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美大を目指した侍の話
【8年前の記事】
美大を目指した侍の話。
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「薩摩の青年、国分寺の青春」
20年前、元服したての唐芋青年は、村の家族に見送られ、薩摩の地を後にして、長い旅の末、花のお江戸にたどり着いた。
芸事を極めようと幕府の設けた藩校を受けるため、はるばるやってきたのは国分寺のとある寺子屋。
全国津々浦々の浪人や猛者たちに恐れおののきながら、バテレン裸体の白い石像を、炭で描いていく。
青年は挫折する。自分は小さな村の天狗だったと。芸事の道は、深く果てしない。同郷の仲間たちは「千が成る」という宿場に泊まっていたが、青年は銭がないため、同郷の浪人たちの仮宿を転々としていた。毎晩飲めや歌えの大騒ぎ。お江戸の夜は甘美で退廃的だった。
結局青年は試業に落ち、薩摩の故郷にも帰れず、放浪した末に、鍋島藩の寺子屋に身を寄せた。
それから蝦夷のほうまで画業の旅をしたり、からわ版で人相画を描いたりして、その日暮らしの生活を送りながら腕を磨いた。
7年後、再び花のお江戸へ上京する。時代は犬公方・将軍綱吉。庭園に闊歩する様々なお犬様たちの人相画を描いていく。
そのうち、お犬様の襖絵の注文が増えてきて、犬相画の寺子屋を開くようになる。
人生はわからないもの。故郷の家も両親も無いが、新しい江戸の暮らしで意気揚々、流れるままに縁を紡ぎながら、今日も絵筆を走らせる。
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