和の国に生まれて
貧困患者の家庭訪問
イラク北部(クルド自治区)滞在も、残り2日
貧困患者家庭の訪問に同行させていただきます
ワーク・ショップで2日間を
共に過ごした、姉妹ご家庭です
※過去寄稿「院内学級での墨絵教室」より
最初は筆を取るにも遠慮しがちでしたが
2日目は制作に慣れ
積極的に励む姿が、印象的でした
先にアルビルで家族を呼び寄せるために
仕事をしていた父親の準備から
2020年に妻、彼女達姉妹を含む
子供たち4人も移住したそうです
しかし、その直後から一家に
次々と困難が襲い、滞在許可書を取得するため
弁護士に依頼したところ
パスポートと代金を持ったまま弁護士が逃亡
これらが戻ってくることもなく
現在は一時的な滞在許可書が与えられ
更新しながら生活しているとのこと
母国、シリアへ戻ることも出来ない状況です
父親は不定期な日雇いで働いている中
長女のシャームは時を同じくして
頻繁に体調を崩すようになり
ナナカリ病院で受診し、
治療を受けたことから
現在はJIM‐NETハウスの院内学級に
通学するようになり、
私も出会わせて貰いました
シリア人難民キャンプの現状
この経験を通じ、はじめて知り得ましたが
難民キャンプをはじめ、この家族のよう
自分達では回避できない戦争や侵略といった
理不尽から働く意思があっても
安定的な収入を得ることが難しく
母国へ戻ることが叶わない実情を知ります
驚いたことにキャンプでの生活ですら
現在は国連からの生活サポートはほぼなく
自活を求められている現状です。
私自身、この渡航前までの
ぼんやりとした先入観の中で眺める
ニュースでの認識以上の厳しい現実
個々の能力や努力で現実を変えていくには
健康と最低限の暮らしが守られていない以上
あまりにも不条理な環境です
ただ同時に、このような困窮の中でも
人々は助け合い
共に暮らしていることを知り
家庭訪問時には客人へ
お茶をもてなす温かさ、
そして家族の絆という幸福が
確かに、存在していました
渡航した理由
ウクライナ侵略のニュースを通じて
この戦争に限らず21世紀になっても
世界平和が実現出来ていないこと
必然的に私達が目を向けていない
イラクやシリアも過酷な状況ではないかを
漠然と考えるようになりました
日々、何が起きるかわからない状況下で
暮らしをている人々に寄り添う、
私達に考える、きっかけを届ける様な
「アート・スカーフ」を生み出したい
そう想いを寄せて、始動します
和の国
日本着陸前、目に飛び込んでくる
悠々とした富士山の姿
空の澄み渡る青、翼の日の丸
あまりの美しさに息を飲みました
「平和」と・・・いうと
言葉が持つ意味も強く
時に、対立をも起こしますが
第一歩は家族や身近な人達、
少し視野を広げた人の繋がりに
愛、までいうと
若干、大袈裟かもしれませんが
まっすぐな心を向けることが
大きな和に繋がると心底、感じています
そして平和に恵まれた国、「日本」に
生まれてきた有難さを、感謝しています。
表現・言論の自由と
可能性への挑戦が快諾されるというのは
この国が平和で安全だからこそ
豊かさ、とは相手を
信じることが出来る心の器
その器を広げて再び、仲間達と共に
美しい世界を
作品で絶えず創出する努力をします
華々しい部分と
光を向けなければならない部分
その点と点を繋げられることを目指して
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お世話になりましたJIM-NET
(日本イラク医療支援ネットワーク)
活動を知った事がイラク渡航の発端でした
空爆の中をかいくぐり
縁もゆかりもない人達のために
医療支援を行い、
JIM-NETハウスを設立し
地域社会と仕事を創出される取組に
感銘を受けました
末筆ながら、この度はイラク北部の現状を
ご紹介いただきました事を
心から、お礼を申し上げます
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