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なぜ元公務員の私は役所に電話しないのか? 理由を解説

公務員クエスト失敗おじさんの「ありのこ」です。

元公務員の私は役所に電話をしない」という話をしたいと思います。

役所になにか聞くことがあった時、電話は使いません。
20年以上の公務員経験から電話をしません。

私は潰瘍性大腸炎かいようせいだいちょうえんという病気を持っています。
この病気のために役所を退職しました。

潰瘍性大腸炎かいようせいだいちょうえんは難病にされている病気です。
そして私個人も難病患者として指定されています。

難病指定のことで役所に確認したいことがありました。
しかし私は<本当に>役所に電話をしませんでした。

かたくなに電話しませんでした。

「私が役所に電話をしない理由」を書いていきたいと思います。


元公務員の私が役所に電話しない理由2選

私が役所に電話しない理由の1つ目
音声のみのやり取りは伝わりにくい」から。

ネットでなにか勉強するとします。
voicyぼいしーなどの音声配信とYouTubeとどちらが分かりやすいですか?

ほとんどの人がYouTubeだと思います。

学習系YouTubeだと後ろにホワイトボードがあるケースがあります。
ホワイトボードに説明や図などを書いてトークを補足しています。

元オリエンタルラジオの中田敦彦さんも背後にホワイトボードを置いています。
(最近はホワイトボードではなく黒板のような画像を使っていますが趣旨は同じ)

元々の動画がずっと話しているタイプの動画もあります。
しかし切り抜き動画では補足のためのテロップや図をつけているケースが多いです。

「音声のみでは伝わりにくい」からホワイトボード・テロップ・図で説明の補助しているわけです。

では私が役所に電話した場合はどうでしょうか?

電話した私は申請書類や添付資料を役所側に見せることができません。
電話を受けた役所側も説明資料を私に見せることができません。

電話は「音声のみでは伝わりにくい✖2倍」です。

これではやりとりがうまくいかない可能性がかなり出てきます。
「電話確認だと役所の手続きに余計に時間がかかる」可能性が高くなります。

「音声のみでは伝わりにくい✖2倍」だけでもめんどくさいです。
しかしもーっっっと大きな「私が役所に電話をしない」理由があります。

私が役所に電話しない理由の2つ目
誰が電話に出るのかわからない」から。

役所に電話しても公務員が出てこない!?

私が役所にかけた電話に出ているのは公務員ではないかも

「え?」とびっくりするかもしれません。

「役所に電話しても相手が公務員ではないかも」について説明する前に現在の役所の状況を説明しておきます。

私が出先機関の国家公務員になったのは2002年。
そのあとの役所の世界では人員削減の嵐でした。

国も地方自治体も人員削減の嵐。
「公務員の数は多すぎる」という掛け声のもと公務員の数は減らされまくりました。

しかし役所の仕事は減りませんでした。
「公務員の数を減らせ!」は「役所の仕事を減らせ!」とセットだったはずですなのですが。

その結果、どこの役所も慢性的まんせいてきな人手不足になります。
どこの役所でもずっーーと人手が足りない。
ずーーっとっていうのは何十年もです。

ただしこれは国民(住民)の望んだことです。
公務員の人員削減を主張する政治家たちに大多数の国民(住民)が賛成し続けました。

あなた個人が賛成したかどうかは関係ありません。
日本は民主制を採用していますから、大多数の民意に従った結果なのです。

人員不足は役所側の意思の結果ではありません。

「公務員を減らしすぎて役所がまずいことになってるんじゃないの?」という雰囲気になったのが新型コロナウィルスです。

「コロナという異常事態だから人手不足になった」というよりも「コロナという異常事態で役所の人手不足が見えるようになった」が正しい。

そもそも「異常事態に対応できない人員数では困る」という話だと思いますが。

コロナパンデミックが起こるまで21世紀の20年間、散々に公務員の数を減らし続けました。

その結果が2023年現在「日本中のどこの役所でも人手不足」なのです。

「日本中のどこの役所でも人手不足」だったらどうするのか?
さすがに人手不足を放置し続けることはしない。

役所の人手不足対策の1つが非正規雇用の増加です。
非正規公務員とも呼ばれます。

非正規公務員は「官製ワーキングプア」という批判もあります。
それでもまだ役所が直接に雇用しています。

もっとすさまじいのが「業務の外部委託」です。
特定の業務を外部の会社に丸投げしちゃいます。

業務をしているのは公務員ではありません
業務を委託された〇〇株式会社に雇われている人たちです。

では業務委託の例としてコールセンターを考えてみましょう。

コールセンターその1

ある役所に電話をしました。
Aと言う申請について聞くと親切に答えてくれました。
この親切に答えてくれた人は公務員でしょうか?

答えは「わからない」。

公務員かもしれないし公務員ではないかもしれません。

たとえば「役所にかかってきた電話はすべてコールセンターで受け付ける」となっていたとしましょう。

私たちは役所に電話しているから役所の庁舎に電話をかけているつもりになってしまいます。

しかし別のコールセンターに電話がかかっているわけです。

もしコールセンター業務全体が別の会社に委託されていたら?
そんなことがあるのかって?

