見出し画像

バンカラ;バンドカラオケ

いや~。日経平均が2万円超えるといつの時代も必ずやってくるバブルの臭い。個人的にはバブルの空気感はあまり得意ではないが、それでも時代の波には少しは乘っておこう。的な風潮が自身の中に漂っている。(後々話のネタになるから)


バンドカラオケ。略してバンカラ。バブルを野生の嗅覚で嗅ぎ取った知り合いがオープンするというので、祝いがてら来店してみることにした。

梅田の路地を迷いに迷いまくり、もう少しで、宮崎さんちのバロンにでもあってしまいそうな。湯ばーば。にでも出会いそうなぐらい路地を彷徨い。やっとの思いで、たどり着いた。地下に潜る階段が、昔よく通っていた難波のライブハウスを思い出す。狭い、そして怪しさ満点の階段。薄暗く奥が見えにくい。まさに異空間への黄泉の道。知り合いがやってなかったら、いちげんさんでは絶対に下りない階段だ。


無駄に重い鉄の扉を開くと、大音量が鳴り響く。入り口にチョコンと設置された、申し訳程度の小さなカウンターに黒服男が「いらっしゃいませ」と出迎えてくれた。


いやーこの時点でまさにバブル!


「よっ!久しぶり」と言わんばかりの空気感に懐かしさを感じながら、大音量で聞こえにくくなった黒服男の話に耳を傾ける。


「入場料、御一人3500円です!!」


丁寧なテイストを保ちつつ、声を張り上げて、金額を告げる黒服君。


チャージ代が3500円!!

まさにバブル。ご祝儀代だから、今日は致し方ないが、平素立ち飲み屋で、ちまちま飲んでいる私からすれば、もはや暴利としか言いようがない。しかし、今日は祝い事、おめでたい席なので・・・。としっかり自分に言い聞かせながら、しっぶ渋、入場料を支払い、やっとの思いで入場した。


鳴り響く大音量、中には30人前後の老若男女がそれぞれのスタイルで楽しんでいる様子。若人たちはライブさながらに、バンドマンの桟敷を陣取り踊り狂っている。さほどうまくもないが、お客一人がモニターを睨みつけながらマイク片手に熱唱している。


少し、年配とお見受けする紳士淑女の皆様は、ソファー席を陣取り紫煙をくゆらせながら、若人たち見守っている。


あはは。いいねぇ。一昔前のダンスパーティーを見ているかのようだ。ソファー席を陣取る人々とホールで踊り狂っている人。モーゼの十戒の如く明らかにそこには見えない国境があるのだ。


元来もったいない精神旺盛な私は、「3500円分元取らねばならぬ!」よし、歌うぞ!踊るぞ!何?フリードリンクだ~。一杯800円計算でも4杯以上飲まねば元は取れない!飲めや歌え!!


と意気込む私を尻目に、黒服君が


「すみません。今日はプレオープンなので、あと一時間で閉店なんです」


と、鬼のような宣告。


お、お前、それなら、私が入場料を払う前に言わんかーーーい!


しかし、もう時すでに遅し。払っちまったものはもう戻っては来ない。ならば、時短で元手を回収する方法。


こりゃ手っ取り早く、飲むしかない!


矢継ぎ早にカクテルをガバガバ飲み干し、知ってる曲が流れれば、若人に交じって踊り狂ってやった。曲を入れるぞ!と意気込んで、曲を打ち込もうとすると、予約曲が20曲以上入っていた。一時間では、私の順番が来るのは絶望的だ。


しかたない、飲むピッチを上げるしか回収方法はない!右手にジンバック、左手にビールを握りしめてAKBを踊りまくってやった。


はぁ、はぁ。と息を切らせて閉店となったバンカラを後にした。


あぁ、バブルは疲れる。しみじみ40越えの体を引きずって御堂筋線に乗り込み帰途に就くのだった。帰りの地下鉄がこれまた辛い。もう若くないなぁ。

(笑)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?