2020年はゴッホのひまわりが日本上陸!
ゴッホの『ひまわり』。この2つは構図は同じですが、別の作品です。
上の『ひまわり』は日本の損保ジャパン日本興亜美術館(2020年4月1日にSOMPO美術館に改称)が所蔵しており、常設展示もされています。
下の『ひまわり』はロンドン・ナショナル・ギャラリーが所蔵しています。
実はこのロンドンの『ひまわり』、2020年の日本にやってくるんです!
「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」。東京・国立西洋美術館、大阪・国立国際美術館で開催されます。
今回は、この2つの『ひまわり』に着目しながら、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」の見どころを探っていきましょう!
目次
1 日本とロンドンの『ひまわり』
1-1 似ているようで違う 2つの『ひまわり』
1-2 ゴッホはなぜ同じ構図で描いたの?
コラム1:名探偵コナン『業火の向日葵』
2 ロンドン・ナショナル・ギャラリー展のおすすめポイント
2-1 「西洋絵画の教科書」ロンドン・ナショナル・ギャラリー
2-2 展覧会の特色
見どころ①王道のようで変化球な展示構成にわくわく!
見どころ②史上初 イギリス国外の所蔵品展
2-3 開催概要
コラム2:おすすめは東京開催!『ひまわり』をはしごしよう!
1 日本とロンドンの『ひまわり』
1-1 似ているようで違う 2つの『ひまわり』
2つの『ひまわり』には共通点があります。一目見てわかる通り、構図が全く同じです。それもそのはず、日本の『ひまわり』はロンドンの『ひまわり』をもとに描かれたそうです。しかし、構図以外はどうでしょうか。色合いや筆致など、細かい部分は異なっていますよね。
全体的な色味でいうと、日本のほうが彩度が高いですね。花びらの黄色や茎の緑が鮮やかです。対してロンドンは、少しくすみが強い印象を受けます。また、ひまわりを挿している花瓶の柄はも違っていますね。
1-2 ゴッホはなぜ同じ構図で描いたの?
では、ゴッホは何のために同じ構図の絵画をわざわざ2つも描いたのでしょうか?
その理由は、研究のためだそうです。
日本の『ひまわり』を所蔵する損保ジャパン日本興亜美術館のHPには以下のような解説がされています。
ロンドンの《ひまわり》と同じ構図で描かれていますが、全体的な色合いやタッチなど、細かい部分はロンドンのものと異なり、ゴッホが複製ではなく色彩やタッチの研究のひとつとしてこの作品に取り組んでいたことがうかがえます。
損保ジャパン日本興亜美術館HP〈https://www.sjnk-museum.org/collection/gogh〉より引用
理科でいう対照実験のようなものでしょうか。同じ構図の作品をあえて異なるタッチで仕上げることにより、より良い絵画表現を追求しようとしていたのかもしれませんね。
展覧会では、ぜひゴッホの研究の足跡に注目して鑑賞してみてください!
コラム1:名探偵コナン『業火の向日葵』
劇場版名探偵コナン『業火の向日葵』はゴッホの『ひまわり』を題材にしています。『ひまわり』全てを日本に集めた「日本に憧れた向日葵展」が開催されるという設定です。全ての『ひまわり』が観られるなんて、羨ましいですね・・・。損保ジャパン日本興亜美術館も実際に登場しますよ。
2 ロンドン・ナショナル・ギャラリー展のおすすめポイント
2-1 「西洋絵画の教科書」ロンドン・ナショナル・ギャラリー
ロンドン・トラファルガー広場に位置するナショナル・ギャラリー。2300点を超える作品を所蔵しています。ギャラリー内には無料で入れるというから驚き!
その所蔵作品は多岐にわたり、質の高いものばかり。「西洋絵画の教科書」とも言われているほどです。
公式HPでは、Virtual toursを提供しており、展示の様子をバーチャル上で観ることが可能です。下記のリンクから。
ナショナル・ギャラリーの荘厳な建物と珠玉の絵画に圧倒されますね。Virtual toursでは、他の客がいないので、まるで宮殿を独り占めする王女になった気分になります・・・!まるで、映画『アナと雪の女王』に登場したアレンデール宮殿絵画の間のよう。アナやエルサの気分を味わってください。
2-2 展覧会の特色
見どころ① 王道のようで変化球な展示構成にわくわく!
