小説・成熟までの呟き 30歳・1

題名:「30歳・1」
 2020年4月3日、美穂は女児を出産した。出産の際、美穂はとても不安だった。でも、「誰だって母になるうえでは同じ。人間における優劣は無い。」と言われて励まされて、乗り切った。子供の名前は、日の光のように明るく育ってほしいという思いから、日奈子と名付けられた。大尾島の豊かな自然の中で生まれた日奈子は、しっかりと育ってほしいという望みがあった。5月10日、美穂は30歳になった。公私ともに満たされた気持ちになっていた。夫の康太は、「人災によって俺達の家族に危害を与えられることは許さない」と、すっかり家族を大切にするという考えになっていた。

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