女性画家ポーラ・レゴとフェミニズム
ポーラ・レゴ（Paula Rego）とフェミニズム
ポーラ・レゴ（Maria Paula Figueiroa Rego,1935- /ポルトガルの画家、イラストレーター、版画家）
フェミニストアーティストとして、威圧的なキャラクターを描いている。
それは、威圧のあるインパクトある作品だ。
ポーラ・レゴの初期の作品は、1960-70年代は、ネオ・ダダイスム (Neo-Dada/方法論や意図が初期のダダイスムと類似点)だ、それらは、コラージュや絵画のミクスドメディア（性質や種類の異なる複数のマテリアル）である。
尋問 by Paula Rego 1950
そして、ロンドン・グループ（London Group/アーティスト自身が主導の組織）の一員になって、デイヴィッド・ホックニーたちのアーティストと展覧会を開催しているが、イラスト的でより形象的なスタイルとなる。
そして、ビアトリクス・ポター（Helen Beatrix Potter,1866-1943年/イギリスの絵本作家-ピーターラビット）の影響もあり、童話の強い影響を受けていたと言われる。
白雪姫の登場人物のキャスト-by Paula Rego -1996
ポーラ・レゴの後の作品に見られるのは、童話的なイメージの中に、冷たく奇妙で夢のような性的不安と暴力の記録を予期している。
支配・自然の秩序の破滅を強調すると言う事だろう・・
略歴とアートワーク- Paula Rego
1935年、リスボンで生まれる。当時は、ポルトガルはサラザール政権下（欧州で最長の独裁政権）だった。
それは、ポーラ・レゴの描く世界に影響を及ぼしたと言われる。
セントジュリアンズ・スクール（St Julian's School）で学んだ後、スレード美術学校（UCL Slade School of Fine Art/London)でウィリアム・コールドストリームに学ぶ。そして、そこで知り合った、ヴィクター・ウィリング（ビクター・ウィリング/Victor Willing,1928-1988/画家-混沌とした社会の絵画での表象）と結婚する。
1975年、イギリスに移住する。
1988年、ご主人である、ヴィクター・ウィリングが闘病（多発性硬化症で）の末、亡くなる。そのあたりの人間の身体も、表現に影響もあるように感じるのだが・・
そして、その義理の子息が、ロン・ミュエク（Ron Mueck, 1958- /イギリスのスーパーリアリズムの彫刻家）だ。（ロン・ミュエクの作品には、ポーラ・レゴの影響が見える・・）
Victor Willing・Paula Rego・Nick Willing
リトル・マーダレス-by Paula Rego -1987
警官の娘-by Paula Rego -1987
1988年、「Triptych」（トリプティク：キリスト教美術で、祭壇を飾るための三枚一組の聖画像）は妊娠中絶をテーマにしている。
Triptych - by Paula Rego
1989年、ターナー賞のファイナルリストに選ばれる。
1990年代以降のポーラ・レゴのスタイルはよく漫画やイラストと比較される。そこには、動物たちが人間の役を演じていたりする。後の作品になるとスタイルはよりリアルなものに変わる。それは、さまざまな犬のポーズ（四つん這い、月に吼える等）をとった女性たちを描いたパステル画「ドッグ・ウーマン」シリーズだろう。
2000年代までに、ポーラ・レゴの作品の範囲は、性的、政治、家父長制、ファシズム、そして、ポルトガルの植民地化の歴史を比喩した作品を描いている。それは、The Pillowman（2004）、そこには、女性の主題が悪夢のように特大の人形のようなキャラクターと一緒に現れる。
The Pillowman by Paula Rego -2004
by Paula Rego
2005年、オックスフォード大学（University of Oxford）から名誉文学博士号を授与。
そして、ポーラ・レゴは肖像画も描いていて、ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリー（National Portrait Gallery）にあるジャーメイン・グリア（Germaine Greer, 1939 - /オーストラリアのフェミニスト）の肖像の他に、ジョルジェ・サンパイオ大統領（Jorge Fernando Branco de Sampai,1939- 2021/ポルトガルの大統領）の公式肖像画も描いている。
ポーラ・レゴ：テート・ブリテン（London) 2021年7月7日～10月24日
そして、London Groupの・・
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