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解釈-都市の肖像と周辺(ヴァルター・ベンヤミン)

都市の肖像(ヴァルター・ベンヤミン)解釈

ベンヤミンが訪れた都市である。ナポリ、モスクワ、ヴァイマル(ワイマール)、パリ、マルセイユ、サン・ジミニャーノ(イタリア)等での体験から、文章はエッセイにまとめられている。

そして、ベンヤミンは、都市にまつわる、実に興味ぶかいフレーズをいくつも残している。

そのフレーズと周辺をランダムに記載する。(他のベンヤミンの著作も引用した)


・二度と回帰しない像

「ナポリ」、ナポリの街路の二度と回帰しない像のひとつ……

「ヴァイマル」(ワイマール)には

ひとつの朝ほどに、ひとたび去ってしまえばもう二度と呼び戻しえぬものはない。

過去は、それが認識可能となる刹那に一瞬ひらめきもう二度と立ち現われはしない。(静止の弁証法)

・都市空間の文学性(サン・ジミニャーノ)

眼前にありありと思い浮かべているものに言葉を見出すこと。

それはいかに困難でありうることか。しかし、ひとたびその言葉が来たると、それは小さな槌で打ちながら現実にぶつかり、銅版を打って浮き彫りにするように、この現実から像を打ち出すのだ。

・モスクワの冒頭では、

すでに駅前で、モスクワの街はその姿を提示しているように思われる。キオスク、アーク灯、家屋群が結晶して、二度と回帰しない形象となる。だがそれは、私が名前を探したとたんに、飛散してしまう。(時間と空間)

それらは、風景のなかに現われてくるひとつの村や町の、いちばん最初の眺めが、あのように比類なく、そして二度と取り戻しえないものであるのは、そうした眺めのなかに、遠景が近景ときわめて厳密に結びつきながら、共振しているからだ。まだ慣れは働いていない。

とりあえず様子がわかりはじめると、風景はたちどころに消えてしまう。ちょうど建物の正面が、建物のなかに歩み入るときに消えてしまうように。(一方通行路)

・その土地生まれの者としてある都市の像を手に入れるには、それとは別の、より深い動機を必要とするのだ。それは、遠くへ旅する者の動機ではなく、過去へ旅する者の動機である。(遊歩者の回帰)

それらの文章は、つづく。

これら、ベンヤミンの都市・空間論から、パサージュ論等々は、多様性を秘めている。


そして、私は、猫町(萩原朔太郎)を思い出した。

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