本展は、《「イギリスとヨーロッパの交流」をキーワードに、西洋絵画史を読み解く。》というテーマを掲げています。
「西洋絵画・・・って色んな展覧会で取り上げられてきたテーマじゃん。前も行ったよ。ゴーギャンとかルノワールとか。わりと王道?」
待って待って!!
確かに、「西洋絵画」って今までさんざん紹介されてきましたよね。印象派は日本で人気のジャンルですし、私も大好きですし。ですがこの展覧会のユニークなポイントは、どのような視点から見るかということです。
上に「イギリスとヨーロッパの交流」をキーワードに・・・と書いてありますよね。つまり、本展はイギリス人から見た西洋絵画史を俯瞰していくという構成になっているのです。
イギリス視点から見るって、けっこう珍しくないですか?
その展示構成は、以下の通り。
第1章 イタリア・ルネサンス絵画の収集
第2章 オランダ絵画の黄金時代
第3章 ヴァン・ダイクとイギリス肖像画
第4章 グランドツアー
第5章 スペイン絵画の発見
第6章 風景画とピクチャレスク
第7章 イギリスにおける フランス近代美術受容
西洋各国の絵画が取り上げられていることが分かります。
私が特に注目したいのは第7章 イギリスにおける フランス近代美術受容。
19世紀フランスで進んだ近代絵画の改革がどのようにしてイギリスにもたらされていったのかを紹介します。ピサロやモネのようにイギリスを訪れて制作した画家もいましたが、同国では一般的に印象派やポスト印象派の受容はフランスに比べかなり遅れ20世紀に入ってから本格的な収集が進むことになります。アングルから印象派を経てゴッホ、ゴーガンに至る流れを、イギリスの視点から紐解きます。
よくある展示構成は、フランスで制作した作品を、フランス美術史のなかで紹介するというものだと思うのです。それを、あえてイギリスを通して解説するというのは、ロンドン・ナショナル・ギャラリー展だからこそ出来ることではないでしょうか。イギリス人は『ひまわり』をどのように観たのか、知るのが楽しみです!
見どころ② 史上初 イギリス国外の所蔵品展
ロンドン・ナショナル・ギャラリー、実はイギリス国外で所蔵品展を開催したことが一度もなかったそうです。記念すべき初航海の目的地に、日本を選んでくれたのは喜ばしいことですね。日本に白羽の矢が立った理由は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックだそうです(「日経トレンディ」No.457 2020年1月号, p.33参照)。国際的に注目が集まり、海外からも多くの観光客が訪れるからこそ、日本が選ばれたのですね。オリンピックの恩恵に私たちもあずかりましょう。
また、イギリスから来る61作品が、初来日だそうです。ボッティチェリ、レンブラント、フェルメール、ゴヤ、ターナー、ルノワール、ドガ、ゴーガン、モネ、セザンヌ、そしてゴッホ。西洋の巨匠たちの名作たちが並びます。
ほんとうなら、このページに61作品の中から特にオススメの絵画を掲載するところなのですが・・・
あまりにも豪華すぎて、選びきれません!!
ということで、展覧会の公式Youtube動画をご覧ください。61作品全てを紹介しています。荘厳たる音楽にあわせて歴史的名画が次々と登場する映像は、まるで大河ドラマのオープニングのよう。
この歴史的な展覧会、しっかりと目に焼き付けましょう!
2-3 開催概要
東京展
会期:2020年3月3日(火)~6月14日(日)
会場:国立西洋美術館
大阪展
会期:2020年7月7日(火)~10月18日(日)
会場:国立国際美術館
コラム2:おすすめは東京開催!『ひまわり』をはしごしよう!
東京・大阪で開催されますが、行けるのでしたら東京での鑑賞をおすすめします!理由は、2つの『ひまわり』を同じ日に鑑賞できるから。
『ひまわり』のはしご鑑賞です。
直接観るからこそ分かることってありますよね。絵具の厚さとか、絵自体の大きさとか。色合いも、写真で観るのと生で観るのとでは、全く違う印象を受けるものです。
一方の記憶を鮮明に保ったまま、もう一方を観に行くのはいかがでしょうか?比較するからこそ分かることもあるはずですよ♪
もし、このnoteを読んで『ひまわり』観たい!と思われたのであれば、ぜひはしごしてみてください!!
1つ注意してほしいのですが、損保ジャパン日本興亜美術館は、2020年5月28日にSOMPO美術館としてリニューアルオープンするようです。ロンドン・ナショナル・ギャラリーは
※別の美術館ですから、当然開館日は異なります。訪問の際は、必ず美術館HPで開館情報を確認してください。
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