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卒業論文をやり直す会⑦|2022年12月

みなさま、あけましておめでとうございます!
本年もよろしくお願い申し上げます。

昨年2月より取り組んできた卒論リベンジ、無事に提出いたしました! 12月24日が締切でしたが、まとめるのに時間がかかり、年末年始まで延長しての提出となりました。
この辺のゆるさも卒業のかかっていない個人プロジェクトならではですね。

進行上の反省点

ずっと見守っていただいた方はご存知の通り、定期のオンラインミーティングが夏の多忙期、本格的な執筆作業に入った秋頃に未開催の月がありました。
もちろん、常に報告できる成果があるわけでもないので問題ないのですが、LINEで少しでもコミュニケーションが取れていたら、もっとお互いにフォローできたのかなと思いました。

締切前には「本題が見つからない」「モチベが…」「ペース配分を失敗した」「かゆ…うま」とつらさを共有し、励まし合い、気持ちを奮い立たせていました。アドバイスを求めるでもない、相談未満の、取るに足らない言葉の交わし合いが、心に大きく作用するものなのですね。
高校生が勉強動画で空気感を共有する気持ちが、なんとなくわかった気がします。

受験も就活も卒論の執筆も、自分しか頼りにできない孤独な戦いです。そんな時に、格好をつけずに弱音や恨みつらみを吐ける場があると、心が折れにくいかもしれませんね。
たくさんの人がネガティブを投げ入れまくっても大丈夫! その空気に耐えかねてポジティブなことを言い出す人や開き直る人が出てくるはず。

個人評価

ルネ・ラリック《つむじ風》―芸術性と生産性のあわい
序章
第1章

 第1節 プロフィール
 1-1 幼少期、修行時代/1-2 ジュエリー時代/1-3 ガラス時代
 第2節 時代背景
 2-1 文化的背景/2-2 政治的背景
 第3節 ガラスの歴史
 3-1 はじめに/3-2 西アジアからヨーロッパへの伝播/3-3-1不透明ガラスから透明ガラスへ/3-3-2 ガラスの色彩を決める成分について/3-4 コア・ガラスから吹きガラスへ
 第4節 ラリックにおけるガラスの変遷
第2章 作品紹介
 第1節 ディスクリプション
 第2節 本作について
第3章 分析と考察
 第1節 モチーフについて
 1-1 シダ/1-2 香水瓶《シダ》との関連
 第2節 造形について
結論

執筆上の反省点

実際の執筆作業は、紙のノートやドキュメントに出典付きでメモしたもの、これまでのパワポのテキストをベースに執筆していました。
私は註入れがとにかく苦手でして……。論文には細かく註を入れず、「ここに記述があるからこのように判断しました」という最低限のところだけ、コメント機能でメモしたものを註に変換しました。
このコメントのワンクッションが面倒くさかったですね。

また、論文らしい文章に慣れていないことで、筆が遅くなってしまいました。
普段は流れるように読める文章を目指し、装飾的な言葉も使って、リズムが短調になるのを避けるために同じ語尾が続かないようにしています。けれど論文は、情報として正しいことが大事で、主観や雰囲気で語ってはいけないところがあります。そっけない文章を、と書いているうちに、文章なのか箇条書きなのかわからなくなっていきました。

内容上の反省点

今回は教授に向けてではなく、仲間内で読むために書いているので、作家のプロフィール(私の場合は加えてガラスの歴史)を入れています。全部で約8700字だったのですが、その半分が作家のプロフィールとガラスの歴史です。正式な卒論であれば含まない部分が、文章量と労力の半分を占める結果となりました。
絵画以外の作品を扱う場合は、知識のベースづくりからになります。スタートラインが後ろに下がることを念頭に進めていたら、第3章の分析や考察に、より時間と労力を割けたでしょう。

この進行の遅れとモチベーションの低下を受け、締め切りに間に合わせるため、渦巻きの造形についての考察と、他作家の作品との比較を省きました。論文のテーマ「芸術性と生産性のバランス」を証明するのに響かない程度に切り捨てました。
渦巻きの言及があれば、モチーフを象徴性だけでなく造形性の面でも説明でき、他作家との比較があれば、ラリックの特異性を際立たせることができました。
つまり、もっと作品の価値を証明する説得力が増したのです。

総じて、論文という形態への適応、ペース配分とモチベーション維持が課題でした。

良かった点

本当の卒論の時には、論文とは何か、よくわかっていませんでした。卒論リベンジでは、論文で扱う作品を一つに決めたことで論点が絞りやすくなり、論文の基本構成に則って執筆できたと思います。
今回の参加は、ルネ・ラリックについて、ガラスについて、改めて勉強する良い機会となりました。

一番大きな成果は、「なぜ美しいか、魅力的か」を「作品の価値」として、(納得させられるかは別として)客観的に説明したことです。
作品の魅力を、美辞麗句を用いてナラティブに、叙情的に伝えることもできますが、それが有効なのは読者が少しでも対象に関心があるときです。あまり対象に関心がない、いい印象をもっていない場合には、具体的な成果や数字でアプローチしなければ伝わりません。
これを普段の仕事にも活かして、すでに美術やアートが好きな人だけではなく、ちょっと関心を持ち始めた人にも魅力が伝えられる文章を書いていきたいですね。

今後の動き

今後は冊子化のプロセスに移ります。まだ印刷所など決まっていませんが、10部にも満たない場合はどうなるのだろう……。
冊子が完成した報告を最終回としたいのですが、諸般の事情で予定が未定なので、気長にお待ちいただければと存じます。

予定が未定なので、追って修正も受け付けるとM氏からお達しがありました。
課題を把握しているので、それほど悔いはありませんが(反省を書きながら徐々に募る悔い)、余力があれば修正版を出すかも(可能性は低いです)。





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