冨田めぐみ

アートで子育て!「アートケア」というコンセプトで、親子ワークショップや0歳からの鑑賞会を各地美術館と連携して開催しています。NPO法人 赤ちゃんからのアートフレンドシップ協会 代表理事

冨田めぐみ

アートで子育て!「アートケア」というコンセプトで、親子ワークショップや0歳からの鑑賞会を各地美術館と連携して開催しています。NPO法人 赤ちゃんからのアートフレンドシップ協会 代表理事

    最近の記事

    アートケアだより2023年6月号

     5月の総会は、4年ぶりに対面で開催しました。対面は久々ですし、「アートケアひろば」20周年なので、スペシャルな総会を!ということで、同日、当会監事の川口徳治朗さんに考古学のお話をしていただく運びとなりました。  川口さんは、貝塚研究の第一人者として知られている方です。長年、神奈川県立歴史博物館で学芸員を務めておられました。  お会いするたび、博識で考古学への愛と探究心あふれるお話をしてくださって、「私だけが聞いていてはもったいない!」と思っていました。そして、子どもたち

      • 「アートケアだより」バックナンバー紹介 2004年9月号

         今年20周年を迎えた「アートケアひろば」のバックナンバー紹介。2004年9月号はKさんご一家のインタビューでした。  現在、Sくんは大学院で老化に関する研究に取り組んでいます。Mちゃんは紙をテーマに雑貨からライフスタイルを提案する素敵な会社にお勤めです。   進路をお聞きして、Sくんが6年生の時に、割り箸をいくつものパーツにカットし、組み合わせて作った大坂城のことや、Mちゃんが折り紙を折ったり切り貼りして、たくさんの愛らしい人形を作っていたことが思い出されました。  写

        • 「アートケアだより」バックナンバー2004年5月号 「子どもが園に行きたがらないとき」

           今年20周年を迎えた「アートケアひろば」。子どもたちは自由に表現活動、大人は子育てのお話をする場です。毎月「アートケアだより」で、子どもたちの成長ぶりや、ご家族の関わり方、子育ての工夫などを紹介しており、19年前の今月、2004年5月号は、Oさんご一家のお話でした。  掲載当時  4歳だったMくんは、小学校を卒業するまで通ってくれて、美術・音・言葉など様々な表現に取り組みました。大人になった現在、地図を制作する会社に勤めておられます。小さい頃の様子を知っているだけに、ご職

          • アートケアだより2023年5月号

            *赤ちゃんから園児・小学生を中心に高校生まで参加する、自由表現ワークショップ「アートケアひろば」の「おたより」をnoteでも紹介します。会員さんに向けた語り口になっております。 ・・・・・・・・・・  数年ぶりに各地人出の多いのGWのようですね。ずっとお仕事のご家族もいらっしゃるかもしれませんが、皆さんはどこかお出かけされましたか?(文・冨田めぐみ) ●おそとへ!  4月後半のワークでは、ちょっとしたきっかけで家族に当たったり涙が出るお子さんが散見されました。新学期から

            「アートケアだより」 美術とSDGs

             自由表現の育児応援ワークショップ「アートケアひろば」を始めて今年20周年を迎えました。会員の皆様に支えられてここまで続けることができました。会員さんと作ってきた日々があって今がある。感謝しきれません!  会員さんの毎日の育児を支えることができたら、と活動しています。中でも毎月発行している「アートケアだより」は、「友達に見せたい」と、コピーして渡したという方やSNSに載せたという方もおられ、役立っているのかも…とありがたく思います。  もしかしたら他の方にも役立つかもしれ

            美術作品を守る人

             各地での台風の被害がとても心配ですね。今も心細いお気持ちでお過ごしの方もいらっしゃる中、申し訳ないような気持ちもありながら… 台風のたびに思い出す、ある方のことを記します。  もう10年ほど前、大型の台風が迫ったある夜のこと。とある美術館でワークショップを翌朝に控えていました。もしも停電になったら固定電話が使えなくなって連絡がつかないと感じ、夜中の3時半から4時頃でした、美術館へ携帯番号を記してFAXを送りました。(その当時は携帯番号を気軽にお伝えしていない時代でした)

            平塚市美術館「こどもたちのセレクション」エピソード17

             平塚市美術館「こどもたちのセレクション」企画構成にまつわるエピソード集にお付き合いくださってありがとうございました。28作品すべてに語りたいことがワンサカあり全部書きたいところではありますが、ちょっとずつ割愛させていただいて、いよいよ最後に展示されている作品のところへやってきました! ・川村清雄『滝』(1926-34年頃 198.0×73.0cm 油彩・キャンバス)  (平塚市美術館さんの「所蔵作品データベース」で画像を見ることができます)  https://jmapps

            平塚市美術館「こどもたちのセレクション」エピソード16

            ●なぜ子どもたちが選んだか「謎」な作品を ・真垣武勝『セーヌ川のノートルダム』(1957年 113.9×96.5cm 油彩・キャンバス)  この作品が以前に展示されたときは、他に目を引く作品もいろいろあって、そんな中でなぜこの作品に子どもたちが関心を持ったのか「謎だなぁ」と思いました。   「謎、そして探求は続く!」という形で展覧会を締めたい、そんな展示プランでどうでしょう?と学芸員さんにお伝えしたところ、「いいですね~謎!それでいきましょう!」とおっしゃってくださいまし

