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【靴屋の小話】いいとこどりの混合なめしのこと

こんばんは、blueover チームのzuccoです。

前にお話しましたが、革のなめし方の代表的な方法として、

タンニンなめしクロムなめしがあります。

今日はこれら二つのなめし方のいいとこどりをしたなめし方、『混合なめし』について。

お時間あるときに以下ご参照ください。

混合なめしとは

コンビなめしとも呼ばれます。

2つ以上のなめし方を組み合わせたなめし方法になります。

クロムなめしを施した革をタンニン加工することが多いようです。

クロムなめしだけ行った革よりも、少し硬さを足すことができ、

経年変化もゆっくりではありますが、楽しむことが出来ます。

タンニンなめしだけを行った革よりも、柔らかみをもち、伸縮性があるので、縫製などの加工はしやすくなります。また、タンニンのみの場合よりも、熱や水などにも強くなります。

つまり、クロムなめしとタンニンなめしの両方の良さが備わった革が混合なめしということ。

ただ、クロムとタンニンそれぞれの良い点にはかなわないです。

伸縮性、耐熱性、耐水性など、クロムと比較するとクロムが優れていますし、経年変化や硬さをタンニンと比較つればタンニンのほうが優れています。

※混合なめしにおけるクロムとタンニンの割合で、物性が変わってくるようです。

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それぞれの用途を考えてみる

では、実際にどのように使いわけされているのでしょうか。

タンニンなめしのものは靴の底材やベルト、カバンの取っ手やショルダー部分などにも用いられます。タンニンなめしの出来た革は伸びにくいので、その個性が生かされています。

クロムなめしは、カバンや靴のアッパー、車のシートや家具など、幅広く使われています。縫製作業が必要になる革製品にはクロムなめしが多いように思います。色も鮮やかに表現できます。

混合なめしは、クロムと同じようなカバンや靴のアッパーなどの用途で用いられることも多いです。タンニンと一緒に部位使いで用いられることもあります。

たとえば私たちの別のブランドになるのですが、カバンのWONDER BAGGAGEの2waytoteなんかは、わかりやすく、取っ手部分はタンニンなめしのヌメ革、底のはかまと呼ばれる部分は混合なめしです。

WONDER BAGGAGEの2waytoteで考えてみる

取っ手は使っていくうちに伸びてしまったら大変です。タンニンなめしが適しています。底部分はタンニンだと硬くて革が割れてしまうこともあります。またタンニンだとシミにもなりやすく、地面に触れる可能性のある場所に採用するには懸念があります。ですから、さわり心地も柔らかく、加工もしやすく、タンニンに比べるとシミにもなりにくい混合なめしを採用しました。

ベルト部分と比べるとゆっくりにはなりますが、底部分も経年変化をしてくれます。もともと底部分は柔らかさがあるので、経年変化の差は気にならない程度です。

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あとがき

結局、わたしはどのなめし方も良いところがあり、それぞれの良さを理解したうえで、商品に落とし込むことが大事だと思っています。

革屋さんや商品を加工してくれる工場さんと相談しながら、どの素材を使うのが最善かを話し合いながら決めていけば、より良い商品につながっていきます。


読んでいただいてありがとうございました。

zucco

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