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北新宿の児童相談所

15歳で施設に入る前、2ヶ月くらい児童相談所の一時保護所に入所していた。

特に新宿区民というわけではなかったから(なんなら実家は郊外だったし)どうして新宿で保護されることになったのかはわからない。
初日は児童福祉司(児童相談所の職員)と入院していた閉鎖病棟からタクシーで高速道路に乗って新宿に移送された。
メーターが3万近くて驚いたし、支払いがタクシーチケットで行われていてすごかった。芸能人?
新宿は東京の中心なので、新宿児童相談所は東京のトップの児童相談所ということだった。東京のトップということは必然的に日本のトップの児童相談所だ。そんなビッグなところにわたしが…!

だけど待遇はトップというわけではなかった。
何ならトップの児童相談所は古くからあるということなので、昔からの常識を改善するのが難しそうな印象があった。
一時保護所のクオリティなんてどこも大体最悪なので仕方ないけど、ポッと出の民間のシェルター的な場所の方がQOLは高そうな気がする。

午後1時くらいに入所して、最初の1時間ほどは"先生"と呼ばれる大人(多分保育士で、教員ではない)と面談、身体検査、服を選んだりする時間があった。具体的なタイミングは忘れたけど一緒にタクシーに乗った児童福祉司はこのへんでいなくなった。
その場にいる大人が全員同性とはいえ身体検査では全裸にされて傷や身体的特徴をメモられた。
虐待を受けていた子も来るので仕方ないのかもしれないけど、初対面から30分で裸(ら)。

裸にされ、再び服に戻された後に別の部屋に連れて行かれた。
その部屋は6畳くらいの小さな個室で、洋服を入れる箪笥が複数置いてあり、横の棚には新品の日記帳や文具類がたくさんあった。
"先生"は数分前行われた身体検査の際に書いたメモを見ながら(洋服のサイズもメモっていたらしい)手際良く箪笥を開閉して、靴下や下着類、ズボン、Tシャツ、長袖のチェックシャツ、パジャマをそれぞれ2セットずつ手渡してきた。
受け取った衣類のうち靴下とパンツは新品で、その場で下の名前をひらがなで書かれた。
他の衣類はすべて(ブラジャーも!)これまでの入所児童が使っていたもののようで、「8-お」とか「D-3」みたいな謎の管理番号が割り振られていた。
受け取った服と交換する形で、これまで着ていた服は回収された。
ここで渡される2組の服は選べないし、毎日どちらかを洗濯するのでTシャツとズボンの組み合わせも固定だったんだけど、ミッキーがプリントされたボロボロのTシャツは死ぬほどダサかったと思う。
児童相談所では、自分で予備の服を持ってきたとしても保護中は着ることができないらしい。
他の地方はわからないけど、少なくとも東京都にある保護所は全域的に自分の持ち物が使えないそうな。
そんな感じで、この日からわたしの2ヶ月間の一時保護所生活が始まった。
(つづく…?)


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