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ナイジェル・ヴァン・ウィック:現在進行形のアメリカの憂鬱

ナイジェル・ヴァン・ウィック(Nigel Van Wieck,1947- /US-画家)
いわゆる美術評論家は、このアーティストを語る時、そのイディオム(idiom/その作家の個性的表現形式、作風)から、大抵の場合は、エドワード・ポッパーに言及するだろう、しかし、違うのだ。彼の捉えたアメリカの瞬間には、漠然としてだが、不穏な感覚が呼び起こされるようだ・・・
現在進行形のアメリカーナと憂鬱が、そこには見え隠れする。
技法的には、その物語性へは、構成と光と影が影響しているのだろう。

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(c)Nigel Van Wieck

ニューヨークに定住する以前は、ロンドンのホーンジー芸術大学(Hornsey College of Art - Wikipedia)で学んでいる。
ニューヨークを拠点としたアメリカの写実主義の現在進行形の画家だ。(油彩、パステル、シルクスクリーン、etc..)
ナイジェル・ヴァン・ウィックは、ある意味、アメリカ・リアリズムの伝統に、根ざした独特のイディオム持ち続けている。
ナイジェル・ヴァン・ウィックの絵画には、今では古典的なアメリカーナ(Americana/文化)を垣間見ることができる。
例えば、真夏のビーチでリラックスする人、酔いつぶれた女性、闇にたたずむ人等々、孤独なシーンが続く。
それは、かつてのエドワード・ホッパーの孤独のシーンを思い浮かべるかも知れない。
ただ、ナイジェル・ヴァン・ウィックの作品は、エドワード・ホッパーのような、その時代の大恐慌から来る、あの全体的な暗闇はないだろう。ただ、繰り返すが、彼の捉えたアメリカーナの瞬間には、漠然として、不穏な感覚が呼び起こされる・・・

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Nigel Van Wieck

1995年には、ヴェネツィアビエンナーレの100周年記念展で公開されている。その後、グローバルに展示等、活躍している。これからが、楽しみなファインアートの作家だ。

ファインアートから、コンテンポラリーアートではなく、それらは、同時性を持って進行していると言うことだ。

(追記)
Nigel Van Wieckを評価するデビッド・ギャロウェイ(David Galloway,1937-2019/US・ドイツ-キュレーター・ジャーナリスト・研究者)の文章の一部から
「憂鬱は、生きる喜びと同じくらいの愛情です。
誰が生きていて幸せでしょうか? 
物事のように、人の存在自体は、自然に定着しています。
それに多大な愛情を持っている超人的な努力によってのみ幸せに見えることもできますが・・・
これは物事の進化とより一致しています。」-David Galloway
何だか、ベルクソン「物質と記憶」や、ドゥルースを思い起こすようなコメントだ。

よけい・・訳がわからなくなりそうだが、それが哲学と言うもの、、いや、作品が簡潔に、瞬間的に語っている。
画家(Painter)とは、そういうものだろう。

エドワード・ホッパー(Edward Hopper, 1882 -1967 NY)

#学術 #ファインアート

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