世界の幸福度の話【ウェルビーイング手帳】
世界の幸福度についてのお話です。私達の幸福は一体何によって左右されているのでしょうか?良くも悪くも、お金(所得)はやはり重要な要素である事が明らかにされています。次の図は、各国の幸福度の平均値を縦軸、所得の平均値を横軸にプロットしたものです。幸福度とは、「あなたは自分の人生にどれくらい満足していますか?」といった問いで測定される値です(ここでは、0点~10点)。金銭的に豊かな国ほど(グラフで右側へ向かうほど)、幸福度が高くなる傾向がある事が確認できる。お金は幸福度を決める主要な要因の一つであるわけです。
(※幸福度は2018年度の「世界幸福度報告書 」のデータ、一人当たりGDPはWorld Bankの2018年のデータ。)
幸福度を分析する事によって、生活の客観的な側面のみでは扱うことの難しい生活の質を定量的に捉え直すことが可能になる。例えば、ヨーロッパ諸国の中でもフィンランド(1位)やノルウェー(2位)などの北欧諸国の幸福度は常に高いランクです。国民全体の平均的な所得では同じくらい豊かであるはずのアメリカは18位。日本の幸福が54位と低いことは有名で(2020年は62位)、所得で見ると大差のないニュージーランド(8位)の幸福度から大きな差をつけられています。また、コスタリカのように貧しくても幸福度が高い国もある(13位)。定量化された幸せのこれら値の差は、生活の質の何かしら重要な側面を現わしているような印象があるのではないでしょうか。例えば、コスタリカは1948年に軍隊を廃止して教育や医療などの福祉に軍事予算をあてている国ですが、そした社会の在り方と高い幸福度はおそらく無関係ではないのでしょう。同じくらい金銭的に豊かな国どうしの幸福度の差はどういった要因から生じるのでしょうか?様々な要因が幸福度に影響する事が明らかにされていますが、所得格差もまた、幸福度を大きく左右する要因の一つです。
金銭的に同じくらい豊かさである国々で比較するために、ここでは豊かな国々(一人当たりGDPが35,000ドル以上)のみを対象に、幸福度と所得格差の関係性を見てみます。次の図は横軸に所得格差(所得の上位1%が国の総所得に占める割合)、縦軸に幸福度を図示した結果です。所得格差が大きくなるほど(グラフで右側へ向かうほど)、幸福度が低下していく傾向がある事が確認できます。同じくらい金銭的に豊かな国であっても、平等な社会であるほど幸福度は高くなる傾向があるわけです。
(※所得上位1%の総所得の占有率はパリ・スクール・オブ・エコノミクスのデータで2006年から2012年の平均値。)
それにしても、金銭的な豊かさのわりに日本の幸福度は低く、日本人としては気になるところです。これは日本人の遠慮がちな回答の傾向にも依るものと推察されますが、回答の傾向だけでは説明が難しいようです。結果を否定することなく、僕等が暮らす社会の事実の一つとして受け止める方が、幸せな社会を目指すうえで生産的なのだろうなと思います。
もう少し詳細な分析をブログ「幸福のヒント」に載せてますので、よければどうぞ。
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