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エレファントカシマシとスピッツの研究

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エレファントカシマシ とスピッツを詩的に感じるマガジン。
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#巡礼行

「エレファントカシマシ とスピッツの研究」 (第九回)

「エレファントカシマシ とスピッツの研究」 (第九回)

邂逅

他人に対して傍観者の態度がとれる人であるか、それともつねにともに苦しみ、ともに喜び、ともに罪を受くる人であるかどうかは、決定的な差異である。
後者は真に生きている人だ。(注1)

 

こんな言葉をある男は残した。

 ザ・バンドの名曲「The Weight」が脳裏を流れていく様な心地がする。

 あまりに早熟だったこの男は、判っていた。
 あまりに早熟だった故に、後者の生き方には成りきれ

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「エレファントカシマシ とスピッツの研究」  (第七回)

「エレファントカシマシ とスピッツの研究」  (第七回)

 そこらの芝生に寝ころんで『エレファントカシマシⅡ』 

 鮮烈のデビューアルバムからわずか8ヶ月後の11月21日、ロックバンドエレファントカシマシ はセカンドアルバム『エレファントカシマシ Ⅱ』をリリースした。

 ある意味では、本作からがエレファントカシマシ の実相を伝える作品群であると私は見ている。デビューアルバムは、ロックバンドエレファントカシマシ としての高らかな宣言であり、現状を顧みな

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「エレファントカシマシ とスピッツの研究」 (第五回)

「エレファントカシマシ とスピッツの研究」 (第五回)

神に近づけなくなった詩人、苦行の始まり『巡礼行』

 ドイツの近代詩を作り上げた詩人ゲオルゲ、彼は何を目指していたのだろうか。

いったいにゲオルゲは、自覚的に態度を重んずる人である。詩文はむろん、つたえられる彼の諸種の写真像や生活態度もそれを裏書きする。無節度と独創性を混同することをドイツ的弱点とし、「ドイツ人がドイツ的な挙措(die Deutsche Geste)を獲得することは十の領土を攻め

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