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お薬大好きーーー!!

お薬って不思議ですよね。「あんたお薬好きだね~そんなにたくさん飲んで」といわれると、「こんなもんスキで飲んでるんちゃうわい!!」と反発したくなる。


しかし・・・・。


「あんた、お腹が痛いとか膝が痛いとか言ってるけど、検査したけど、どこもわるくないので、薬とか別にないから。」と医者に言わると「薬の一つもくれへんのかい!!」と言いたくなる。そんな人多いんじゃないでしょうか(笑)


嬉しそうにほくほく顔で「お薬大好きーーーーー!!!」とばかりに大量のお薬を両手に抱えて院外薬局から出てくるお年寄りたちを見ていると、「本当にそんなにいるの?」と思ってしまう。


患者さんが便秘だといえば病院で便秘薬を出す。そして同じ患者が便秘薬飲んだら下痢したといえば今度は下痢止めをだす。お薬の無限ループが形成される。お年寄りはお薬貰ってホクホク。病院も懐が温まってホクホク。消費税がザクザク上がっていくわけだ。(笑)


と言う訳で、今日はお薬にまつわるちょっと面白い研究発表があったので紹介してみよう。


パーキンソン患者さんを対象にした研究で、薬剤価格によってプラセボ効果に違いがあることに示され、「Neurology]で報告された。


米シンシナティ大学の研究では、12人の患者に対してプラセボ2薬を1剤ずつ、時間をおいて投与した。どちらの注射も実際には生理食塩水。患者には一方の薬は一回分17万6千円。もう一方は、一回分1万2千円だと告げられた。 医師は患者にどちらの薬剤も同様の効果があると断言していた。 

その結果、高価な薬剤を投与されていると告げられた場合、投与後4時間にわたって振戦、筋固縮などの症状の改善が大きくなり、MRIでも患者の脳活動に違いが見られた。


これらのプラセボはパーキンソン薬ほどの効果は見られなかったものの、高価なプラセボは通常のパーキンソン薬と安価なプラセボの中間に位置した。
さらに、脳の活性は、高価なプラセボと通常薬と同様の効果であった。


ということです。 

つまり、脳がこりゃ治るぞ~。って期待するだけである程度効果があるということです。 人は他の動物と違って「思い込み」によって身体の不調を悪化させたり改善させたりする生き物であるということです。


病院には多くの患者さんたちが来られますが、この「思い込み」による症状がどれだけ多いか舌を巻くほどです。


しかし、患者さん本人にとっては、一大事なわけです。 眠剤のシートの色が変わっただけで「眠れなくなった!!!」と騒がなければならなくなるのです。 


「眠剤を飲まないと眠れない」「ロキソニンがないと眠れない」「セデスがないと眠れない」 


よくよく考えてみて下さい。人間は72時間睡眠をとらなければ、昏睡状態になります。生きている限り、必ず「寝る」生き物なのです。 


「わたしゃ、10年間寝たことがない!」 と自慢げに話す人がよくいますが、それは、昔味わったよく寝た感じがない。


というだけで、ちゃんと寝ているのです。 そういう方は点滴室で大いびきをかいて寝ていることが多い。


でも本人は寝ている気がしていない。ということです。 


ロキソニンやセデスに至っては、痛みの原因を取っているわけでもなく、ただ痛みを感じなくしているだけのお薬です。


それらがないと眠れないという思い込みで睡眠できない。 


そういう患者さんは病院では陰で「ロキ中(ロキソニン中毒)」「S中(SG中毒)」 と呼んで、痛み止め薬中毒患者さんとして扱われます。


しかし、それらの患者さんに 「あんた、それ思い込みだからやめましょう」 と言っても、患者さんは怒るだけで誰も眠剤や痛み止めを飲むことを辞めないでしょう。 


薬物中毒は、心も体も蝕む。 痛みがあるなら、痛みの原因治療、眠れないならカウンセリングや活動量の増加等の対応が必要です。 


「思い込み」による症状はいくらでも改善の余地があるということです。


パーキンソン病のような指定難病の患者さんでさえプラセボが効果が見られたのです。 


全てではありませんが、薬剤だけでは、人の疾患は治せないのです。薬物療法と非薬物療法は自転車の両輪に例えられることが多い。片方だけだと前には決して進まない。治療というのは片方だけではダメな場合が往々にしてある。薬剤だけでは治せない部分が、人にはあるということです。 心が動かないと体は動かない。


しかし、最近の風潮ではお薬だけ病院でもらって後は自分でってのが多い。なので、寝たきりが多くなるんですよ。(´;ω;`)


私が長年やってきた理学療法は薬物・観血的手術以外の治療法の一つです。薬だけでは、治らない・障害がある患者さんは、是非、療法士の扉を叩いてみて下さい。別の世界が見られるかもしれません。(*- -)(*_ _)ペコリ

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