ネットで「役所 コールセンター 求人」と検索してください。
いろいろな求人募集が出てきますよ。

そして人を募集しているのは役所ではなく〇〇株式会社になっている場合があります。
もしあなたが応募して採用されたら、あなたは役所の仕事をしていますが公務員じゃありません。
〇〇株式会社の社員として役所の仕事をするのです。

このケースだと「Aと言う申請について聞くと親切に答えてくれた」あの人は公務員ではなかったとなります。

あの親切な人はきっとマニュアルに書いてあることを説明していただけだったのでしょう。
もしマニュアルで対応できなければ担当部署に電話を回す。

ここでやっと担当部署にいる公務員が出てきます。

20年以上現場にいた公務員の経験でわかるのですが「なにごとにも意外な例外がある」ものなのです。

どんな簡単に見える制度にも「意外な例外」がありがち。

コールセンターの人は「意外な例外」を見逃してないと言い切れるか

となるとマニュアルに基づいて答えているコールセンターでは不安になります。

ただし・・・今まで書いてきたコールセンターはひとつの例にすぎません。

そもそもコールセンターを導入してない役所もあるでしょう。

コールセンターを外部委託している場合でも「代表電話だけコールセンター、直通電話は担当部署の公務員」となっているかもしれません。

コールセンターに力を入れていて「コールセンターこそ専門家を置く!コンシェルのようにする!」という役所もあるかもしれません。

この場合だとむしろ「コールセンターに電話するのが良い」となります。
特に地方自治体だとこういうコールセンターもありえると思います。

地方自治体だと「何を重視するか」はけっこう違います。
まさにそれが地方「自治」なのであり、「地方自治は民主主義の学校」なのです。

話を「元公務員の私が役所に電話をしない理由」に戻しましょう。

「役所の電話受付システムがどうなっているか」が外部の私にはわかりません

電話に出た相手の人が私の質問に答えられる人のなのかわからない
だったら電話で問い合わせをするのは危険だと思います。

念のために書いておきます。
役所に電話して「ここってコールセンター?」とか「あなたは公務員?違うなら公務員を出してよ」というのはやめましょう
ましてや「役所の業務をこんなに外部委託しているのはおかしい」と言うのも論外です。

外部委託になっているのはコールセンターの人でも公務員のせいではありません。
「公務員の数を減らしまくる」という政治判断なので政治家のせいであり、その政治家を選んだ国民(住民)のせいですから。

コールセンターの人は「簡単に担当部署に電話を回すな」と指示されていると思います。(人員不足なので外部委託しているのに簡単に担当部署に回すのなら意味がなくなります)

コールセンターの人が立ち往生おうじょうするだけです。

無意味です。
迷惑行為でしかありません。

2023年に話題になったのは「クマの出没」。
やむを得ずクマを射殺したら秋田県庁に「クマを殺すな」と電話が殺到しネットで炎上しました。

炎上したのは秋田県庁ではなく、バカな電話した人たちです。

日本テレビの「24時間テレビ」が問題を起こしたからって電話しても意味がないのと同じです。

役所に電話して無意味な確認をしたり、なんくせをつけるのは絶対に・絶対に・絶対にやめてください。

このnote記事の目的はそんなことではありません。

それでは別のコールセンターの事例に話を進めます。

コールセンターその2

A制度の〇〇についてのお問い合わせはすべてこの電話番号におかけください。

役所が作ったパンフレットにこのように書いてあったら、私は「コールセンターかな?」と思います。

A制度の〇〇ということはA制度全体ではありません。
A制度を取り扱う係が役所にはあるはずです。

しかしA制度全体ではなく一部の〇〇だけ特定の電話番号にかけることになっています。

ということは「A制度の〇〇について電話話問い合わせが多すぎる!ほかの業務ができない!」状況なのでしょう。

だからA制度の〇〇だけ受け付けるコールセンターを作った。

問題はそのコールセンターがどんな形態なのか外部の私にはわからないことです。

もしかしたら「コールセンターにコンシェルジュがいる」パターンのすばらしいコールセンターかもしれません。

そのコールセンターにはA制度の経験豊富のエキスパート公務員がそろっているかもしれません。

しかし外部の会社に業務委託しているかもしれません。
外部の会社に丸投げパターンです。

電話をしても「〇〇株式会社に雇われた人」による「マニュアルどおりの対応」しか出てきません。

この業務委託丸投げパターンだと公務員の人が出てくることは99%ないと思います。
よーーーっぽどまずいケースであれば「コールセンターから役所の担当部門に電話して、担当部門の公務員から折り返しの電話をする」こともあるかもしれません。
ただし1%くらいの確率、100回の1回レベルのことです。

