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多様性の科学

多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織
(マシュー サイド著)


多様性

これまで、「能力の高さ」と「多様性」は両立しないという考え方があった。人と違うという理由だけで能力の劣る人を採用できないという主張。

1人口統計学的多様性:性別、人種、年齢など
2認知的多様性:ものの見方や考え方

・通常は人口統計的に多様であると、認知的多様性も高くなることが多い
・視点が多様化するほど、見つけられる有益な解決策の幅が広がる
・無意識で自分のフィルターでものを見ている

多くの盲点

・実験において、プレゼントを受け取る側が提示したリストを無視して自分でプレゼントを選びたがる傾向がある。
・同じような人々の集団は互いを強化し合う(ミラーリング)
・個人個人は頭脳明晰であっても同じ背景を持つ人の集団は盲目になりがち

回避可能な911テロを見抜けなかったCIA

・CIAの厳格な人事採用基準:同じような特徴を持った人材採用
白人、男性、アングロサクソン系、プロテスタント
・イスラム文化に詳しい人はいなかった(ビンラディンが潜んでいた洞窟はムスリムにとって神の一連のシンボルだった)
・中国語、ヒンディー語、アラビア語などを話せる分析官は皆無だった
・ライバル心による情報機関同士の情報交換不足

1978年のユナイテッド航空の事故

・古代から人間は序列が定められた集団で生きている
・機長に異議を唱えることを恐れ手遅れの時点になるまで正確な状況を伝えられなかった。この心理状況は特別なものではない。
・情報の共有は多様性を発揮するポイントになるにも関わらず、一人のリーダーに集約され多様性が失われる

Googleの管理職の撤廃

・結果は失敗に終わり、ヒエラルキーの欠如は混乱を招き、方向性を定めて円滑な体制を促す管理職は必要という結論となった。

新たな課題
・「ヒエラルキー」と「情報共有」のバランスはどうとるべきか
・「決断力」と「多様性」のバランスはどうとるべきか

尊厳型リーダーのもと、誰でも意見を出し合える環境が重要となる。(心理的安全性がチームに成功をもたらす)

イノベーションと多様性

・関連のなかった異分野のアイデアを融合する方法
・アメリカ経済を担う起業家は皆、移民もしくは移民の二世
(多様な文化や経験が新たな融合のアイデアを生み出す)
・イノベーションには頭の良さよりも社交性がポイント

集団脳(集団的知性、集合知):
アイデアや情報が共有されるとその知識を持つ人が増えるだけでなく他の多くのアイデアと融合される機会が増える。アイデアの連鎖。イノベーションの鍵は人々のつながりが鍵となる。

フィルターバブルとエコーチェンバー現象

フィルターバブル:社会から孤立し、泡に閉じこもっている状態。情報にはフィルターがかけられ反対意見から隔離された状態。
エコーチェンバー現象:自分達の信条に沿わない意見を完全に遮断しているわけではない。しかし反対意見を聞くほど自分の信条を正当化する。

平均値の落とし穴(人間の多様性)

・標準化されたコックピットは事故が多かった。
→平均値で設計されたコックピットは誰にも当てはまらないものだった
・標準化された食事療法は食べ物に注目しすぎており食べる側の人間を考慮する必要がある。人によって合うものは異なる。
・標準装備のInternet ExplorerやSafariは生産性が低い結果。あるがままに受け入れるよりもより良い方法を自分で探す特性が重要。

人類の集合知

・ネアンデルタール人の方が大きな脳を持っており、人類の祖先の方が頭が悪かった可能性があるが、社会性があった。社交性により情報交換と学習が進んだ。やがてイノベーションが起きる。

・チンパンジーとオランウータンと人の幼児で比較すると、人は社会的学習能力(人の行動を真似して学習する力)が優れていた

多様性を取り入れる3つのこと
1無意識のバイアスを取り除く:無意識に固定観念がある
2年功序列の壁を崩して異なる世代での考え方をいかす
3与える姿勢:与える人は成功を収めやすい

さいごに

個人の知性ではなく集団の中で人が自由に意見を交換できるか、反論を受け入れられるか、他者から学べるか。

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