【靴屋の小話】軽快な底縫い、マッケイ製法について
こんにちは、blueoverチームのzuccoです。
いつも夜中に書いています。夜は静かで集中しやすいです。
今日は先日の製法の続編になります。
マッケイ製法について。
マッケイ製法とは
アッパー、中底、アウトソールを、靴の中から大きなミシンで一気に縫って完成させる製法です。一般的にはマッケイと呼ばれていますが、
一部業界人には<アリアン>とも呼ばれます。
※アリアンと言ってたら、靴関係者と勘違いされるかも!
靴の中には中敷が引いてありますよね。中敷の下には中底と呼ばれる部品があるのですが、マッケイ製法の靴では中底に縫い目が見えます。
(上の写真は中敷をはずすと中底がある。マッケイ製法の場合は、縫い目が見える。)
靴の外周を縫っていく製法とは対照的に、この底付けでは靴の中に縫い目がグルっと表れます。
マッケイ製法の歴史
先日お話したセメンテッド製法より後の1858年にアメリカで機械が開発されています。
もともとの技法自体はイタリアが発祥地のようです。確かにイタリア靴は、底が1枚で軽くしなやかで、ソールの返りが良いマッケイ製法の靴が多い印象がありますよね。
マッケイ製法のメリット、デメリット
・メリット
コバに出し縫いをかける必要がないので、コバを薄く狭く仕上げることが可能です。※コバとは、靴のアッパーの周囲よりも外側にはみ出た部分のこと。
デザイン上の制約が少なく、本底1枚で縫うことができるので、軽快な履き心地になります。
(写真はblueoverに入る前、昔むかしに作った靴です。)
・デメリット
オールソール(底替え)の修理をするときに、底縫いの糸を解く必要があります。糸は中底に貫通していて、修理すると縫い直しが必要になります。
修理の度に中底を傷めてしまいます。なので、マッケイ製法で作られた靴底の交換は、1回または2回が限度だと言われます。
マッケイの靴を購入されたら、修理屋さんでハーフソールをしてもらうのもいいですね!そしたら、底縫いの糸が切れるのを防止できて、長持ちします!
(でも、革底のまま履いたほうが返りはよいです。お好みで!)
(ビブラム社がおすすめ。2mm厚のハーフソールが一般的ですが、1mm厚のものもあります。
ラバーの配合で2mmよりも強いです。)
blueoverでのマッケイ製法の使い方
わたしたちblueoverでは「marco」というモデルでマッケイ製法を採用しています。
端正な見ためでオンオフ履ける人気のモデル。
marcoではオールソールの修理をしやすくするために、マッケイ製法を採用しました。
先ほどの説明では、修理に向かないとお話したのですが、
blueoverでは「あいなか」と呼ばれる部品を用意して、
釣り込みのあと、アッパーと中底と「あいなか」を貼り付けてマッケイ製法で縫います。
最後にカップのようになったアウトソールをセメンテッド製法で貼りあわせる。
①マッケイ →②セメンテッド
という流れです。
そうすることで、ソール交換の修理のときは、②のセメンテッドで貼りあわせたアウトソール部分だけを交換することが可能に。
「あいなか」や中底に縫われた底縫いの糸は解く必要はありません。
長く愛用していただくために、マッケイ製法を通常とは違う方法で採用しています。
アウトソールはEVAなので、マッケイの軽快さも邪魔しません。
あとがき
いかがだったでしょうか?
分かりやすくご説明ができていたでしょうか。。
マッケイやグッドイヤーなど、調べていただくと沢山出てきます。
まだまだ知りたい場合は検索してみてくださいね。
グッドイヤーについては、また今度。
本日も読んでいただいてありがとうございました!
zucco
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