            平塚市美術館「こどもたちのセレクション」エピソード15

            ●色がキレイ、もうそれだけでときめく (写真は本稿で紹介する5年生のお子さんの作品です) ・関主税『鳥』(1971年 219.0×127.5cm 彩色・紙)  (平塚市美術館さんの「所蔵作品データベース」で画像を見ることができます)  https://jmapps.ne.jp/hiratukabi/index.html  二羽の白鷺が水面でむつみあう、とても色合いが美しい作品です。白鷺の姿と空の雲のが水面にも反映していて、天地全体が同質の色合いで一体となり、幻想的な画面と

            平塚市美術館「こどもたちのセレクション」エピソード14

            ●怖い、心配、不安な作品は、なぜ存在するのだろう  美術には、きれいで心穏やかになる作品もあれば、怖くなったり悲しくなるような作品もあります。こんなにも多様な表現があるのは、私たち人間に必要だからだと思うのですが、それはなんなのか、思いを馳せた日がありました。 ・石田徹也『転移』(2004年頃 91.0×91.0cm アクリル、油彩・キャンバス) (美術館の所蔵品データベースに画像がないので、すみません、文章からご想像ください)  下半身裸でTシャツを胸の上までめくりあ

            平塚市美術館「こどもたちのセレクション」エピソード13

            ●0歳のご家族のコメントが多かった作品  今回の調査(2015年4月~2022年1月)で、0歳さんのご家族のコメントが多かった作品をご紹介します。  (赤ちゃんが鑑賞することに意味はあるのか?という疑問も、ふと浮かびます。そのことについて先月書き終えていまして、平塚市美術館のシリーズが終わったらアップします。よかったらご覧ください) ・大森運夫『三博士の礼拝』(2009年 185.0×231.5cm 彩色・紙)  (平塚市美術館さんの「所蔵作品データベース」で画像を見ること

            平塚市美術館「こどもたちのセレクション」エピソード12

             平塚市美術館「こどもたちのセレクション」のルポシリーズ、ここから展示室の第3章です。3章は、数は上位でないけれど「湘南ならではの作品・学芸員さんの印象に残った作品・私自身、子どもたちとの思い出が深い作品」で構成しました。(調査の詳細は以前の投稿にございます)(写真は、今回の展覧会とは別な機会に撮影した「手を繋いで鑑賞していた時」のショットです) ・・・・・・ ●住んでいる土地の景色は、私たちの心に、知らず知らず記憶されている  美術館の展覧会は、大きく分けて、他所から作

            平塚市美術館「こどもたちのセレクション」エピソード11

             子どもたちが不思議だと思う、さまざまに想像を喚起する作品の区画、続いてご紹介するのは加藤芳信さんの作品です。 ・加藤芳信『光の輪廻』(2009年 130.2×194.4cm アクリル・紙)  すごいんです、点がたくさん、点で描かれている!これは所蔵品データベースに掲載されていないので、もう、実物を観ていただきたい!  学芸員さんの解説によると「ただやみくもに点を打つのではなく、点が配置された後の色彩の効果を計算した上でひとつひとつの点を打っています」とのこと! ●作品は

            平塚市美術館「こどもたちのセレクション」エピソード⑩

             エピソード⑨の山本直彰さんの作品以降の展示区画では、子どもたちが不思議だと思う、さまざまに想像を喚起する作品をご紹介しています。  そこに伊藤彬さんの作品を2作品、展示しています。調査対象の2015年以降、伊藤さんの作品が多数、展示される機会が多かったこともあり、上位90作品のうち3作品が入った結果となりました。他にも何人か、複数の作品が結果に出た作家さんがいらっしゃいました。  同じ作家さんでも、時期により作風が変化したり、シリーズで少しずつ異なる作品を描いていらっし

            平塚市美術館「こどもたちのセレクション」エピソード⑨

             2022年9月19日まで開催中の平塚市美術館「こどもたちのセレクション」の展示構成にまつわるエピソードシリーズ、今回は山本直彰さんの『Door S-2』(1995年 201.1×311.0cm 彩色・紙)です。  今回の展示は3つの章立てで、この『Door S-2』からが第2章。子どもたちの鑑賞傾向として見られる、「不思議に思う気持ちを喚起する作品」を集めました。  あらびっくり~ 本物のドアが作品になっています! 「本物なのー?!」と子どもたちは、ドアを絵画に組み込んで

            平塚市美術館「こどもたちのセレクション」エピソード⑧

             横田七郎さん『野うさぎ』(制作年不詳 h25.0cm 木)『たこ』(制作年不詳 h7.0cm 木)。  子どもたち、特に1~2歳ころのお子さんは動物モチーフの作品を見ると嬉しそうに近づきます。この年齢は「知っているもの」を見つけて嬉しい時期で、中でも動物や食べ物、乗り物などが大好きです。  前回2015年の展覧会の時にも、横田七郎さんの作品が展示されました。その時は『めざし』。「おさかなさーん」と、子どもたちの反応の多かった作品です。 ・・・・・・ ●鑑賞で知ったこ