土佐有明

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  • 毎日のように手紙は来るけれど #kurukeredo

    短歌、言葉、その周辺の仕事。興味のあることだけやって二十数年生活してきた歌人の、あやまちだらけの毎日を知ることで気持ちがきっと楽になります。正直さでは負ける気がしません。1日ずつのバラ売りも(たまに)しますが、まとめ売りのマガジンは毎日更新をめざしますので、30本とかで700円。更新できなかった日の翌日は、2本更新します。1日あたり24円。

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好きな作家と普段の執筆活動

  書評、著者インタビューのご依頼をご検討くださっている方へ。好きな作家は下記のとおりです。普段は書評の他、音楽のレビューやインタビュー、劇評なども書いています。 普段書いている媒体は、『ミュージック・マガジン』『ダ・ヴィンチweb』『週刊読書人』『イントキシケイト』『ユリイカ』『レコード・コレクターズ』など。過去に5年程『東京新聞』で書評を書いていました。  過去の原稿ですが、 https://ddnavi.com/ に飛んで、右上の虫メガネマークの左に「土佐有明」と入れて

    • 荒井裕樹『感情の海を泳ぎ、言葉と出会う』書評(初出:『週刊読書人』)

       荒井裕樹は、名もなき障害者の美術作品や女性運動の歴史をつぶさにリサーチし、マイノリティの未開拓な歴史を掘り下げてきた学徒である。そんな荒井の新著『感情の海を泳ぎ、言葉と出会う』(教育評論社)は、「良い文章とは何か?」をテーマに据えた一冊だ。だが、偉大な文筆家の名文が例示されるわけでも、文法的な指導がなされるわけでもない。いわゆる文章読本やハウツー本とは似ても似つかないつくりである。  なんせ冒頭で荒井は<良い文章とは何かについて、悩んだり迷ったりすること自体を味わうような本

      • 荒井裕樹『感情の海を泳ぎ、言葉と出会う』書評(初出:『週刊読書人』)

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        • 荒井裕樹『感情の海を泳ぎ、言葉と出会う』書評(初出:『週刊読書人』)

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          佐々木敦『「教授」と呼ばれた男』書評(初出:『週刊読書人』2024年6月21日号)

           500頁を超える浩瀚な書だが、むしろよくそれで収まったな(収めたな)というのが率直な所感である。それは、本文にもある通り、批評対象である坂本龍一が〈全方位という形容では到底収まらないほどの多面体である〉からだろう。坂本とはどのような人物で、どのような作品を残したのか。〈私は「坂本龍一」が主人公の、一編の物語を書いた気持である〉と著者の佐々木敦は冒頭に記している。  坂本は東京藝大の大学院でクラシックや現代音楽の作曲理論/技法を学んだのち、ソロやYMOのメンバーとして活動。ア

          佐々木敦『「教授」と呼ばれた男』書評(初出:『週刊読書人』2024年6月21日号)

          西村建『不死鳥』書評

           連続放火事件の犯人捜しが繰り広げられる西村健氏の『不死鳥』(KADOKAWA)では、周到に張り巡らされた数々の伏線が、終盤で鮮やかに回収される。その読後感はまるで、凄腕マジシャンによる手品を見せられ、放心している観客が、巧妙に仕掛けられた種を明かされ、驚愕している状態に似ている。本書は、様々な企みに満ちたミステリであり、良質な人間ドラマとしても楽しめる逸品だ。  放火事件を解決するために、ひとクセもふたクセもある人物が集められた。中でも、頭脳明晰のキレ者だが、昔気質で頑固な

          西村建『不死鳥』書評

          潮谷験『ミノタウロス現象』書評  

           メフィスト賞を受賞した潮谷験氏の『スイッチ 悪意の実験』(講談社)には度胆を抜かれた。あるスイッチを押すと即座に人を消滅させられるという、特異な状況下での実験が行われる設定。それだけで無性に惹きつけられるものがあった。だが、新刊『ミノタウロス現象』(KADOKAWA)は設定はもちろん、物語としての強度という点でも同作に負けていない。ライトノベル風のテンポの良い会話など、全体的な軽妙なノリが支配しているのも特徴だ。  話はオーストラリアの牧場に謎の怪物が出現するところから始ま

          潮谷験『ミノタウロス現象』書評  

          花田菜々子『モヤ対談』

           数々の本屋で名物書店員として名を馳せてきた花田菜々子氏は、文筆家としても類稀なる才能の持ち主だ。ドラマ化もされて反響を呼んだ『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』なる著作があり、現在は高円寺の「蟹ブックス」を経営している。そんな彼女が20名の作家らと、彼ら/彼女らの本を端緒に対話を繰り広げたのが、『モヤ対談』(小学館)である。  花田氏は対談相手の本音を聞きだすのが抜群にうまい。絵本作家のヨシタケシンスケ氏の作品について、子

          ¥100

          花田菜々子『モヤ対談』

          沼野雄司『トーキョー・シンコペーション 音楽表現の現在』書評(初出:『週刊読書人』3月29日発行号)

