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野創人

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陽射しの中を雪が舞う。

初詣に出かけていなかったので良い機会と思い近所の神社へ向かった。雪の残る境内には他に参拝者もなく静かだ。ひとり気兼ねなく柏手を打った。

ついでに足を延ばして冷たい風を感じながらまだ雪が残る山道を歩いてみると思いがけない出会いが待っていた。

白い冬毛の若いカモシカだ。

初めて会ったのは何年前だろう。
あの時の母子連れの子供の方ではないだろうか。
実はカモシカはシカと言いつつウシの仲間らしい。人間が危害を加えないとわかっているのか人里に近いところで遭遇することも珍しくない。性格はおとなしいのでこちらが脅かしたりしなければ、しばらく様子を見てまた草を食み始めたりする。角は鋭いので刺激しないのが一番だ。

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今までで一番じっくり撮影させてもらえたかもしれない。こんな時に限って一眼レフと望遠レンズを持っていないことが悔やまれる。チャンスとはいつもこんなものだ。

見通しの良い冬の眺望に目を細めながら歩いていると乾いたキノコに出会う。
枯れ木も山の賑い…なんて言葉があったと思うが、満開の花のようなキノコは朽木が着飾っているかのようだ。

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残念ながら、キノコに関しても野草に関してもまだまだ知識不足で名前のわからないものが多い。それでもそれぞれの生命のデザインに驚嘆し、魅了されるから興味は尽きない。

花びらのようできれいだなぁと思ったが、倒木だったのでもしかするとこれはキノコの裏かもしれない。ヒダらしいものが見当たらないようなのでてっきり表だと思ってしまった。

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キノコは森の分解者。朽木を土へ返す役割の一端を担っているという。ナラ枯れなどにより倒木の多い林はキノコにとって絶好の環境かもしれない。難分解性のリグニンを分解する酵素を持っていたり、タンパク質分解酵素を持っている種類もあり、ヒラタケは線虫という虫を捕食して消化すると聞いて驚いた。想像以上に動物的な存在なのだ。

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そう言われて改めてキノコの様々なデザインを見ると多様でユーモラス。植物よりも動物っぽく感じられる気がする。

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まだ寒い日はあるものの陽射しは少しずつ力強さを増す。
雪の下で眠っていた動植物もやがて目を覚まし動き始めるだろう。

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…頼風…

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