今回の展覧会の中だと、『業平蒔絵硯箱』は人物の大胆なクローズアップが印象的でした。

『燕子花図屏風』の展示は5/12まで。生の迫力は圧巻です。ぜひ足を運んでみてください!


光琳はじめ、琳派の魅力についてはこちらで詳しく掘り下げています。


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