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ビジネスモデル全史

ビジネスモデル全史 (三谷宏治 著)

ビジネスモデルとは

旧来の戦略フレームワークを拡張するためのコンセプトセット、目的は多様化・複雑化、ネットワーク化への対応であるもの。”誰に対して、どんな価値を、どう対価を得るのか”
イノベーションは新しい市場を作るもの。新しい社会を作るためにビジネスモデルがある。

ビジネスモデルの視点からの経営戦略フレームワーク
1:ターゲット/プレイヤー
2:バリュー
3:レベリューストリーム(商流)
4:資源/バリューチェーン

■ 1673~1969: 近代ビジネスモデルの創世期

・江戸時代の越後屋(現在の三越)
つけ払いから現金払いへ。人によって異なる金額から定価へ。店頭販売のみへ。切り売りと仕立て売りの2モデル。それらにより値段の安さを実現。
単なる値引きではなく、全てを変えたことにより他社の真似を防いだ。

・自動車GM
新商品と大量広告により、消費者が買ったものを時代遅れにする計画的陳腐化を行うマーケティング手法

・ジレット
替え刃モデル。使い捨ての刃。収益の仕組みを大きく変えた。のちに、プリンターとインク、携帯電話と通話通信料、ゲームと本体などへ広がった。

■ 1970~1990: 近代ビジネスモデルの変革期

・TOYOTA
トヨタ生産方式。在庫を持たないモデル。フォードやGMは異なるものだった。従来、在庫は生産や販売のために必要だった。

・Kマート
ディスカウントストア。百貨店の時代に、新しい業務モデル。売れないものをたくさん抱えるモデルであった。10倍お客が来るなら10分の1しか売れないものを抱えても成り立つ。

・ウォルマート
地域と密着した配送ネットワークによる競合優位性。

・任天堂
ゲームプラットフォーム、家庭用ゲーム機ファミコンの登場。ゲーム本体は安くソフトを高めに。第3社のソフトはライセンス制。

■ 1991~2001: スピードとITによる創造期

・DELL
ターゲットを大企業に絞ったことで、広い宣伝を不要に。アフターケアの対応はメールなどインターネットに切り替えた。

・ZARA
予測して大量発注の仕組みを変えた。流行に乗ることをやめた。新製品をどんどん出して、顧客の好みを知るようにした。売れていても(リピートしてもらうために)4週間以上は売らない。流行に合わせないことでスピードが上がった。

・ヤフー
電話帳からネットメディアへ。メールやファイナンスなどを統合しポータルサイトへ。収益は広告モデル。

・Google
検索エンジンの改良。バナー広告から検索広告へ(オークション制度)。

・Amazon
インターネットで売れそうな”本”の販売開始。eコマースに投資することでノウハウをためていった。物流センターへの投資も注力した。ものを早く届けられる根源となりそれがロングテールも合わせて競争力になった。

■ 2002~2014: リアルを巻き込んだ巨人たちと小チーム

<収益モデル>
1.内部補助型
・来店を促すためにティシュをタダで配る
・配送料をタダにして売上増で儲ける
2.第3者補助型
・コンテンツはタダにして広告で儲ける
3.一部利用者負担型
・閲覧側はタダで作成ツールで儲ける
・買い手側はタダで売り手側の手数料で儲ける
・ゲームはタダにしてアイテム課金で儲ける
・基本サービスはタダで一部の有料会員
4.ボランティア型
・ボランティアによる評価や記事でトラフィックを増やす。結果広告など

・フリーミアムモデル
フリーミアムにおいては無料から有料への移行が時間がかかる(2年以上かかる例も)。ゲーム以外では多くの失敗。

・Cookpad
レシピの投稿。有料会員による売上。ゲーム以外での成功例。

・Facebook
オンラインでのハーバード学生名鑑。友達関係をお金にする。広告モデル。

・Linkedin
広告ではなく企業からのお金をとり、HR目的でつながりのない人へのメール送付を可能に。

・オムニチャネル革命
リアル店舗で見てネットストアで買うモデル。SNSなども。シームレスな体験。

・ヤフージャパン
マーケットを広げるため、ショッピングの出店料やオークション利用料の無料化。

・アップル
逆替え刃モデル。Macなどの本体は高いが、アフターケアやサービスなどを安くする。

■ オープンイノベーション

優秀な人は会社を辞め、企業のために働かない。(企業内に囲って置けない)。産学連携や他社の技術との連携やライセンスなど。ベンチャーの買収など。自社の技術もオープン化し第3者での共同開発など。

・アップル
製品ラインの絞り込み。
OSの統一であり、Androidの多バージョンとの差別化。開発や更新の簡素化。

・AWS
クラウドによる拡張性。スタートアップにとっても起業のハードルが下がった。

■ ビジネスモデルまとめ

従来の基本モデル
1.売り方(チェーンストア、ディスカウント、地域)
2.作り方(大量生産、垂直統合、水平分業)
3.決済・資金調達(クレジットカード、)
4.儲け方(替え刃モデル、広告、従量制課金、プラットフォーム)

ネットの成長とともに新たなビジネスモデルが可能に。
・オープンイノベーション
・クラウドサービス
・クラウドソーシング
・フリーミアム
・ロングテール

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