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ドライホッピングの時間です

2020年6月3日(水)

【Day 76】

今日はデイヴから指示されたドライホッピングの日。

ドライホッピングは、言うなれば「追いホップ」であり、ホップ特有の華やかな香りをビールに持たせるために行う工程だ。仕込みの初めに投入するホップがビールに苦味を与える(ビタリングホップ)のに対し、ドライホッピングはほとんど苦味に影響を与えない(らしい)。IPAなどホップの香りが命となるスタイルのビールには、これでもかと大量の「追いホップ」をしたりする。

「ドライ」と言いつつ、ホップをそのままタンクに入れる訳ではない。ホップは大抵、ドッグフードのように固められたペレットになっているものを使用する。デイヴから購入したホップは、さらにペレットがティーバッグ状の袋に入っているもので、ボウルにそれを入れて、上から沸かしたお湯を注いで10分ほど浸し、少しばかりホップを柔らかくした状態で、バッグもろともタンクへブチ込むのである。

ただ、事前に色々と調べてみると、ドライホッピングのやり方はブルワーによって千差万別で、投入時期がもっと遅かったり、ペレットをお湯で戻さずそのままタンクへ投入する人もいるようだ。

当然、やり方を変えれば出来上がるビールの味わいにも少しずつ影響が出るだろうから、色々と試して自分なりのやり方をブラッシュアップし確立していくことが、ホームブルーイングの醍醐味に他ならない。

それではホップを準備して……

……と思って改めてパッケージのインストラクションを読んでみると、仕込み時にビタリングのためにホップを投入する場合は「30-45min active boil」とある。要は長時間煮込んでから入れろということだ。

しまった、完全にドライホッピングと同じやり方でいいと思い込んで、ケトルで沸かしたお湯に10分浸しただけだった……(;´Д`A

もはやどうしようもない。もともと苦すぎるビールはそんなに好きじゃないからよしとしよう……

それにしても、英語のインストラクションを見慣れていないせいか、こういう凡ミスが頻発する。付属のサニタイザーに関しても、やけに量が少ないなあと思ってそのまま使っていたのだが、後日パッケージに「must DILUTE(希釈して使用すること)」という文字を発見した。どうりで、肌に付着したときヒリヒリしみた訳だ……(;´Д`A

(タンクの中もそのままサニタイズしたけど、大丈夫かな……)

さて、ホップを投入する前に、発酵の進捗を見るために比重を測るとするか。

仕込んだ日から4日目、色はもういい感じでビールだし、泡も立っている。色々と段取りをミスってるが、意外と美味しそうじゃない?

比重は1.021といったところ。ターゲットのFG(最終比重)が1.010で、ペールエールの一次発酵は4〜7日で終了するらしいから、今後も同じペースで発酵が進めばちょうどいいペースと言えるのではなかろうか。

シリンダーに注いだビール未満の液体、捨てるのは惜しい。これはやはり、飲むしかないでしょう。

グビ。

……お?思ったより美味しいかも。

深みは全くなく、あんなに甘ったるかった麦汁からは想像もつかないほどドライな味わいになっているが、この状態でも、冷やしたらすでに美味しく飲めると思う。いい感じに進んでいるようだ。

それでは、ホップをお湯に浸して、いよいよタンクへ投入だ。

蓋を開けると、紛れもなくビールの香りが立ち上ってきた。雑菌による嫌な匂いは発生していないと思う。まあ、超高濃度のサニタイザーを使ってるから菌が生き残れるはずもないか……。

それにしても、ウォート表面の泡立ちが思ったより少ない。ユーチューブで見たハウツーだと、メレンゲかというほど泡立っている感じだったけどな……超高濃度のサニタイザーが酵母も殺してしまったのだろうか?

でも、味見したところでは炭酸も感じたし、味もそんなに悪くなかったから、まいっか。

ホップ投入後は、タンクを再び階段の下の定位置へ。このままあと4日ほど置いておく。

そして、その時点でFG(最終比重)を測って2日連続でそれ以上比重の変化がなければ、ようやくボトリング(瓶詰め)。その際にプライミング(砂糖を入れて、瓶内でも酵母による微弱な発酵を促し、炭酸を発生させる)。

その後さらに2週間ほど寝かせて、ようやく飲めるようになる。

一つ一つの工程自体は単純ではあるものの、全体のスケジュールや温度などをマネージするのが大変なのがビール造り。ましてや、一度にたくさんのスタイルのビールを大量に仕込み、それぞれ毎回同じ味を再現するプロのブルワーにはリスペクトしかないのである。

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