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台湾、香港、中国の基本属性を知る〜人口分布、性別比率、収入〜

01 はじめに〜クロスボーダー対策として〜

昔は、台湾と香港の違いどころか、地図上でどこが台湾でどこが香港かも知りませんでした。中国は大きいのでうっすらわかりますが、それ以外の知識もあまりなく。私は大学が福岡だったこともあり、韓国の留学生は多かったです。次に中国の留学生も多かった記憶はあります。(違う学科の中国人留学生が「勉強教えて」と連絡くれたのに驚いた思い出があります。韓国人の留学生はトッポギ作ってくれました。)

さておきこのニューノーマル時代で、リアルなクロスボーダーもすっかり減り、オンライン化も進んではいます。並行してビジネスとして考えていくときにターゲット理解は重要だと思い、台湾人ってどんな人、香港人ってどんな人と考えることもむしろ多くなりました。

インバウンド(海外旅行客に日本の観光地を知ってもらう、来訪してもらうなど)やアウトバウンド(日本の商品を海外現地で販売する、店舗を出店するなど)、また日本人や在日外国人に日本国内旅行をしてもらう、といった国籍を超える・国境を超えるクロスボーダー対策を考えられている方も多いと思います。

02 各国の人物属性を知る

元々訪日客の上位はアジア圏でありましたが、近年のニューノーマルな環境においてもアジア近隣諸国は重要なエリアになってきます。そのような背景と合わせて、まずはアジア中華圏(台湾、香港、中国)の人々のことを知っておくことが今後の対策に必要となってくると思います。

・人口分布

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図1:台湾、香港、中国の人口分布(各年代別の人口割合)

・台湾
比較的にバランスの取れた形をしていますが、男女ともに40代前半が多いだけでなく50代以上の割合も比較的に多くなっています。

・香港
中国本土の広東省と近接している香港ですが、男性側(緑色)でみると50代後半から60代前半の人口が多くなっておりかなり高齢化が進んでいます。女性側(黄色)でみると男性と比較すると30代後半の層にもピークがみられ、そのまま男性と同様に40代50代が多くなっています。一方で、10代の子供数が少なくなっているのも特徴的です。

・中国
中国はこの中では、若年層が多い傾向となっており20代後半の人口が多くなっています。1979年から2014年まで続いた一人っ子政策の終了後、子供の数も増加傾向ではありますが引き続き子供は2人までという規定となっています。

・男女比率

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図2:台湾、香港、中国の男女比率

台湾ではやや女性比率が多いですが、ほぼ半々になっています。香港では女性比率が高いことが特徴的です。香港は中国本土と近接しているため、ビジネス上の出張や転勤、また移住などの背景から香港人男性と中国本土の女性が結婚することで香港へ移住するといった例も影響しているようです(※1:参照)。中国では、男性がやや多いもののこちらも男女比はほぼ半々となっています。

・収入レベル(月収)

図3:台湾、香港、中国の月収

観光消費や越境ECにおいても経済力は気になるところです。以下は台湾、香港、中国の月収の比較になります。基準が同じというわけではありませんが、概ね傾向を把握するための比較表になります。台湾は月収が約4.2万台湾元で日本円で換算すると約16万円になっています。その分、物価(特に飲食の料金)は日本に比べると安い傾向があります。香港の全世帯でみると、2.49香港元(日本円で約35万円)となっており、これらの中華圏の中では高い傾向となっています。日本の年収441万円(中央値)から考えると、月収は約36万円になりますので、ほぼ同等の金額となっています。経済活動を行っている世帯に限定すると、当然ではありますが香港の月収はさらに上がる傾向が見られています。

中国では、都市部と地方での収入レベルの格差が多いとも言われており、平均的にみると低い数字となっています。また国営と私営の企業や仕事によっても差が出ている結果となっています。(国営のほうが高い傾向)。上海、北京などの都市部の平均では12~13万中国人民元(日本円で約21万円)まで変わってきます。さらに、よくメディアでも報道されているのは資産1億円以上を保有する富裕層が100万人以上いるとも言われています。

ただ、これらの月収は観光消費額とも異なっています。

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図4:観光消費額(観光庁2020年)

2020年1−3月の観光消費額の外国人旅行客の全体平均は約15万円になりますが、香港は平均的で同様の約15万円、台湾は収入レベルと比較するとそこまでは差がでていないと言えます。訪日中国人は平均を上回る約20万円でヨーロッパからの旅行客と同等の水準になっています。さらに各国、訪日回数が増えれば増えるほど消費額が増加する傾向になっていますが、中国ではまだまだ日本にきたことがない人も多い状況です。一方で台湾や香港は、訪日経験も多く、その分行動パターンも変わってきますので、多角的に見ていく必要がありそうです。

・収入レベル(分布)

以下は収入の分布図になります。高所得層が多いほど、平均値は釣り上がりますので、より実感に近いものは中央値になります。台湾では、44.1万台湾元(日本円で225万円)が年収の中央値になります(前述の月収で約4.2万元)。117.9万元(約450万円)が上位10%のリッチ層にあたります。

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図5:年所得分布(台湾)

こちらは香港の収入の分布図になります。なおこちらのデータは政府人口統計ではなく当社のアンケート調査(500サンプル)による参考値です。1万〜2万香港元(日本円14万〜28万円)が最多となっており、前述の政府統計データの中央値は2.49万香港元は、左から3番目の棒グラフにあたります。7万香港元は日本円で月収100万円になりますが、リッチな層も一定数見られています。

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図6:月収分布(香港)

以下の図7は中国の月収分布になります。1000元以下(日本円で16,000円)が最多となっており、5000元(日本円約8万円)以下が大半を占めています。

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図7:月収分布(中国)

03 さいごに

クロスボーダー対策として、最初のステップである「ユーザーを知る」に着目しました。本来はどのような観光アクティビティ、またはECであればどのような商品に興味があるか、など興味関心の側面が重要であることは間違いないと思います。一方で、基本的な属性を見逃しているとターゲットがずれてしまう可能性もあると思います。他にも居住地による地理的な特徴や移動(空港や二次交通など)関する側面など、見込み顧客となるターゲットのことをより深く知っていくことで、望む人に望むものを届けるという押し売りではない世界観が実現できるのではと考えています。

参照

※図1,2:台湾人口統計 內政部戶政司全球資訊網 https://www.ris.gov.tw/app/portal/346
※図1,2:香港人口統計 政府統計處 https://beta.censtatd.gov.hk/tc/web_table.html
※図1,2,3:中国人口統計 国立研究開発法人科学技術振興機構 https://spc.jst.go.jp/statistics/stats2018/index.html
※図3:台湾 行政院主計總處 https://www.stat.gov.tw/public/Attachment/01222134917FDX2C8F3.pdf
※図3:香港 政府統計處https://www.censtatd.gov.hk/hkstat/sub/sp459_tc.jsp?productCode=D5321603
※参照1:出生登録データから見た香港の少子化 http://www.ritsumei.ac.jp/ir/isaru/assets/file/journal/27-2_06_LEUNG.pdf
※図4:観光庁 外国人消費同行調査
※図5:台湾行政院(2019) https://www.dgbas.gov.tw/mp.html
※図5:台湾行政院(2017) https://www.ey.gov.tw/Page/9277F759E41CCD91/c2f04ce5-ed2a-46b9-9374-3c5c098e7282
※図6:Vpon調べ
※図7:JBpressより https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62791