出会いと恋の始まり

出会いと恋の始まり

絵里子と出会ったのは、会社の同僚の紹介だった。お互い忙しい仕事をしていたが、偶然のように出会い、すぐに惹かれ合った。絵里子は穏やかで、周りを気遣う優しさを持っていた。彼女といると、不思議と心が落ち着き、笑顔が絶えなかった。

最初のデートは、会社の飲み会の帰りだった。二人で二次会を抜け出し、小さなバーで夜が更けるまで話し続けた。話題は映画や音楽から、仕事の悩みまで多岐にわたり、時間があっという間に過ぎた。

「こんなに話が合う人、初めてかも」と、彼女が笑顔で言った時、俺の胸の中で何かがはじけた。これが本当の恋だと直感した。彼女の笑顔や声、気遣いのある言葉が心に響き、次第に彼女なしでは日常が物足りなく感じるようになった。

しばらくして、正式に交際を始めると、どんどん関係は深まっていった。休みの日には一緒に出かけ、互いの趣味を共有した。彼女は俺の冗談にも笑ってくれ、疲れた日にはそっと寄り添ってくれた。俺も、絵里子を大切にしようと必死だった。毎日が幸せで、未来に対して全く不安を感じることはなかった。

やがて結婚を意識するようになり、プロポーズの時期が訪れた。彼女に対して迷いは全くなく、指輪を渡したときの彼女の涙と笑顔は、今でも鮮明に覚えている。

「これから、ずっと一緒だよ」

そう誓った瞬間、俺たちの未来は幸せそのものだった。結婚生活はすぐに始まり、順調に見えた。仕事での忙しさがあったとしても、絵里子との時間は、いつも俺を癒してくれた。

子供が生まれて

結婚して一年が経った頃、絵里子が妊娠した。美奈が生まれると、二人の生活は一変した。子供が加わることで、幸せは何倍にもなったが、同時に負担や疲れも増えていった。

最初は、二人で協力して子育てに取り組んでいた。俺は仕事で忙しい中でも、できるだけ家事や育児を手伝おうと努力した。絵里子も育児に一生懸命で、母親としての責任を強く感じているのがわかった。

しかし、次第に俺たちの会話は、日常の忙しさや子供のことだけになっていった。美奈が生まれてからの生活は、時間に追われるような毎日で、夫婦としての時間が少なくなっていた。絵里子は、育児と家事の負担を一人で抱えることが増え、俺も仕事のプレッシャーで心の余裕がなくなっていった。

夜、美奈が寝静まった後に二人で過ごす時間も、いつしか会話のない静かな時間に変わっていった。最初は疲れのせいだと思っていたが、それは次第に、互いに無関心になっていく兆しだったのかもしれない。

「今日は仕事が大変だったね」「美奈、ちゃんと寝てくれた？」