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お腹の中の子は8ヶ月目です②

家族で行きつけのお好み焼き屋「船渡」さんへ。
お昼2時頃だと客の出入りは少ないことを知っているので話しやすい。
いつも注文しているモダン焼きを2枚。夜ご飯を食べないといけないのでこれくらい。
ちなみにこの日はすでに春休みでした。

「お母さんな、お腹の中に赤ちゃんおるねん。」

発表すると、娘たちは顔色を明るくした。

「めっちゃ嬉しい!」

我が家の経済面のこと、私は高齢出産で体力がなくなることなど伝えた。そして、赤ちゃんを殺そうと考えたことも。

だけと娘たちは「私らで面倒見るよ、だから頑張って産んでほしい」と言ってくれた。
まだ高校生、小学生の娘たちだけど、私たち親が心配するのも無駄なくらい頼もしく育っている。

私は産むことを決意した。

近所にあるいつも助けてくれる町の小さな産婦人科へ足を運んだ。
病院の婦人科で報告されたことをそのまま伝えた。

「はあぁぁあ?!5ヶ月目?死にかけ?どこがやねん!赤ちゃんめちゃくちゃ元気やわ!」

建物中に響き渡るくらいなぜか私が怒られた。
どうやらあのとき医者から告げられたことから、赤ちゃんは何か殺気を感じて元気になったんでしょうか。お腹の中で暴れまくっているし、なんなら前よりお腹が一気に出てきたような気がする。

「このお腹は8ヶ月目に入ったところ。5ヶ月なんかやない。」

絶句。

そこからはめちゃくちゃ早かった。
お腹はかなり張ってきて、中で大暴れしているのが分かるくらい。元気な子で良かった。

9ヶ月目くらいに入ったころ、私は陣痛になった。今までで1番の痛さに悶絶する。家族に連れられるながら急いでかかりつけの産婦人科へ。

「あ、陣痛始まった。ほんなら寝よか。」

この助産師は慣れすぎて、早く来た陣痛に対して感情がない。

「9ヶ月で産まれるなんてよくあるから。」

分娩室へ運ばれる。
分娩台に乗ると私はとにかくいきんだ。
いきみまくった。

おしりから便が出ようが関係ない。

「ふんんんんんん、、、、はぁ、はぁ、、」

なんてのを何回繰り返したのか分からないくらい。
徐々に頭も見えてきて、ラストスパートをかけられる。

「もうちょい、もうちょい!」

助産師さんが言うと、

「んぎゃー!んぎゃー!」

という泣き声が私の股から聞こえてきた。

「おぉ〜小さい透明のふわふわな女のコが産まれたよ〜!」

3、4時間ほどで出てきた。
小さくて可愛くて、透明な赤ちゃん。

「この子は早かったねぇ、、早く出てきたかったんよね。」

隠れてたくせに。
でも、無事産まれてくれて良かった。ありがとう。

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