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#2)Bill WoodrowのThe Ledge(2017-Folkestone)と地球環境問題

The Ledge-*Bill Woodrow(ビル・ウッドロー -Bill Woodrow,1948- UK)
ザ・レッジは、2017年フォークストーン・トリエンナーレのためにクリエイティブ・フォークストンから委託された。
フォークストーン(Folkestone-ドーバー海峡)にある、この白い崖を連想させるインスタレーション(The Ledge)である構造物は、イヌイットとアザラシの姿を上部に支える、それは黒い水たまりの上部にある。

ここで、解説は要らないのかも知れないが(解りやすいコンテンツだ)・・・
海岸沿いに位置する「The Ledge」は、水平線の先にある、極地の氷が消失し、氷山が石油のプールに溶け込んでいるかのようだ。
地球環境に於ける水位上昇を示唆しているのだ。
この気候変動と、その最前線にいる人々、また、その変化の端の人々への影響は、長年にわたってウッドロウの関心事だった。

前回、記述したが、当初のウッドロウの作品は「広義での2次的な素材」(人間の作り出した合成的な材料)を原料として利用していた。要は、ウッドロウは、工業化から発生した既存の素材を使って制作した多様な経緯がある。
そして、1990年代にブロンズ(青銅)で彫刻をキャスト(鋳造)し始めた時も、この作品の理念の流れは変わらない。
Bill Woodrowの素材は、ブロンズ(青銅-銅CuとズズSnの合金)もそうだが、工業的に生産されたオブジェクト(物体-材料)で構成されることが多い。
そして、Bill Woodrowは、常に人類の歴史と自然界の歴史に深い関心を向けている故、人間の活動が環境や生態系に及ぼす影響(自然の回復力にまで及ぶ)について懸念を表明している。
Bill Woodrow-彫刻の現代アートへの先駆けと言えるだろう、そして、美術史(理屈づけ)は後から語られる。

そして、今日、申し上げたい事は、アーティストは、コンセプト(理念)が、重要な要素という事だ。
いわゆる、その作家自身の重心の置き方だ、アーティストが生きているという事は、例え、制作の期間が空いたと言えども、その理念が大切だ。
賞を取りたいとか、そして、著名になりたいとか、ましてや、学術機関の良い座を得たいとか(教育には理念が必要だ)、、それは、その重心が傾いているどころか、捨てているという事だろう。

(註)*ビル・ウッドロー (Bill Woodrow,1948- UK):英国のアーティスト、彫刻、インスタレーション、平面他。

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(c)Image by Manuel Vason.

Folkestone Triennial, double edge: Bill Woodrow



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