           知の宝庫、とはこういう本のことを言うのだろう。沼野雄司『トーキョー・シンコペーション 音楽表現の現在』は、著者の得意領域である現代音楽をコアにしながらも、美術、演劇、映画、小説といった隣接ジャンルとの接続がなされている。しかも、十分な必然性をもって、である。ジャンル横断的なつくりの本書は、専門家は専門外のことは知らなくていいのか?という問いを静かに突きつけてくるようですらある。  例えば、「表象不可能性と音楽」と題された第7章。まず、アドルノの述べた「アウシュヴィッツのあと

          沼野雄司『トーキョー・シンコペーション 音楽表現の現在』書評(初出:『週刊読書人』3月29日発行号)

          柴崎祐二『ポップミュージックはリバイバルをくりかえす』書評(初出:『週刊読書人』)

           やや旧聞に属するが、シティポップと呼ばれる音楽が国内外を席巻したことは、よく知られている。そのブームの内実と本質を抉り出した良書に、音楽ディレクター/評論家の柴崎祐二が編集/執筆した『シティポップとは何か』があった。そして、その柴崎がこのたび上梓したのが『ポップミュージックはリバイバルをくりかえす「最文脈化の音楽受容史」』だ。過去の音楽が再評価/再解釈され、新たな文脈とともにリバイバルされるという、ポップ音楽の定石と定型を掘り下げた渾身の一冊である。  著者の主張は、冒頭で

          柴崎祐二『ポップミュージックはリバイバルをくりかえす』書評(初出:『週刊読書人』)

          大谷能生『歌というフィクション』書評(初出:『週刊読書人』2023年6月30日号)

          〈近世・近代・現代を貫く日本語詩歌論。大谷能生の音楽批評の集大成〉という鼻息の荒い帯文はカマしでもはったりでもない。七〇〇頁近くにも及ぶ大谷能生『歌というフィクション』(月曜社)を読み終えた今、知恵熱で上気しながらこれを書いている。本書の内容を概観するのは難儀だが、明治から令和までの日本の歌を紐解いた類稀なる労作、と言っていいだろう。  序盤、大谷は歌の成り立ちを、吉本隆明の「自己表出」「指示表出」という概念を用いて析出する。このふたつの定義は難解かつ曖昧であり、未だに説が

          大谷能生『歌というフィクション』書評(初出:『週刊読書人』2023年6月30日号)

          矢野利裕『学校するからだ』書評(初出:『週刊読書人』2023年2月17日号)

          学校するからだ 著 者:矢野利裕 出版社:晶文社 ISBN13:978-4-7949-7343-6  『学校するからだ』は、中高一貫校の国語の教師でありながら、批評家としても健筆を振るう矢野利裕の新刊。教育論と文化論と音楽論と身体論をまたぐ、ちょっと類例が思い当たらない書物だ。著者はサッカー部の顧問でもあり、冒頭から部活を筆頭に様々な身体運動に言及してゆく。特に興味深いのが、試合での作戦にまつわる記述。戦術が高度化している現代のサッカーにおいては、チーム内では細かな約

          矢野利裕『学校するからだ』書評(初出:『週刊読書人』2023年2月17日号)

          鶴見済『人間関係を半分降りる 気楽なつながりの作り方』(筑摩書房)書評 初出『週刊読書人』2022年9月2日号

           『この本の結論を一言で言えば、〈人間とは醜い面があるのだから、少し離れてつながろう〉ということになる」——『完全自殺マニュアル』の著者でもある鶴見済は、『人間関係を半分降りる 気楽なつながりの作り方』の序盤でそう述べている。この「少し離れたつながり」は、社会学者のマーク・グラノヴェターが七〇年代に提唱した「弱い絆(ウィーク・タイズ)」に接続できるだろう。  それと対照を成す「強い絆(ストロング・タイズ)」は、組織の結束感や団結力を強めるが、途中でコミュニティから脱落すると〝

          鶴見済『人間関係を半分降りる 気楽なつながりの作り方』(筑摩書房)書評 初出『週刊読書人』2022年9月2日号

          森達也『千代田区一番一号のラビリンス』書評(初出=『週刊読書人』2022年5月27日号)

           森達也は誠実で信用に足る作家だ――。オウム真理教の施設内への潜行取材を敢行したドキュメンタリー映画『A』『A2』など、タブーなしで対象に迫ってきた彼の作品を見ると、つくづくそう思う。森は著書も多く、いつか今上天皇にフォーカスした作品に挑戦してみたいと公言していたが、いよいよその「作品」にあたる『千代田区一番一号のラビリンス』が届けられた。まず意外であり肝要なのが、これがノンフィクションではなく小説だということだ。  小説の舞台は天皇が生前退位を控えた平成末の日本。映画監督の

          森達也『千代田区一番一号のラビリンス』書評(初出=『週刊読書人』2022年5月27日号)

          佐々木敦『絶体絶命文芸時評』(初出『ダ・ヴィンチニュース』)

           https://ddnavi.com/review/677253/a/

          佐々木敦『絶体絶命文芸時評』(初出『ダ・ヴィンチニュース』)

          門間 雄介『細野晴臣と彼らの時代』(初出『ダ・ヴィンチニュース』)

          https://ddnavi.com/review/713888/a/

          門間 雄介『細野晴臣と彼らの時代』(初出『ダ・ヴィンチニュース』)