「A制度の〇〇についてのお問い合わせはすべてこの電話番号におかけください」パターンでも問題点は前のコールセンターと同じです。

「役所の電話受付システムがどうなっているか」が外部の私にはわかりません

電話に出た相手の人が私の質問に答えられる人のなのかわからない

なんども書きます。
役所に電話した時にコールセンターっぽいからと「これってコールセンター?公務員の人はいないの?」などと言うのはやめてください。

ものすごい迷惑ですし、なにも意味がありませんから。
はっきり言ってクレーマーと同じです。

それでは最後に「私が役所に電話をしなかった実例」の話をします。

【実例】埼玉県疾病対策課 継続申請受付センター

このnote記事の最初に次のように書きました。

潰瘍性大腸炎かいようせいだいちょうえんは難病にされている病気です。
そして私個人も難病患者として指定されています。

「私個人も難病患者として指定されている」とは「健康保険制度」のことです。
そして「私を難病患者だと認めて指定する」のは都道府県です。

私は埼玉県民なので埼玉県の業務です。
そして「難病指定は1年ごとの継続更新」が必要です。
この継続更新を行うのも埼玉県です。

この更新業務、埼玉県で初めてのことがありました。

「継続申請受付センター」でまとめて行うとのこと。
しかも「郵送で提出しろ」と。

2022年までは保健所が提出先でしたが、今年から変更。

これは想像ですが外部委託ではなく「期間限定のセンター」を作ったのだと思います。

何人か公務員がいて多くの非正規公務員と一緒に「継続更新」の業務をやるのだと思います。
期間限定のセンター。

あくまで想像です。
コールセンターの時と同じで外部の私には分かりません。

難病指定の継続更新を「継続申請受付センター」でやるのは分かりました。

しかしここで困ったことが起こります。

私は2023年の途中に退職しました。
退職した場合「難病指定についても保険者が変わったこと」を届けなければなりません。

「保険者が変わったこと」とは「国民健康保険に変わったよ」と届けないといけません。

「あっちこっちに届なけきゃ行けないのかよ、めんどくせぇ!」が日本の行政の悪い特徴です。

難病指定についての届け出は保健所のままです。

だから私は地元の保健所に行きました。
「指定難病医療受給者証」という紙があります。
この紙を訂正してもらわないといけません。

この訂正は問題なく終わりました。
しかし更新手続きの書類はすでに継続申請受付センターに郵送していました。
訂正した「指定難病医療受給者証」はもうすぐ使えなくなります。

保健所の方の質問したところ「自宅に郵送されてくる新しい指定難病医療受給者証は訂正されています。大丈夫です」との回答。

安心しきっていました。

しかし・・・郵送されてきた新しい指定難病医療受給者証は訂正されていませんでした。

もし電話で「どうすればよいのか?」を聞くとしたらどこへ聞くべきなのでしょうか?

実はちょっと複雑な点が1つあります。

保健所は通常は都道府県が設置します。
埼玉県が設置します。

しかし大きな市の場合は市が設置することもあります。
私の地元では市が保健所を設置しています。

この場合、電話での問い合わせ先はどこでしょうか?

①市が設置している保健所(ただし本来は埼玉県の業務)
②埼玉県の疾病対策課(難病指定の業務を行っている)
⓷埼玉県の継続申請受付センター(継続申請だけを行っている。期間限定のセンター?)

謎です。

さらに悪いことに埼玉県の継続申請受付センターが新しいセンターだということ。

20年以上も現場公務員をやっていてわかること。

新しいことに対して役所はバタバタする

新しい組織ができた→担当者がみんなバタバタする
新しい制度ができた→担当者がみんなバタバタする

これ、公務員あるあるです。

現場の実務では「慣れ」の力が大きいです。
どんな仕事でも「慣れ」の力が大きい。

役所も一緒です。
慣れてないことを電話で聞くと相手もバタバタする可能性が高い。

新しいことに対して役所はバタバタする傾向が強い」ことはみなさんも覚えておくと良いと思います。

こんな状況なので下手をすれば3か所をたらい回しされる可能性もあります。

保健所に電話したら「本来は埼玉県の業務なので埼玉県に聞いてください」
埼玉県疾病対策課に電話したら「更新継続の手続きなので継続申請受付センターに電話してください」
継続申請受付センターに電話したら「従来は保健所の業務だったので保健所に聞いてください」

え?
無限ループじゃん。

こんなことになりかねないので電話はしませんでした。

いちばん近いので保健所に行きました。
保健所で事情を説明して対応してもらいました。

いちばん近いと言っても公共交通機関を使うのでお金がかかるのですが・・・無職にはつらい・・・。

で、結局どうすればいいのか?

役所に問い合わせする場合どうするのか?

私は次のようにしています。

【優先順位1位】行く
【優先順位2位】インターネット
【優先順位3位】電話

役所が行ける範囲にあるのなら行きます。
ぶっちゃけ、これが一番確実です。

役所が遠くて行けない場合はインターネットで問い合わせができないか調べます。
インターネットで問い合わせができるならネットを使います。

役所が遠い+ネットで問い合わせができない→最終手段として電話

これが20年以上現場で公務員をしてきた人間(=私)の答えです。

長々と書いてきましたが、みなさまの参考になればうれしいです。


ブログ記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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