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「イメージと文化」に於けるカルロ・ロヴェッリ「時間は存在しない」解釈

「イメージと文化」に於けるカルロ・ロヴェッリ「時間は存在しない」解釈カルロ・ロヴェッリ著「時間は存在しない」NHK出版
カルロ・ロヴェッリ(Carlo Rovelli,1956- /イタリア-物理学者)

・The Order of Time

英訳版は「The Order of Time」、表題から、本来は「時間の順序」、それは、時間の流れる向きが、どのように生じるかが、表題だろう。
かんたんに言うと、時間に順序はなく、その時間ベクトルは、過去・現在・未来とはならないのだ。

第一章 時間の崩壊

・時間は、過去から、未来に向けて流れている訳ではなく、宇宙時間に時間の順序はない。
それは、時間は、一様に普遍的な流れではない。
・「エントロピーが低い状態から、高い状態へ」の順序に沿って、我々は、物事を認識することしか出来ない。

・「所、変われば時間も変わる」

・だから、「時間は流れる」ように感じる、そして、重力で時間の速度は変わる。
・「*時間は、低地では遅く、そして、高山では、速い。」
それは、地球の質量の中心に近いと時間は、ゆっくり流れると言うことだ。
・「ニュートン力学」から、20thには、アインシュタインの一般相対生成理論(無数の時間)が理論構成されていた。
そして、21stとなり、数cmの高低で、*その差異を測定できるようになった。
(註)*時間は、低地では遅く、そして、高山では、速い。

・時間に方向性がない。

  ΔS≧0  (デルタSは、常に0より大きいか、0に等しい=熱力学の第2法則 / 量記号: S)

熱力学の第2法則「エントロピーの法則」(熱は、熱い物質から、それ以下の冷たい物質に移り、例外はない)
(第一法則は、エネルギーの保存則)
(註)エントロピー(entropy)熱力学(熱や物質の輸送現象やそれに伴う力学)において定義される*示量性。
その*示量性:示量性(しりょうせい/extensive property-系全体の量が部分系の量の和に等しくなる)の状態量(物理量)
・人間をも、含む生命は、右中間、そして狭議には、太陽系のエネルギー、そして、月の重力の変化(海におきる波)等の相互作用の中で、記憶を通じて一定周期に、かつ、一定方向へ流れる時間を感じることを得たのだ。
それは、いわゆる重力で時間の速度が変わると言うことだ。
(註)時空の円錐上でブラックホールに引き寄せられると、その円錐は傾く。
それは、まるで、アンリ・ベルクソン「物質と記憶」であり、哲学だ。

・第一部 時間の崩壊、第二部 時間のない世界は、物理学だろう。

1章-時間の崩壊
2章-時間に方向性がない
3章-「今」には何の意味もない
4章-時間と事物の関わり
6章-世界は、ものではなく出来事で、出来ている。
・・・
ていねいな解説だ。

・第三部 時間の源へ - は、哲学書だ。

9章~10章 時間は、この世界の束の間の構造であり、この世界の出来事の中の短命な揺らぎでしかない。
・動き回っている人には、時間はゆっくり流れ、動かない人には、時間は早急に流れる。
そこから「現在と言う特別な瞬間は存在しない」と結ぶ。

・ポイントを整理すると(まとめる訳ではないが)

・この世界は物ではなく、事象(出来事)、過程の集積であり、末尾に時間の源に迫る。
・エントロピーの増大が、過去と未来の差異や、記憶の存在を、その人にけって付ける。
・生-死の時が、時間であり、複雑で重層的な概念が時間だと言う。
それは、ログ(日々に起こった事の記録)と言う概念だろう、今の存在。
・物理学が、ベルクソンの「物質と記憶」と並んでしまった。

また、「過去の芸術は、かって、存在していたようには、もはや存在してはいない。」ベンヤミン

(註)Fig.ベルクソンの現在の行動に有効に展開するイマージュと観念

(これは、未来に向かうが、過去の事象は、円錐が下にも付く)

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想起の全体

円錐SABによって、自分の記憶の中に蓄積された。想起の全体。

 点S:身体のイマージュの凝縮
 平面P:すべてのイマージュ
そして、無数の心的性の反復の余地
また、この円錐形は先には、スパイラルを描き、末那識(まなしき)へ、となるのだろう。
そして、ブラックホールに引き寄せられると、その円錐は傾く。

・時間の順序と周辺の図解

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time like FUTURE:未来のような時間
time like PAST:過去のような時間
space like PRESENT:現在のような空間
light cone:光円錐
world line:因果曲線(世界の事象の流れ)
P : Point:今

(註)光円錐:特殊、また、一般相対性理論において、光円錐(light cone)  とはある事象 からあらゆる方向に向けて発せられた閃光が描く時空上の軌跡。

(追記)イメージと文化

イメージと文化を考える時、不可欠な問題だが、そのイメージを物理学的な解釈に至っても、哲学のそれと同一的な視点となってしまう。そして、今は複雑化するので、触れないが、末那識(まなしき)となると仏教の領域に入るのだろう。いずれにしても、今が大切だ・・・

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