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『ARK9010』EP.4.1 ARK9012「桜の木の下で」

 ARK9012との約束の日の前日、4月4日の深夜・・・

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■ARK9012
こんばんは、色々事情があって今日4月4日でMobil Tuneを卒業します。
たくさんのフォロワーさんに恵まれてとても幸せでした。
”いいね!”してくれた人、コメントしてくれた人、たいへんありがとうございました。
本当はまだ一緒にいたいけど・・・

みなさん、今までありがとうございました。
※この投稿はアカウントからの設定でコメントがオフになっています

「えっ・・・どういうこと!?」
「なんで?」
「なにっ?」
「なにかあったの!?」
「えっなんでなんで・・・」

 まぁ、明日、直接聞いてみるか・・・



翌日、4月5日(月)AM 9:00少し前
埼玉県比企郡○○町 ○○総合病院 第2駐車場
 この病院の外構には、たくさんのソメイヨシノが植林されており、ちょうどこの日に満開を迎えていた。時折吹く強い風によって、まるで映画の一場面のように桜の花びらが舞う・・・ほとんどの人がその光景に足を止めた。例年であれば病院の敷地内では、皆で軽い食事を持ち寄り、お花見のまねごとを行うのだが、昨年から、新型ウイルスの影響で、桜の木の下での飲食を自粛している。そんな状況もあって、満開の桜の花はやや寂しそうな表情に見える。長閑な山間の町にあるこの病院は、他の同じような環境の病院同様に駐車場が無料のため、この時期はお花見目的の車で、理不尽に満車になるのだが、今年は、昨年よりもやや多いものの、駐車している車はごく僅かである。

 ARK9012から指定の集合場所である病院の第2駐車場には、手入れの行き届いた数台の珍しい車と、満開の桜の演出で、まるで何かのイベントと見間違えそうな光景だ。

ぺルラ・ネラ・ブラックのプジョーRCZ R
ラックスシルバーのBMW 325i(E30)
ボルドーレッドのメルセデスベンツ G320(W463)
ポリメタル・グレー・メタリックのMAZDA3(BP8P)
ブルーブラックのメルセデスベンツ E500(W124)

 どうも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・あぁどうも・・・・・・・・あぁ・・・・・
・・・あれには驚かされましたよ・・・・・・・・・・
・・・・・・・・で、今日は何の?・・・・いや・・・
わかり・・・そうなんですか・・・・・・・・・・・・

ある意味、ARKさん主催のオフミーティングだな・・・

 車の周りには、明らかに通院や診察などとは無関係そうな集団。
 彼らは、なんとなくお互いを理解し、そして、その目的を同じにするも、なにかぎこちない。そして、その中の一人だけが、キョロキョロと落ち着きなく集団の人物一人一人を観察している。
 ちょうど9:00になったとき、その男が口を開いた。

「すいませーん。ARK9012に呼び出されて来られた方、こちらへ来ていただけないでしょうかー。」

 ぞろぞろと先ほどの集団を構成する数人の男性と女性が集まって来たが、誰もがこの場に集められたことに理解が追い付かず、一様に怪訝?不安?な表情をしている。

「えっと・・・私は山田というものなんですがぁ・・・ARK9012に頼まれてこの場所へ来ました。詳しい話は後程させていただきます。それではまず来られている方の確認をさせてください。一応、聞いている範囲では、こちらへは、”Radさん”、”サーぽんさん”、”おじギャルさん”、”だけさん”、”たつさん”の5人ですが・・・えーっと5組・・・ですかね?皆さん来られているということで・・・」

「ARKさんはどこに?」
「ARKさんは来てるんですか?」
「ARKさんはいないのですか?」
「昨夜のコメントはどういうことですか?」
「ARKさんは?」・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「すみません。ARK9012と呼ばれるものは、今日、ここには来ていません。というか・・・ちょっと、この駐車場には来れなくて・・・私がここで皆さんに説明するように連絡を受けました。」
「えっ!?それはどういうことですか?」
「いやいやいや・・・ちょっと理解できないですよぉ・・・」
皆、今回、ここへ呼び出した張本人が来ていないことに驚く。

「えっと、それを私から説明させていただきます。その前に・・・えー、あなたが”Radさん”ですね?えっと、こちらは奥様でよろしいですね? ”サーぽんさん”と、”おじギャルさん”、あっ”おじギャルさん”はお二人ですね? それと、”だけさん”に”たつさん”と・・・皆さんお越しいただいていますね。」

 山田と名乗る男は、30歳くらいで体格が良く、ちょうどラガーマンのようないで立ちである。山田はズボンの右ポケットから、几帳面に折られた紙を取り出すと、そこに印刷してある顔写真を見ながら、集まった人たちの確認を行った。その後、別の紙を広げ、なにかをイメージするかのように黙読し、しばらくじっと考えた後・・・

「えっと・・・どこから何を話すべきなのか、実は自分でもよく整理できてなくてですねぇ。まずはARK9012からきたメールを読ませていただきます。たぶんそれが一番わかりやすいと思うんで・・・おそらく、にわかに信じがたいと思える内容なのですが、私にはこれが事実であると断言できます。まずは一度聞いてください。」

「・・・?!・・・」
 山田の言葉が全く理解できず、皆お互いに顔を見合わせた。


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☆彡ARK9012の投稿 (/・ω・)/

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