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【#33】材料力学の強化書 〜2次元主応力について〜

今回のトップ画像はアメリカのミズーリ州(セントルイス)のシンボルでもある、ゲートウェイアーチです。3年半の歳月をかけて建てられ、アーチの最上部には展望台があります。セントルイスの街並みとミシシッピ河の素晴しい景観を楽しむことができるそうです。 

さて、材料力学の話に戻りましょう。

前回はねじりに関する総まとめとして、曲げとねじりの2つが混在した変形の問題について扱いました。それなりにボリュームのある演習問題でした。

今回から新章に入ります。タイトルの通り「主応力」についてです。

材料力学で扱う変形は引張り・圧縮・せん断・曲げ・ねじりの5種類あることを以前に説明しましたが、現実の変形はこの5種類の組み合わせで生じます。そのような時に、どの変形が支配的なのかを知る方法として、主応力という考え方があります。

本章では主応力を求める方法を紹介します。また、主応力の力学的な意味についても説明します。

応力の表現について

前にも説明した通り、応力には垂直応力とせん断応力があります。

垂直応力はシンボルとして「σ」を用い、せん断応力はシンボルとして「τ」を用います。

応力はそれが生じる面と方向が指定される必要があります。面と方向を示すために座標軸の名称を用います。第一添字で面の法線方向を表し、第2添字で作用方向を表すのが一般的です。

なお、垂直応力に関しては2つの添字が同じなので、ひとつの添字で表現することもあります。このように、シンボルと添字を用いて表現される応力を「応力成分」と言います。

座標軸が回転(変化)することで、応力成分も擬似的に変化します。このとき、せん断応力の成分がゼロになる位置(状態)が見つかります。その際の垂直応力の成分のことを「主応力」と呼びます。

主応力については、今はこの程度のイメージで構いません。この後でより明確化していきます。

2次元の応力状態を図的に見る

今回のタイトルの通り、2次元の応力状態から主応力を導き出してみます。三角関数の公式を使うので、右の公式一覧を見ながら解き進めてみてください。

垂直応力とせん断応力について整理できたら、極値を求めるために「Θ」で微分します。

微分した結果を用いて垂直応力とせん断応力の極値を求めます。垂直応力が極値を迎えるとき、せん断応力はゼロになることが分かります。このときの垂直応力が主応力になります。

また、せん断応力が極値を迎えるときは、垂直応力は主応力の平均値(中間主応力と言います)になることも分かります。

さらに詳しく応力状態を見ていく方法(ツール)として「モールの応力円」と呼ばれるものがあるのですが、それについては次回説明したいと思います。

おわりに

今回は2次元の主応力について見ていきました。途中計算は少し複雑なので、次回のモールの応力円でイメージを掴んで頂けたらと思います。

また、主応力を求める別解として「固有値問題」に持ち込む方法もありますが、その辺についても後々で説明します。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。

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