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院内学級での墨絵教室(イラク北部・クルド自治区)

墨絵教室の主旨

※前寄稿「ナナカリ病院の見学」続き

JIM-NETハウスの学習支援を通じ
子ども達は一般の学校への
復学に向け、励まれています

日本から墨と布を持ち込み
院内学級でのワークショップに
2日間、携わらせていただきました

アート・スカーフ主旨の説明
綿の布へ子ども達が自身でテーマを決めて
墨を使い描きます

限られた素材の中で想像力や表現力を広げて
【工夫する力】を育むことを目的としています

画材の説明
黒/青/朱/金(少量)の4色のみ
水の加減で作品を表現します

墨の原料は、すす(燃やした時の炭素)と
動物性ゼラチン。
日本画や伝統工芸品の定着材でも一般的に
使用される膠(にかわ)は
紀元前、中国の黄河文明の時代が発祥です

メソポタミアからインダス、黄河と
一本の線でユーラシア大陸の文明を繋いだ
クラフト・アートのスカーフを
企画するため画材は墨を選定しました

同じ画材を使用した実演

院内学級の先生達が子ども達の制作を
丁寧にサポートされています

子ども達の描きたいテーマをくみとり
サポートする先生

子ども達の手に墨が付かないように
布を持ち上げる時、
小さなティッシュを挟ませて持たせる
こんな細やかなところに至るまで
配慮されるのかと、感激しました

最初は小判の布で見本を、そして完成品は
ストール・サイズの布へと描いていきます 

作風を打ち合わせする様子
見本を熱心に確認し
先生に相談する彼女

子ども達の作品

一番、制作に没頭していた彼女
水での「ぼかし」を上手く使いながら
細部まで描き上げています

空を飛ぶ鳥を
墨のフォルムで細部まで描き表す

「真剣さには何事も叶わない」
美しい眼差し
筆だけではなく
手も使い、表現
大きな1枚布に想像する海を
描く作業
共作で仕上げていきます
正統派な作風が爽やか
時間内の完成に安堵する表情
同じ海の絵でも大胆な構図が
特徴的な彼の作風

なんとなく
「パイレーツ・オブ・カリビアン」を
想像してしまう
船のフォルムがセンスいい!
(かっこいい!!)
どんどん作品数を仕上げていきます

イラクでは日常的な停電をテーマにした作品

墨濃淡と月明り
停電の夜も神秘的な印象に
墨の飛沫(しぶき)を
生かして全面を塗らずとも夜を演出
誰が教えたわけでもないのに
自ら考え・表現するアイデア力
椅子から立ち上がり
集中して筆を走らせる様子
テーマをカードに記します
A DARK NIGHT
IN
KURDISTAN NORTH OF THE IRAQ
描き込み方を丁寧に
検討して
世界観を表現している彼女

最初、彼女は緑の色が欲しい、と
言っていたので
緑を感じさせる作品を描いたらいいよ、と
アドバイスしたところ
秋と冬を描き分け、
中央で団欒している温かな作品に

四季(秋と冬)を描き表した作品
描き終えた笑顔も素敵
まるで切箔のように
金と朱色を上手く使い
緑を感じさせてくれる印象に

子ども達の個性全開で
楽しいクラスとなりました

見本には一切とらわれず
彼女の意思で描きたい作品を
迷いなく表現
水墨画の「にじみ」を生かし
伸び伸びとした表現が特徴的
大胆な構図
スカーフとして巻いた時も
面白そうなモダンな作風
なんと「SHARK FISH」!
サメの絵!!
線描写がユニーク!!
2日目の最後に記念撮影

子ども達の集中力と笑顔が眩しい
2日間、ありがとうございました!!

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