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時間と自然と人が共存する、田舎の美しさ。*Trebiano トレビアーノ村*

前回は、5つの村が断崖に立つチンクエテッレで有名なリグーリア州にある、アルコラ村をご案内しましたが、今回は続編です。

アルコラ村からトレビアーノ村までは、距離にして7キロ。だけど、山道をうねうねと登るので、車で15分ほど。

トレビアーノ村はアルコラ村の集落。ということは、アルコラ村より、もっと小さい村。

村の一番高いところには、かつてのお城が建っていますが、建立は963年。崩れたとはいえ、いまでも残されていることに驚きます。石のひとつひとつが、いまも昔も、じっと佇み、人間の歴史をみてきたことでしょう。

1149年に建立された教会は、すっかり改装されて当時の面影は残されていませんが、正面扉の上にミカエル大天使が悪魔を退治している姿があるので、聖ミカエル教会とういことがわかります。

教会を通り過ぎると、現れた村の入り口。かつては城砦だったのかしら。わくわくするような佇まい。

入り口を抜けてもいないのに、村の景観に心奪われ、一歩進んでは止まり、止まっては進み。

オレンジ色の建物を中央に、左右に道が分かれているので、とりあえず右手の上り坂から村を散策していくことにします。

視線を感じる。

『君は誰だ? 村のもんじゃないな?』

毛並みの良い黒猫さんに、入り口で尋ねられました。

逃げようともせず、泰然とする姿。人と猫との幸せな関係が築かれている村だとわかります。

壁があり、通りがあり、そこに緑があるだけ。それだけなのに、なんと絵になることか。

人と出会わない代わりに、細い路地を高速道路のようにビュンビュンと駆け抜けるツバメたちで賑わっていました。

歩いてきた後ろを振り返り、美しい路地に、また立ち尽くす。

突然現れた鮮やかなピンク。紫陽花のピンクとピンクの壁。故意ですか?!

ピンク・オン・ピンク。そこに映える緑の差し色。ずっとここにいて、太陽の光で変わる、色の変化を楽しみたいです。

「城門の路地(VICO PORTA)」を行ってみましょう。

ねえ、ここどこ? わたし、どこか異次元の世界へ踏み入れてしまった?どうしてこんな美しい風景と出会うの? 

ここは壁を塗れる建物だから、ピンクで統一して、上の階は、石積みのまま。奥の方は、黄色やオレンジで色を重ねてみようか。

あ、それと、ピンク単色で塗るより、少し白色を足した方が、すっきりするし、アクセントにもなるよね。小窓の下に白を入れてみたらどうかな?

わたしのうちは石積みだから、お花で飾るわ。花の色で彩りを添えましょう。

などと、村人達が相談して、村の景観を決めるのでしょうか。

時間の経過によって表れる美しさと、メインテナンスされた鮮やかな壁の色、植物達の生命力を感じる色。村は、さまざまな豊かさに満ちていました。

もしガイドブックに掲載されていたら、オススメ通りを探し歩いたかもしれません。けれど、ここは、知るひとぞ知る、小さな村。だからこそ、予期せぬ景観に出会い、感動も膨らみます。

路地を折れて、目の前に突然現れる通り。終始ずっとこんな感じなので困ってしまいます。村から出られません。

訪れたのは6月。ジャスミンが咲き誇る季節。風に乗り芳しい白い香りが漂い、イタリアのツバメのキーキーという鳴き声が石畳に響き、海からすーっと吹き抜ける風。人の姿は見えず、たまに、猫。

村が段々になっているのが、よくわかります。

緑の丘と、点在する家。遠くには、海。一枚の絵のようです。

反対方向は、山。ただの山じゃありません。大理石の山なので、残雪のように大理石が見えます。

大理石の山については、こちらで書いています。

村へ入ってすぐに出会った黒猫さんは、パトルール中かしら。紫陽花にまた出会ったので、これで村を一周し終えたということですね。

アルコラ村もよかったけど、トレビアーノ村も、すごく良かったです。

冒頭でご案内しましたが、トレビアーノ村は、集落という位置付けにあります。

観光客を招くためではなく、普通にここで生活している人たちが、自分たちの村を整え、景観を美しく保っています。日常に根付く美意識というものを考えさせられました。

すべての村が、アルコラ村やトレビアーノ村のように美しいのではありません「うーん。そっかー。」というところもありますが、だからこそ、美しい村に出会えたときの嬉しさもひとしおです。

さて、次回はどこに行きましょうか。

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最後までお読みくださり、
ありがとうございます!
また小さな村でお会いしましょう。
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