私と吹奏楽(1)
演奏が終わった後、観客から拍手をもらえたあの時間が大好きだった。
あの拍手をまだ求めている自分がどこかにずっといて、消えてくれない。
この世に神様がいるのだとしたら、神様はとても残酷だ。
音楽ができなくなった時、最初は正直ホッとしていた。
もう、大変な日々が終わる。もう、音楽と向き合うことに苦しまなくて済むんだと少しだけ嬉しかった。
だが、すぐに気がついた。寂しい、音楽のない生活は、寂しくて仕方がないと。
それまでの私のストレスの吐口は音楽だった。何かあっても、音楽があるから気持ちを立て直すことができた。音楽があるから、思うようにならない日々もなんとか生きていけた。
そして、音楽があったから、学校が楽しかった。学校が楽しいと思える日が来るなんて夢にも思っていなかったから、とても嬉しかった。
幸せだった。
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