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気候変動リスク、企業の「負債」に、国際枠組み、分析・開示促す、数値化に課題。 2020/07/11 日本経済新聞 朝刊 1ページ

【要約】
 自然災害が経済や企業活動に与えるリスクは年々膨らむ。気候変動に対応する企業が増えている。こうした動きを後押ししているのが、TCFDの枠組みだ。気候変動が財務に与える影響を、分析・開示するよう企業に求める提言した。
 開示が充実すれば、株式や債券の投資家は気候変動対応に優れた企業を選ぶ。企業も選ばれるために努力する。気候リスクは投資リスクである。投資家が、意識の低い企業を避ける傾向は強まる。
 もっとも、企業は開示に苦労している。貸借対照表に計上できる負債と違って数字での見積もりが難しい。定量的な開示は国際的な課題である。
 分析と開示で災害への意識を高めながら、サプライチェーンまで含めて自然災害に耐えうる事業体制を構築すべきだ。

【考察】
①保険料引き上げとの関連性

 先日、損害保険大手4社が2021年1月から住宅向けの火災保険料を全国平均で6~8%程度引き上げるという発表があった。18年度に台風21号や西日本豪雨などの災害が多発し、自然災害への保険金支払いが全体で過去最高の1・5兆円超に達したことを反映している(*1)。
 気候変動が企業の負債となるという今回の記事と、保険料引き上げは無関係なニュースではない。保険料引き上げもまた、気候変動が財務に与える影響の1つとして見ることができるだろう。環境問題を放置すればするほど、家計にも明確な打撃が生じる時代となる。

②サスティナビリティ対応の必要性を社内外に訴える時に使えそう。
 この記事は、サスティナビリティの仕事に取り組む人が、この分野に無関心な相手に興味を持ってもらうために使えそうだなと思った。従来のCSR活動は、「良い活動ではあるけれど、企業戦略と無関係で、長期的な企業競争力にも貢献しないもの」というイメージがあったように思われる(*2)。「国際的な課題に取り組むのは素晴らしいけど、うちの会社に何のメリットがあるの?」みたいな。しかしこの記事は、環境問題への取組がいかに経済的なメリットに繋がるかを教えてくれる。サスティナビリティやSDGsなどにいまいちピンと来ていない人の意識改革に有用であると思う。

【用語】
TCFD

 気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Clime-related Financial Disclosures)の略称。金融安定理事会(FSB)が設立した。設立の背景には、気候変動が金融市場に危機をもたらすという認識の普及がある。(*3)。

【参考文献】
*1 「火災保険料6~8%上げ、損保大手4社、災害多発、支払い増。」2020/07/08 日本経済新聞 朝刊 1ページ

*2 「SDGsと企業の責任(3)法政大学教授長谷川直哉――CSRの次の段階へ(やさしい経済学)」2020/03/04 日本経済新聞 朝刊 27ページ

*3 「TCFD―ガバナンスなど開示推奨(きょうのことば)」2020/07/11 日本経済新聞 朝刊 3ページ



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