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地産地消で知るイタリアの食 - 1/2

フィレンツェでは毎年春が近づくとテイスト(Taste)という食の見本市が開催されます。


イタリア食材といえば、生ハム、サラミ、チーズ、オリーブオイル、ワインなどが思い浮かぶでしょうか。見本市を訪問するたびに、こんなものがあったのか!と呆れるくらい多種多様な食に出会います。

出展する半数以上が中小規模の生産者です。と言うことは、高級食材店で見かけることはあっても、日常のスーパーマケットには出回らないものがほとんど。

生産している地域で消費されるものが大半を占め、話を伺うと国内より国外へ輸出していることが多く「メイドインイタリー」の名を冠し、食材ブランドとして道を開いている生産者もいます。

見本市「テイスト」では、BtoBとBtoCの両方の場を設けています。商取引の場であり、一般の人たちに自分たちの活動や商品を知ってもらう場でもあります。

イタリアは、1865年になってやっと国が統一しました。それまでは現在の「街」は「国」だったことから、「自分たちの街(国)」意識が強く、伝統、歴史、食といった文化がそれぞれの場所で根強く残っています。

日本のお味噌で例えると、地方により作り方も味もさまざまです。イタリアにも同じことが言えます。北から南まで長細く伸びるイタリアは、ほとんどが海に囲まれている半島です。それゆえに、自然環境も変われば、製法も味も変わるというもの。

家族経営で何世代も続いているところ、新たに参入し画期的な製法や食材を編み出しているところ、村おこしのために一役買っているところ、それぞれの生産者がいろいろな状況や思いを抱き、見本市「テイストに集まってきました。

愛情と情熱が込められた食には、その数だけ物語があります。

今回はトスカーナ州の2社をご紹介します。

大きなニンニク「アリオーネ」

アリオーネと呼ばれる大きなニンニク。語尾が「オーネ」となると「大きな」という意味になり、手に乗り切れないほどの大きさです。

刻んだアリオーネを多めのオリーブオイルでじっくり炒め煮し、パスタに和えたり、パンに載せたりします。火を通すことで、ソフトなニンニクの味がギュっと凝縮され、クリームのような、まろやかなネットリ感が生まれ、ほのかに甘みがあります。

フィレンツェでもたまにスーパーで見かけますが、図体がデカいだけで味も香りもないものばかり。

以前に南トスカーナで見つけたものは、前述したような至極のアリオーネを堪能できましたが、「本物」に出会うのはすこぶる難しい。

世界遺産に登録されているオルチャ渓谷は、美しい丘陵が連なり甘くポエティックな場所ですが、たまに小高い山が顔を出すことがあります。見本市で出会ったアリオーネはこの山奥で栽培されているそうです。収穫したばかりの新鮮なアリオーネは茎も食べられます。

『畑に種を蒔いたら、あとは僕たちは何もしない。お日様が育ててくれるのを待つだけです。いまの季節に茎が伸び始め、もう少しすると花が咲きます。もちろんオーガニック栽培です。

収穫時期は6月と7月。収穫したら土を払い、アリオーネをそのまま販売するか、薄皮を剥いて瓶詰め商品を作る。大地から商品まで、すべて僕たちが手がけています。

ここにあるものは去年のだけど、触ってごらん。まるで半月前に収穫したように新鮮だろう?風通しの良い日陰に保存しておけば、かなり長持ちするのもアリオーネの特徴なんだ。

僕たちの地域の代表的なパスタ料理は「ピチ・アリオーネ」。ニンニクベースのトマトソースのパスタだけど、「アリオーネ」を使ってこその料理だって知ってたかい? この地域の料理人は知っていると思うけど、意外に知られてないんだ。』

ピチというのは、この地方の太麺パスタで「うどん」に似てます。小麦粉を水で練って作られます。乾燥したものを茹でるには15分くらいかかりますが、昔は冬季の貴重な保存食でした。ソースはシンプルにアリオーネ。土地の食材を使った郷土料理のできあがりです。

参照:La Cucina Italiana 

スタッフは年齢がちょっと上の、数人だけの小さな会社ですが、イタリアでも知らない人の多い「アリオーネ」を世界に向けてネット販売し、流通に乗らなくても商売のできる新たな活路を見出しています。

トスカーナを愛する畜産農家

違いがわかった?

生ハムやサラミを試食していたときでした。

『700ヘクタールの土地には、わたしたちの動物達が暮らしています。季節ごとの花や草が生い茂るので自由にそれを食んでいます。朝や夕方に散歩すると、さまざな動物に出会うんですよ。』

でも夜は牛舎に帰るんですよね?

『いいえ。彼らに家はありません。』

じゃどこで寝るんですか?

『森の中です。
自然のまま生活しているので寝ぐらは彼らが決めます。

狼など天敵となる動物達が侵入できないように柵で囲んでおり、放牧しながら管理もしています。』

牛舎に動物達が戻れば、一頭づつの健康状態などをまとめて見ることができるけど、ここでは人間が動物を探すところから始まるらしい。

『システマッチックに管理できない理由などを考えても、このような畜産農家はイタリアでは稀だと思います。』

鳩のハムも作っています。

トスカーナにはチンタセネーゼという、猪と豚を掛け合わせたような土着品種の豚がいます。中世時代から飼育されたいましたが、大量生産の波にのまれ、絶滅の危惧に瀕した時期がありました。

2000年初頭から、畜産農家が力を入れ、いまではトスカーナ州のほぼ全域で見ることができます。

彼もまた、そんな畜産農家のひとりのようです。

最近よく耳にするグラスフェッドビーフ。

人工的に配合した穀物を餌とするのではなく、牧草のみを食べて育った牛肉のことを指します。草原や森を歩き回りながら草を食べて育つので、脂肪が少なく引き締まった赤身の肉質になります。自然に任せてゆっくり育っていくのも特徴です。

ここでは、20年間グラスフェッド法で飼育しています。

いったいどんな人が活動をしているのか興味が湧き、頂いたパンフレットを開いてみました。

参照:Carlo Giusti

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わたしの願いは、絶命の危惧に瀕している土着品種の家畜を探し育てることです。飼育するにも、可能な限り自然に近い原始的な方法を取り入れています。

南米で動物崇拝を学び、ワインの世界では微気候の重要性を学び、農学からは仕上げ工程での栄養の役割を学びました。

有機農業で土地を耕すということは、自然のライフサイクルを尊重した栽培、繁殖、食料生産技術を使用することを意味します。環境と動物のライフサイクルと健康を最大限に尊重し、肥料、除草剤、殺虫剤などの化学合成化合物を一切排除し、自然界に存在する天然物質のみを使用しています。

みんなは私のことを「バカ」と呼ぶけど、私はトスカーナを愛するただの農家です。

参照:Carlo Giusti

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この畜産農家は、フィレンツェから車で1時間強くらいのところにあります。畜産農家はいまが忙しい時期なので、牛を放牧させる初夏に伺う予定です。

写真で訪れる見本市「テイスト」

年2回フィレンツェで開催されるメンズファッションショー「ピッティウオーモ」がオーガナイズ元なので、展示会場の基礎装飾が洒落ているのも、この見本市に足を運ぶ楽しみのひとつです。写真でご案内します。

次回は南イタリアの食材をご案内し、写真で訪れる見本市「テイスト」では、会場の様子をお伝えします。

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今回は前振りから投稿までの日数が空いてしまい
わたしも焦りました。
3月中に投稿できてよかったです。
次回も今月中に投稿します。
よろしければまたお立ち寄りください!

最後までお読みくださり
ありがとうございました。
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