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物理数学の世界 #18 〜テンソル解析(2)〜

物理数学の世界。始まります!

前回は、これから進めていく連続体(力学)の話を理解する上で必要な「テンソル解析」について、初歩的な扱い方を説明しました。

今回はその後編になります。前回はテンソルに関する記述のルール、ベクトルで言うところの内積と外積を表現する過程を示しました。

広義的には、1階テンソルはベクトルと等価の意味を持ち、2階テンソルは行列と等価の意味を持ちます。そのため、行列の話と対応させながら話を進めると、理解も早いと思います。

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整理したノートを公開

実際にノートにまとめてみました。前に書いた通り、2階テンソルは行列と等価の意味を持つため、2階テンソルを用いて1階テンソル(ベクトル)を線形変換することが可能です。

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他にも、2階テンソルを合成すること、転置テンソルや逆テンソルについて示しています。ここは行列において生じる処理と同じです。

他にも、回転テンソル対称テンソルなどの処理もあるのですが、1枚に書ききれないため、ここでは紹介はしていません。気になる方は、連続体力学の参考書などを当たってみてください。

テンソルという表現は大学院で登場する場合もある範囲なので、難解に感じてしまうかもしれません。ただ、この表現は他の分野でも使われたりするので、早いうちに慣れておいても損はないかと思います。

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テンソル解析の難易度 〜前回抜粋〜

連続体の特徴としては、物体の並進運動と回転運動に加えて、変形(形を変えること)を扱います。考えるべき変数も多くなるので、質点や剛体に比べてハードルは上がります。

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まず、連続体の力学は「テンソル」という形で記述されます。物理量が大きさに加えてn個の方向の情報を持つとき、nをテンソルの階数と呼びます(同量をn階テンソルと呼びます)。

物理量が大きさと同時に方向の情報をいくつ含んでいるかを調べることで、物理量の本質的な特性(機能)を把握することができます。

例えば、質量や温度などは大きさだけで定まり、方向の情報は含んでいません。つまり、質量や温度は0階テンソルです(スカラー量とも言います)。

力や変位、速度、加速度は大きさと1つの方向の情報を含んだ量であり、1階テンソルです。また、材料力学の話で登場する応力やひずみは、大きさ2つの方向の情報を含むので、2階テンソルです。

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おわりに

今回は計2回にわたり、テンソル解析について取り上げました。

連続体については、これまで書いてきた「質点」「剛体」では扱えない「変形」という問題が加わります。それ故に、どうしても扱う内容は複雑になります。同時に現実的な問題に落とし込むこともできます。そういう意味では、実践的な範囲になるかと思います。

次回からは「変形」に関する様々な問題に触れていきます。ひとつひとつ整理しながら進めていけば、無理な話でもないので、今後とも宜しくお願いいたします。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。

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