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+1回目+ 油の正しい選び方

こんにちは、世界初お菓子テックカンパニーCEOの柴田アリサです。

(このnoteのテーマである お菓子と科学 のお話をするには、まずは油のことをしっかりと理解しておく必要があると思いました。お菓子には油は必要不可欠です。わたし が作るお菓子は、動物製品を使わない、植物性のものが多いのですが、その場合は特に、どの油を使うか が、おいしさ に直結する秘訣なのです。)

タンパク質 糖質 脂質 は、人間を人たらしめるために必要なもの。その中でも脂質は特に注意して考えていきたい栄養素。

というのも、わたしたちの 脳みそ の大部分は、脂質でできているからです!良い油を食べれば、良い脳みそが作られる というのは、わたしの持論です。

数年前のココナッツオイルブームから始まり、良質なオイル が脚光を浴びるようになって、しばらくたちました。
スーパーに行けば、ヘルシーさをアピールする ラベル を着飾った油たちが、たくさん並んでいます。高カロリーとヘルシーさは、日本のスーパーマーケットにおいて、相反する意味を持ちます。カロリーが高いという特徴を持って生まれてしまった油たちは、運命の十字架を打ち消すためにも、ヘルシーPRをより一層、熾烈におこなっていくのです。


このオイルはとてもおいしいんです!
こっちのオイルは脂肪を燃やします!
うちのオイルは自然な製法で作ってます!

趣向を凝らした文言が、ボトルラベルから、次に次にと飛び出します。とても主張が激しい油たち。スーパーで買い物をする主婦たちの心を掴み、家に連れて帰ってもらうのに必死です。頑張れ油たち。

さて、油は料理において、とても重要なポイントになります。油の種類によって、天ぷらのカリッと感や、野菜炒めの 風味 が決まるからです。
お菓子作りにとっても 同じ です。使う油の種類によって、しっとり感が変わってきます。うまく混ざらないと、油が分離して、ぬちゃっとした、なんとも胸焼けしそうなケーキが仕上がることもあります。

なので、油をよく知って、調理することはとても大切なのです。

でも、このnoteの油連載では、調理における油の使い方 ではなく、どんな種類の油 が わたしたちのからだ の中で、どういった役割 を果たすのかなどを、一緒に考えていきましょう。

(油の性質を生かした調理方法は、料理教室に行ったり、プロの料理人に直接聞いた方が、コツや秘密を教えてもらえるので、うまくいくはずです。料理上手 になるには、机上の空論 にならないほうが良いのです。)

油には、様々な種類があります。
一番有名なのは、サラダオイルでしょうか。その次がごま油やオリーブオイル。他には、紅花オイルやひまわり油、菜種油、ココナッツオイル、エゴマ油、などなど、、、この辺りが、イオンなどの近所のスーパーに置いてるスタメン選手です。海外に行けば、グレープシードオイルなんてのも、よく見かけます。

価格も様々です。上に書いた順に安いのですが、オリーブオイルは、品質によって価格がかなり違ってきますよね。高級輸入食材屋さんに行けば、とっても小さい小瓶に入っているのに3,000円もしたり!!

ひとえに「油」と行っても、選択肢が意外に多く、どれを買ったらいいのか、悩んでしまいますね。

でも、大丈夫。油を選ぶポイントは全部で3つしかありません。

1体に負担がかからないものを考えよう
2どんな料理に使うか考えよう
3どれくらいの価格のものなら継続的に使えるか、お財布と相談しよう

この3つさえ抑えておけば、あなたにぴったりの油を、きちんと選択することができます。

それでは、1について。

油、すなわち脂質をじっくり観察します。と〜っても高性能な顕微鏡で見てみましょう。すると、小さなツブがつながって、油ができていることがわかります。いろんな種類のツブツブが鎖を作り、たくさん絡み合って、油になっているのです。このツブのことを、科学の世界では 分子 と呼びます。分子が鎖みたいに繋がってるもののことを、分子鎖 と呼びます。油の場合は、その分子鎖のことを 脂肪酸 と呼びます。

この 脂肪酸 が脂質を語る上で、とても重要なのです。脂肪酸は、「長さ」と「種類」の2つの視点から見るとわかりやすいかもしれません。
まずは「長さ」から。短いものから順に、短鎖脂肪酸 中鎖脂肪酸 長鎖脂肪酸 と分類します。次に「種類」について。これは、ツブツブの組み合わさりかた、分子構造のことを指します。


すなわち!「油の種類が違う」ということは、とても大雑把に説明すると、含まれているツブツブの長さ(脂肪酸の長さ)と 、ツブツブの組み合わさり方(脂肪酸の種類)が違うということなのです。このツブたちの関係性がどんな風なのか によって、体への影響度合いが変わってきます。ツブツブたちにも、いろんな事情があり、その事情によって、わたしたちの健康は左右される場合が多いというわけです。

次に、わたしたち人間の からだ にスポットを当てましょう。油はどこで分解されるのでしょうか?胃袋?腸?いえいえ、答えは 膵臓 なのです。脂質の他にも、タンパク質や糖も分解してくれます。脂質は、膵臓で、脂肪酸とグリセリン(グリセリンのことは、別の機会にお話ししますね)という物質に分解されます。沈黙の臓器として有名な膵臓ですが、彼の特技は、分解することなのです。
分解とはすなわち、繋がっているものをバラバラにすること。短ければ短いほど、楽チンに分解することができます。

なので、分解のしやすさのみに注目すると、鎖の長さが短い中鎖脂肪酸をたくさん含む脂質を選ぶと良いということになります。(短鎖脂肪酸は、小麦ふすまや酒粕を食べた時に、大腸内で発酵することによって発生します。脂質からは少し話がそれてしまうので、今回は説明を控えます。)

なるほど、鎖の短い中鎖脂肪酸をたくさん含む油をとればいいのかな?

と思ったそこのあなた、世の中そう簡単にはいきません!わたしたちのからだ は、想像よりもわがままにできているのです。膵臓にとっては、鎖の長さが短いことは、分解する仕事量が減るので良いことなのですが、体全体を考えるときには、分解する「脂肪酸の種類」も把握しないといけないのです。

すなわち、着目すべきは、ツブツブの組み合わさり方。科学者ちっくにかっこつけると、脂肪酸の分子構造のことです。脂肪酸には、様々な形 があり、その形によって、体にとって悪さをするもの、逆にとても良い効果をもたらすもの など様々な特徴を持ちます。

なんだか難しそうだぞ と思うかもしれませんが、昨今の健康ブームのおかげで、有名になった脂肪酸もいくつかあるので、紹介したいと思います。

でも、今日はこの辺りでいったんおしまい。続きは、明日、書きますね。

note書くときのコーヒー代や、クロエちゃんへのスペシャルおやつ代にさせていただきます٩( 'ω' )و