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ルーツ

 自分の根本を形作るものってなんだろう。最近よくそのことを考える。根本を形作る。ベースとなる。ルーツである。根底にある。この言い方は伝わりにくいかもしれないが「ベース・ルーツ」が一番しっくりくるように思う。
 家ではずっと音楽が鳴っていて。小さな頃からゲームが大好き。本の虫だった。一家揃ってアウトドア派。芸術一家。そういった文化芸術の類で、私の身体に染み付いているものがあるだろうかと考えると、特になにもないのである。

 音楽。母がもっとやりたかったというピアノを姉が習っていた。だからなんとなく姉が弾いていた曲は覚えていて、でもそれが誰のなんという曲なのかは知らない。父はコンポ(という名称でいいのかはわからないがCD類を再生する機械)とレコードのプレイヤーも持っていた。それらが活躍しているのを私は見たことがない。そういえば父はクラシックギターを持っている。高校だか大学のときだかにバイトをして買ったらしい。父が時折、ある曲のワンフレーズだけを弾いていたがこれもなんの曲なのか知らなかった。一緒に住んでいた祖父母はもっぱら歌謡曲だった。歌番組は一緒に見ていた記憶がある。でも数年に一度、思い出したようにカセットテープを再生するぐらいのものだった。
私はというと、和太鼓をやっていた。姉と比べられるのが嫌でピアノは選ばなかった。友達がやっていてかっこいいなと思っていたところに母が「あんたはなにか習いたいのないの?」と聞いてきたのだ。小学校2年生から始めて、高校2年まで。今思えば師範にはめちゃくちゃ失礼だが、極めたいとは思っていないが辞める理由もないなぁぐらいだったかもしれない。音楽を聞くのは好きだし何だったら曲に合わせて身体を動かすのも大好きだ。でも音楽のジャンルは全く知らないし、ダンスも全然できない。ノリノリで手拍子だけできる。そんな具合だ。
 
 ゲーム。強請ったが買ってもらえなかった。でも別に泣いて欲しがるほどのものではなかったので、みんながやっているから。ぐらいのものだったのかもしれない。ゲームは友達の家でやらせてもらうものだった。未だにソシャゲが続かないのも、ゲームを日常的にやる習慣がなかったからかもしれない。

 本。本は読んだ方だと思う。絵本を朗読してくれる母の声を無視して自分で先々読んでいた。でも友達が読んでいる冒険小説はうちにはなくて、海外文学やミステリーをよく読んでいた。小学校の図書館で誰も借りなくて廃棄寸前になった江戸川乱歩全集やルパンシリーズを端から順に読んでいた記憶がある。それでも有名作や話題作はほとんど読んでいない。小中学校の9年間、図書館貸出ランキングでほぼ毎回上位に食い込んでいたが、読んだ本の内容の話をできる人はあまりいなかった。そもそも暇つぶしに牧野日本植物図鑑の説明書きを読んでいたタイプだったため、文字を見るのが好きなだけなのかもしれない。

 アウトドア。全くそんなことはない。散歩は祖母とよく行った。今も好き。以上。

 芸術。そういえば、家族が絵を描いているのを見たことがない。私は絵を描いたり工作をするのが大好きだった。母方の家は芸術肌の人が多いので多少の遺伝はあるのかもしれない。中学校に上がる頃から漫画を読むようになり、一気にオタクになり、大学卒業までは割とイラストを描いていた。でも勉強して描いていたわけではないので特に上達はしないままだった。

 皆が言う「これが身体に染み付いている」というものがないのだ。全体的に薄ぼんやりとしていて、経験も知識も中途半端だ。ぼんやりと、なんとなくでやっていたことが多いのだと思う。2週に1回更新しているこのnoteも、文字数を決めているわけでもテーマを決めているわけでもない。大体のことがふんわりしているなぁ。とぼんやり考えている。私のルーツはなのはぼんやり考えることなのかもしれない。



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